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第109話 コージとマヨネ2
しおりを挟むギルドに戻るとマッテオ達がいた。
「コージ、幼女攫って来たんか。衛兵に捕まるぜ。」
とからかってくる。
マヨネがトコトコとマッテオ達に近づく。
「ちょっとちょっと待て。なんか以前見たようななり行きが、、、。」
「お嬢ちゃん、テーブル壊すのはやめようね。」
「マッテオさんどうしたの。」
「いや、なんでもない。お嬢ちゃんは何者なんだ。」
コージは勇者の手紙を見せて説明する。
マッテオ達は気の毒そうに
「大変だな。」
とか言っている。
他人事だし。
チャオはなんだか気に入った様子でマヨネの髪を漉いたり三つ編みしたりしている。
「マヨネは何を食べるの。」
「なんでも食べる。なんでも魔力変換できるから。」
「椅子をかじるのはやめようね。」
猫耳しっぽ亭に帰る途中でチャオはマヨネを連れて洋服屋に行く。
コージは先に猫耳しっぽ亭に帰る。
着せ替え人形じゃないと言いかけて、いや、着せ替え人形でいいじゃないかと思い直した。
チャオは帰ってくるとマヨネを洗おうとするが、
「自浄機能付きです。」
と言ってクリーンを発動する。
チャオは残念そうだ。
いろいろかまってみたいのだろう。
文字が書いてあったり、誰かが何かを言うと読み上げたり復唱する。
小さな子供が何にでも質問するのと同じだ。
何もせずにいるとマヨネはじっとして目をぐるぐるさせている。
学習機能を働かせて情報収集をしているのだろう。
ずっと周囲に変化がないと休眠状態になる。
「じっとしていると可愛いね。」
チャオがうなずく。
「チャオこれ何。」
3人でダンジョンを歩く。
マヨネが強いので何にもしなくてもいいぐらいだけど、初めて見たものは何で捕まえて聞いてくる。
「それはアシッドスライムだから触っちゃダメ。溶けちゃうからね。」
既にマヨネの手は骨格を残して溶けてしまっている。
マヨネはポイっとアシッドスライムを捨てると自分の手を見ている。
少しすると手は元に戻る。
自分にクリーンをかけるとチャオの手を握る。
感情があるのかどうかはわからないけれど何かを考えているような様子は幼い子供を見ているようで可愛らしい。
勇者も大魔法王も人じゃなくなってしまったところがあるので人の心に関心が薄いのかもしれない。
物に擬似的にであっても心を持たせるのは少し残酷なような気がする。
コージはマヨネの頭をそっと撫でた。
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