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その2

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 王国側から封印の仕方や、銅竜の情報は特に何も得られなかった。

 目撃情報もまちまちで、空を飛んでた。と言う人や山の中から現れた。川の中から出てきた。などの情報があり真相は良く分からない。というのが現状だった。

 その辺に付いては他のPTも不満げだった。

「初代王が銅竜を封印した資料を寄越せって。本当に封印したいのか!」

 ヘラクルスが騎士ベンダーに怒鳴った。

「そう言われても、何せ五百年も前の話ですし、資料も残っていないのです」

「いやいや、そんなの代々受け継がれるだろう。何の為の王なんだ。そんなら自分で封印すりゃいいじゃねえか!」

「ヘラクルス! ベンダー卿に文句を言ってもしょうがないだろ」

 アレスが諌める。

「でもアレス、何も資料が無いのはひどいですよ。空を飛ぶのか、大きさや形、火を噴くのかなどの情報も無いんですよ。これで一体どう戦うと言うんですか」

 賢者テリウスも呆れたように話す。他のメンバーもみなうなずいている。

「それに銅竜山は裾野まで合わせれば直径五百キロm、高さ二十キロmもある神山ですよ。それを何も無しに探しても見つかるはずもありません。もちろん頂上付近に生息しているのでしょうが、そんな所まで五百年前にどうやって行ったんでしょうか」

 テリウスの言葉に、アレスもうなって口をつぐんだ。

「テリウスの言う通りね。いくらワイバーンが飛べるって言ってもそこまで行けないんじゃない?」

 大魔導師エランも同意して言う。

「そうだな。俺達もワイバーンドリューに乗ってアルマールから来たが、途中にある銅竜山は回り込んで飛んで来たんだ。銅山の半分くらいの高さと言われる精竜山でさえ、高くて越えられない。正直、銅竜山の頂上にはとてもじゃないが行ける気がしない」

 レイザーが同意する。

「俺達に至っちゃ空も飛べねえんだ。どうしようもねえぜ」

 大盾のイグナスもお手上げだ。

「でしょう。これで封印して来いって言われてもどうしようもないわ、アレス」

 首を振りながら賢者テリウスが言う。

「それもそうだな……ベンダー卿。一度陛下と話をさせて貰えないだろうか。今の状態では我々もどうしようも無い。銅竜山の裾野に近づくのがやっとだろう。これではとても銅竜を封印することなど出来はしない。そもそもやり方も分からないんだ。どうだろうか」

 勇者アレスがベンダー卿に頼んだ。

「確かに、では一度陛下に相談してみましょう。何かあるのかも知れません」

「ああ、頼みます。ベンダー卿」


 PTごとに客間をあてがわれてその日は城に宿泊した。大風呂があったが男女別なので(当たり前だ)帰ろうと思ったら大盾のイグナスに会ってしまい。一緒に風呂に入った。

「あーーー」

「あーーー」

「風呂に入ると皆同じだな」

 イグナスが笑う。

「ええ、どうしても声が出ちゃいますね」

「ああ、それにしても、エルヴァンの嫁は皆巨乳で色白だな。タイプが丸分かりだし名前まで似てるじゃないか。どうやって見つけるんだよ」

「いや、たまたまですよ。シルフィーなんて最初はペチャパイだと思ってたんですよ」

「そうなのか、あんなでかいのにか」

「ええ、最初はサラシで隠してたんですよ」

「アホか! なんでそんな事してんだよ。出してたほうがいいじゃねえか」

「邪魔だったらしいんですよ。弓を使うんで当たるそうです」

「はっはっは。そんなの初めて聞いたわ! そうか邪魔か、面白いな」

「イグナスさんは好みがバラバラなんですか」

「ああ、たまたまそうなっただけだ。エンパルはまだ16歳だけどDカップはあるし、まだでかくなると思うぞ。最近急にでかくなってきたんだ。まぁ俺は別にどっちでもいいんだがな。雷のネフラは18歳でCカップでちょうどいいくらいだし、氷のフブラは17歳でAカップくらいだが、綺麗でスラッとして美人だろ。俺は皆大好きなんだよ」

 嫁のことを嬉しそうに話すイグナス。

 確かにそれぞれ個性があるし、可愛いし綺麗ではある。人を好きになるのは理屈じゃないからな。

「そうですね、そんなもんですよね」

「お前は明らかに選んでるだろ」

「確かに……アルフィーはもうドンピシャで猛アタックしましたよ。でも後はたまたまですよ」

「そうか、たまたまか。エルヴァン君……私にも妻ができるだろうか」

 後ろにいたスキンヘッドの武道家カインが急に話しかけてきた。

「カインさん! そりゃ出来ますよ、Sランク冒険者のリーダーじゃないですか。その気になれば選り取り緑でしょう」

「そうかな……全然相手にしてもらえんのだよ」

 悲しそうに言うカイン。

「どんな人がタイプなんですか」

「うむ。まず筋肉があって」

「それですよ!」

「えっ!?」

 驚くカイン。

「いいですか、まず筋肉がある女性は圧倒的に数が少ないんですよ」

「おおっそうなのだよ!」

「ですよね。ですからまず、スタートを変えましょう。カインさんを好きだって言ってくれる人がいますよね」

「うむ、多少はな」

「その中の方と、まず一緒に少しだけでも運動とか武道とかをしてみるんですよ」

「ほうほう」

「それで運動とか武道とか筋肉とか、そういう事に理解してくれる人と付き合ってから、一緒に鍛えて筋肉をつけて貰うんですよ」

「おおおおお! そうか、先に付き合うのか」

「そうですよ、妻に筋肉を付けるんですよ」

「なるほど! いいかもしれん、そうか、その手があったか。いやありがとう、エルヴァン君」

 両手を握って喜ぶカイン。力が強い!

「いっいえいえ、頑張ってくださいね」

 こうして風呂で交友を深めた。

 翌日。

 皆で朝食を食べていると。

 ベンダー卿が格PTリーダーに銅竜山の詳細図を渡した。

「陛下に確認しましたが、やはり封印の伝承は残っていないそうです。銅竜の情報もありませんでした。封印のやり方が分からない以上は討伐するしかないでしょう。銅竜山の詳細図を用意しました。申し訳ありませんが、皆さんの力に頼るしかありません」

 申し訳なさそうにベンダー卿が言った。

「そうか……じゃあ俺達が銅竜を討伐したら、この国の王にして貰おう。それでいいな」

 ヘラクルスが脅すように言う。

「いえ! それは……」

「おかしいだろ! 初代は銅竜を封印したから王なんだろ。誰が聞いても納得するぜ」

「当時はそうだったのでしょうが……」

 ベンダー卿も口ごもる。

「じゃあ銅竜が銅竜山から降りてきて、今王都を襲ったらどうするんだ! 一緒じゃねーか。民を守れずして何が王だ! そこに居るだけなら人形でも置いておけ!」

 そう怒鳴ってヘラクルスは食事室から出て行ってしまった。

「ベンダー卿、すいません。ですが、ヘラクルスの言う事も分かってください。封印の方法があって初めて対応できる可能性があるのです。私達もいろんな魔物を討伐してきましたが、ここまで情報も方法も分からなければどうしようもありません。山の上にすらたどり着けないのです」

 勇者アレスもお手上げなのだ。

 銅竜山の頂上の台地でさえ直径百キロ以上ある(と言われている)のだ。高さも二十キロはあり、途中から上は雪で真っ白。頂上は雲の上で確認できないほどの高さなのだ。

 初めから全然無理ゲーでした。

 重い空気が部屋を支配していた。
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