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ギフト

報復

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食堂に行くと、ルーティアさん達も全員揃っていた。

「おはよう。気分はどうだい?」
「はい。もう大丈夫です。ご迷惑をお掛けしました。」
「迷惑なんて、ミナちゃんは何も悪くないよー。」
「これからはウルと行動しろ。絶対に1人になるなよ。」
「はい。そうします。」

ルーティアさん、アリソンさん、ダキアさんがそう話してくれ、ミルドさん、クロウさん、イクスさんもそれぞれ声を掛けてくれて元気に返事をした。

ユキさんはいないけど食事をとって樹海の迷宮に行く事にする。
ルーティアさん達には昨日の続きをやってもらう事に。

「あんな事があったのにまだやるのかい?」
「え?はい。昨日の事は私個人の事でアフターギフトの事とは関係無いですから。」
「ミナは偉いな。」

そうかな?実際関係ないんだもの。

「侯爵の様に馬鹿な真似をする輩が現れたら。今度こそエルジュ王国は地図から消える事になります。」

ウルちゃん…それは絶対ダメだからね?

玄関から外に出ると、レギウスさんが待っていた。

「ミナ、此度の事、本当に申し訳ない。」

土下座している。

いやいやいや!なんでレギウスさんが?

「ちょ、ちょっと待ってください!エリーゼさんもそうでしたけどレギウスさんが謝る事なんてありませんよ!」
「それでもだ。我らがもっと気を付けていれば未然に防げたかも知れないのだ。俺の首は差し出そう。それで治めてもらえないだろうか?」

治めるも何も、それに首って…。

もしかしてウルちゃんが何か言ったの?
チラリとウルちゃんの方を見る。

「私はこの町の者に警告をしただけです。何かしたというのならノスフェランの方です。」

また何かやっちゃったの?

[ミナが気を失ったあと、ノスフェランは侯爵とその関係者を襲撃。生きたまま首を刎ねて現在中央広場に並べてあります。]

えぇ…や、やり過ぎだよ。

[尚、ウルは侯爵邸と王城を破壊。その行為の際に死傷者は出ていません。]

え…王城?

お城のある方を見る。

……お城が見えない。

[破壊した際に、「ミナ様にお許しを頂くまでテントで暮らせ」と国王に言っており、現在国王は王城跡にテントを張って住んでおります。]

…………えぇ…。

私の知らない所でとんでもない事になってるーーー。
てかウルちゃんもノスフェランさん以上にやらかしてるよー…。

「ええと、首はいりませんし、私は怒ってませんから。これからも変わらずに接してもらえればいいです。」
「…すまなかった。」

変わらずに接するのは無理そう…。
お城…のあった所に行かなくちゃ。

巡回馬車でお城の近くまで行ってお城を目指す。
城門はあるけどその中にお城は無い。完全な更地になっている。
うわぁ……ウルちゃん…やり過ぎだよ。

門の所には兵士の人がいるけど私達を見るなり後ずさり逃げて行ってしまった。

…危険人物扱い。
うぅ…まぁそうだよね。

「行きましょう。王はこの先です。」

ウルちゃんは気にせず先に進んでいく。
門をくぐると、更地の中央部分にテントがいくつも張ってあった。兵士の人の案内で国王様や騎士の偉い人や魔術師っぽい人も私の所にやって来る。

「ええと!その、すみませ…「申し訳ありませんでした!」
「えぇ……」

全員揃って土下座を始める。

「私の不行届きが原因です。どの様な処罰も受けるつもりです。何なりと処分を…。」
『よい覚悟です。全員首を刎ねて差し上げましょう。そのまま永遠に生き続けなさい。嬉しいでしょう?永遠の命ですよ。身体は腐って行きますがね。』
「ノスフェランさん!?」

私の横に現れるノスフェランさん。

「ななな、なんて事したんですか!」
『主人を襲われた報復ですよ。』
「その通りです。ミナ様に害をなしたのです。国ごと消えてもらうくらいは当然です。」
「当然じゃ無いよ!?私、報復なんて望んで無いからね!?」
『では全員死霊として使役致しましょうか?ミナ様の忠実な僕として未来永劫仕えさせましょう。』
「違うー!!」

そういう事をしたいんじゃないの…!
首謀者の爵位剥奪とかで十分なの!
王様にまでこんな事をして…。

『ミナー!元気になったみたいだね!良かったよー!!』

フィオレさんまでやって来た。

『あれー?まだ生きてたの?とっくにニャンコにすり潰されてるもんだと思ったのに。』
「私はウルだ。」

何だか頭が痛くなってきた…。

「みんな聞いて。私はみんなにここまでやってほしいとは言ってないし思ってもないんだよ。国の中心を壊しちゃったらここに住んでるみんなが大変な思いをする事になるんだよ?それは私が助けようとしてたアフターギフトの犠牲者の子達も含まれるし、何の罪もない人達はこれから理不尽な事を強いられるかもしれない。例えばお城の再建の為に税金を増やすとかね。それに、国の重要機関が丸ごと無くなっちゃったらこの国の運営が成り立たなくなっちゃう。これを機に周辺国が手を出して来るかもしれないし、国内の有力貴族が暴走する事だってあり得るんだよ。」

「それは我らの知った事ではありません。」

「そうじゃないの。巡り巡って恩のある人達まで苦しめる事になっちゃうんだよ。ルーティアさん達やレギウスさん達がそうだよね?」
『…はい。』
「みんなが私の為にやってくれたのは分かってるつもりだよ。でも、これはやり過ぎだよ。私は…こんなに迷惑を掛けちゃったらこの国に居られなくなっちゃうよ。」

「お、お待ちくださいっ!ミナ様は悪くありません。この国から出て行かれなくても良いのです!」

騎士の偉い人が言う。
いやいや…そんな訳はないじゃないですか。

「この度は本当に申し訳ありませんでした。賠償については足りるか分かりませんけどこれで…。」

私の持っているミスリルのメダルとオリハルコンのメダルを全て放出する。

「なっ!?これは…ミスリル?」
「こっちは…オリハルコン!?」

「足りなければ私の所持しているマジックアイテムと、あとお金もそれなりに持ってますので、どうかこれで許してはいただけないでしょうか…?」

「…ミナ殿。お気持ちは嬉しいがこれは受け取れません。」

駄目かぁ…。
侯爵なんて偉い人に手を出しちゃったらその場で処刑だよね…。良くて犯罪奴隷かな…。
国外追放ぐらいで許してほしかったんだけど…。

「ミナ殿にはありません。」
「そうですよね…。この国にはないですよね。」
「い、いや!違うのだ。ミナ殿にはこの国にいてもらいたい。ミナ殿に賠償を求める事も無いということだ。」

え?
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