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第四十四話.一峠ニッケルン村二峠,突然の雨

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 翌朝。

 朝食を食べて出発した。

 アルフィーは完全に回復したようだ。

 夜は気を使って妖精とばかり天国へ行っていたら、天使がふくれたので天使とも天国へ行ったのだ。

「今日は宿屋で泊れるんだろ」

「はい。ニッケルン村で泊る予定です。小さいですが宿場村なので宿屋はあるはずです」

「町じゃなくて村か、なんか面白いものでもあるのかな」

「一応小さな鉱山があるようなので、それなりに人はいるのでしょうがあんまりいいイメージがないですね」

 鉱山か、汚い工夫がいるだけじゃないかな。

「あんまり面白いものはなさそうね」

「そうだな。なんかあんまりいい感じがしないな。パッとみて何もなければスルーしてテント小屋にするか」

 山を下りて歩いていくと視界が開けてきて、遠くにニッケルン村が見えてきた。

 近くに鉱山があり、工夫が鉱石を運び出している。

 村が近づいてくる、やはりあまりいい雰囲気を感じない。


 アルフィーとシルフィーが絡まれるイメージがする。

 どうせ工夫のための酒場と娼館があるくらいだろう。


「よし、スルーしよう。村へは寄らずに馬車道を行こう」

「そうね。そのほうがいい気がするわね」

「そうですね」


 馬車が何台か通り過ぎていく。

 俺達もその道を歩いて村を通り過ぎて行った。

 何事もなく村を通り過ぎ、また山を登り始めた。

 峠があるのだ。

 昨日の山も一応峠なのだがなだらかで大した高さじゃない。

 ここの峠は二峠と呼ばれ、イチリルの町とニースの間にある三つの峠の内の一つだ。(昨日のが一峠)
 
 二峠が一番険しく心臓やぶりと呼ばれているそうだ。徐々に勾配がきつくなっていく。道幅はそれなりにあるので、馬車や、馬で旅する人が通っている。

 登るのも大変だが、上から下りてくる馬車も馬も大変そうだ。


  これで、雨が降ったら滑るんじゃないかな。


 俺たちは荷物もなく歩いているのでいいが、荷物をみっちり背負って歩いている人もいて大変そうだ。

「あの人たち大変そうね」

「私たちは荷物がなくてありがたいですね」

「そうだな」

 そうこう言っているうちに空が怪しくなってきた。黒い雲が増えてきたのだ。

「これはヤバいな。今のうちにテント小屋を出せる場所を探そう」

「そうね。あっあそこならいんじゃない」

 シルフィーが山の中を指さす。


 うーん全くわからん。


「よくわからんが、案内してくれ」

「任せて」

 シルフィーのおしりについていくと、テント小屋が置けそうなスペースがあった。

「さすがだな、シルお前はすごいな」

 シルフィーのおっぱいをもむ。

「なんで、もむのよ」

「いいじゃないか。トイレ用の穴を掘ってくれ、この辺がいいな。」

 スコップを渡す。すると雨がパラパラ降ってきた。

「急ごう。これは強く降るぞ」

 テント小屋を出す。

 ちょっと下に穴を掘り、そこの上にトイレテントを出す。トイレテントは軽いので、ペグを打ち込んで固定する。

 テント小屋に入ってすぐにザーザーと大雨が降ってきた。


「危なかった。なんとか間に合ったな」

「急に雲がきましたね。まさか雨になるとは思いませんでした」

「歩いてる人たちは可愛そうね」

 テントを張るにしても時間がかかるだろう。張ってる間にびしょ濡れだ。

「ラッキーだったな」

 小さな床に置くテーブルと、座布団を出す。少し濡れたので手ぬぐいを出して皆で拭く。ついでなので桶を出して、お湯を出す。ほくほく亭のかけ湯を汲んだものだ。

「このまま着替えちゃうか。今日はもうのんびりしよう」

「そうね。当分降りそうだし、そうしましょ」

「ええ、なんか旅してる感じがして、たまにはいいですね」

 テント小屋の隅に紐をかけて、服を干す。暗いのでランタンをつける。

 まだ昼なのにだいぶ暗い。

 昼ご飯を出す。今日はハウンドドッグのゴロゴロ肉入りシチューと香ばしい茶色パンだ。

「あっこれ大好き」

「私もです」

「シルは何でも大好きだろ」

「そうなんだけどね」

 楽しく美味しくご飯を食べる。

 食後もイチャイチャしながら昼寝した。

 アルフィーのおっぱいに顔をうずめて遊んでいると、シルフィーがトイレから慌てて戻ってきて今までにないような深刻な顔をしてこう言った。

「エル、大変よ。トイレの穴が水で埋まっちゃったわ、足元もびちゃびちゃだし何とかならない?」

 ……全然大変じゃないが、もしかしたら大変かもしれない。


 しかたないので見てみると、すごい雨でトイレテントの足元が水溜りだった。

 確かにこれは困ったな。……うーん。

 そうだ! いいものがある。

 俺は、テント小屋を作ったときに余った角材50cmほどを取り出すと二つずつ並べて足元に置いた。


 これなら足は濡れずにう○こできるだろ。


 自慢げにシルフィーに見せる。シルフィーも納得する。ふとシルフィーが顔を上げた。

「あっ誰か来るわ。2人ね。敵意はない女性みたいね」

 向こうからずぶぬれの女性二人組みが歩いてきた。一人は足を引きずっている。怪我をしているようだ。

「すいません! 助けてください!」

 激しい雨の中でこちらにやってきた。

 ずぶぬれのショートカットの茶色い髪の女(推定Dカップ)と足を引きずっているピンク色のセミロングの女(推定Eカップ)だ。


 よし、助けてやろう。


「アルフィー来てくれ。怪我人だ」

 アルフィーを呼んで、俺は試作テント小屋1号を出した。

 4人用のテントの下に下駄を履かせた板がついている。俺が最初に作ったものだ。

「えっ!?」

 女の人達は急に現れたテントに驚いた。

 呼ばれたアルフィーが出て来て、女の人を見てうなずいた。

「悪いがこっちのテントを使ってくれ。アルフィー、中で治療と着替えをさせてやってくれ」

「ありがとうございます。ありがとうございます」

 2人組の女達がお礼を言う。

「わかりました。ではこっちへ」


 試作テント小屋1号に3人で入った。シルフィーにランタンを持っていかせた。

 怪我人はどうやら坂で滑って足をくじいて切ったらしく、かなりの重傷だった。少し骨が見えていたそうだ。

 深い怪我のせいで、発熱もしているようだった。


 アルフィーが回復呪文中ミドルヒール状態回復中ミドルリジェネを使って回復させる。

 二人とも涙を流してお礼を言った。

 シルフィーに桶とお湯を持たせてやった。

 感謝しながら着替えをして、こちらのテント小屋にやって来た。


「見ず知らずの私達を助けてくれてありがとうございます。それにあの魔法。まるで天使様かと思いました」

 うん。アルフィーを見るとそう思うよね。


 5人であったかい甘い紅茶を入れて飲んだ。

 ほっとした二人は感謝し感動していた。

 俺は改めて二人の女性を見て驚いた。

 茶色い髪のショート(Dカップ)は犬耳の獣人族で、スーラ15歳、ピンク色の髪の毛セミロング(Eカップ)は猫耳の獣人族、セーラ15歳だった。


 おっぱいしか見てなかった……。


 2人はFランク新人冒険者で、イースの町(ニースの手前の町)からイチリルの町を目指して旅してきた。

 イースの町は中級者(E/D)用の地下遺跡の狩場があるが、Fランク新人にはきびしく、生活していけないので、初心者向けの狩場があるイチリルの町に行きたいそうだ。


 俺がたどり着いた町がイチリルの町で良かったな。


 2人は相当苦労しているようだ。装備はボロボロの旅人の剣と木の盾を持っているだけだ。服も薄汚れている。後は荷物用の大きめのリュックを1つずつ。

 初めて会った時のシルフィーのようだ。
 
 シルフィーもそう思ったらしく、話を聞いて泣いていた。

 俺もアルフィーも泣いていた。

 5人でいろんな話をしながら、夕食を食べた。

 ほくほく亭のビーフシチューとやわらかい茶色パン、サラダを出すと。2人は目を丸くして驚き感謝した。

「こんな美味しいもの食べた事ない」

「あったかいね」


 涙を流して食べていた。


「イチリルの町のほくほく亭の飯だ。頑張れば毎日食べれるようになるぞ」

 アルフィーは冒険者ギルドで、カレンさんとキーリスさんを頼るように伝えた。香草の取り方なども詳しく教えていた。

 夜になり、雨はだいぶ弱くなってきた。

 スーラとセーラには、試作小屋1号に泊まってもらった。それでも自分たちのテントより快適だと喜んでいた。



 翌朝、雨はすっかり上がり、穏やかな日差しが降り注いだ。

 5人で朝食を食べ、テント小屋などを収納して出発する。

 シルフィーがウサギ4羽をあげていた。2人はあと30ドロルしかないらしい。

 土下座する勢いでお礼を言った。

 汚れるのでシルフィーが止めたが……。

 2人は何度もお礼を言って笑顔で手を振って別れた。

 
 俺は二人の胸を見ながら、お礼におっぱいをもませてもらいたいなと思っていた……。

 
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