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聖国
難民救助
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『竜の姿のままでは連れて行く事は出来ぬぞ。オルフェリキタスよ、この様に人と共にあって違和感のない生き物に姿を変えるのだ。』
悩んでいたらウルちゃんがさらに話し始めた。竜の姿から猫の姿へと変身する。
『ほう。それしきの事であれば容易い。』
そう言うとオルフェリキタスさんも姿を変える。
真っ黒で長い毛をもつ大きな犬に姿を変えていた。
「ゴールデンレトリバー?」
「ゴールデンに黒はいないそうなので、地球の犬に例えるならフラットコーテッドレトリバーですね。」
ユキさん犬種に詳しいんだね。
『如何でしょうか?』
『う、うん。いいと思うよ。』
『ありがとうございます!宜しくお願い致します!』
あれ?なんか主従契約を結んじゃった感じ?
「まあ、いいんじゃねえか?ミナの護衛が増えるだけだろ?」
ダキアさん、そんな簡単な事じゃない気がするんたけど。
『『『『我らも共に。』』』』
いやいやいや!そんなにいっぱい連れて行けないよ。
『お前達は一度アルヴィオンに戻るのだ。そして民に伝えよ。神竜オルフェリキタスは旅に出たと。』
『『『『承知しました。』』』』
オルフェリキタスさんと竜達は短くやりとりをして、4体の竜は飛び立っていく。
『それではミナ様、これから宜しくお願い致します。』
…なし崩し的にオルフェリキタスさんが仲間になった。
ウルちゃん同様フルネームで呼ぶのはよくないと言うことで『オル君』『オル』と呼ぶ事にする。
「従魔の首輪を用意しないといけないね。帰ったらグラマスに話しておくよ。」
「お願いします。」
ルーティアさんは普段通りだ。ウルちゃんの前例もあるしもう驚かないかな?
それにしても神国の象徴?を私が従えてしまって本当に良かったのだろうか。
「大した事にならなくて良かったな。」
「はい。でもいいんでしょうか。神竜なんて呼ばれているのに…。」
「本人が良いと言っているのだから問題無いだろう。何かあれば本人達に全て任せてしまえばいい。」
「そうですね。そうします。」
不安だったけどクロウさんに言われて少し納得できた。
オル君は元の色は黒色だけど、私のそばに居るとすぐに白くなる。撫でると黒くなるのでウルちゃんとは正反対だ。
「清い心を吸収して邪気を放っているという事ですよね?」
「それってヤバくないー?」
イクスさんとアリソンさんがオル君に聞いている。
「いや、私はウルとは違って放つ邪気をコントロールできる。放たなくても良いのです。」
じゃあ悪い影響は出ないんだね。
…って、人間の言葉話せるんだ。
「ただ、悪しき心を持っている者を引き寄せやすくなる事があります。」
…そうなんだ。
「ご安心を。ミナ様の近くにいればその様な事はありません。」
「そうなんだ?」
「はい。」
それならまあ、いいかな。
それから、ルーティアさんに依頼をしたのはやっぱりオル君だった。ただ、アルオベイト聖国への救援自体は本当にやるつもりだったらしく、首尾良くウルちゃんを倒せたら後日自分で行うつもりだったらしい。
ん…?首尾よく倒せたら…って。
「オル君…ウルちゃんをやっつけるのにルーティアさんを利用したよね?」
「はい。」
「ルーティアさん達ごとって事だよね?」
「…はい。」
「そんな事考えたらダメじゃない。」
「はい…申し訳ありません。つい口車に乗ってしまいました。」
「口車?」
「はい。ウルディザスターの復活は気配で分かったのですが、その脅威や危険性を説いたのはアルオベイトからきた1人の男です。」
オル君が言うにはその男の言う事は理に叶っていて、自分がウルちゃんを葬るに足る理由があると判断してしまったらしい。
つまり、その人が言葉巧みにオル君を誘導してウルちゃんに嗾けたと。
「名前はシン。アルオベイト聖国で聖王に助言をしていたと言っていました。」
まさかウルちゃんを復活させようとしていた人かな?
「その人はまだアルヴィオン神国にいるの?」
「恐らくもういないでしょう。私が経つ前に出国すると言っていましたので。」
一度会って話を聞いてみたい。
ーーーー
オル君の件は片付いたので、聖国の民の救助に行くことにする。オル君に竜の姿に戻ってもらい、ウルちゃんは猫のまま。聖竜の方が知名度も高いだろうし安心してくれるかも知れないという判断だ。
とはいっても見渡す限り水。海と繋がっているんだっけ。どこかに陸地は残ってないかな?
暫く飛んでいると大きな岩山を見つけた。近くに行くと、人が見える。警戒して姿を隠すひと、聖竜だと気付いて手を振ってくる人、反応は様々だ。
少し広めの台地があったのでそこに着陸する。
「私達はエルジュから救援物資を持ってきた冒険者だ。」
「私はアルオベイト聖国第一騎士団所属ライアス・シュリークといいます。救援感謝致します。」
「私はルーティアだ。ここには何人くらいいる?」
「はい。500人近くが避難しております。」
「そんなにか…。怪我人や病人、弱っている者を優先して手当てしよう。」
ルーティアさんがみんなに指示を出す。私は怪我人の治療をお願いされた。
ラッキーシュートをかけたスターヒールを発動!岩山にいる全員に届いた筈だ。
「ミナ?そこまでやれとは言ってないんだが…。」
えぇ…違うんですか?私に言うものだからてっきり…。
「何という治癒魔法だ…。貴女はもしや聖女様ですか?」
「い、いいえ!違います!」
…やっちゃった。
ルーティアさんに怒られてしまい、ユキさんと食事の準備をする事になった。
この間習った水生成が大活躍。避難している人の中で、比較的元気な人達も手伝ってくれて、スムーズに食事を出すことができた。
一通り食事も済んで片付けも終わったので、ユキさんと2人で病気の人を診ているエリーゼさんの所に手伝いに行った。
エリーゼさんは一人ひとり丁寧に診察をしながら薬を使ったり、時には魔法を使ったりしながら手際良く治療をしていた。
「手伝いにきました。」
「ありがとうございます。それではこちらの手伝いをお願いします。」
長い間風雨にさらされて体も弱っている人が多く、病気にかかっている人もかなりいた。私とユキさんは洗浄をかけたり、必要な薬を取り出して渡したりと、エリーゼさんの手伝いを暫くやっていた。
「お疲れさん。替わるぜ。」
「お疲れさまー。ミナちゃんユキちゃん、少し休んでねー。」
ダキアさんとアリソンさんが交代で来てくれた。
お言葉に甘えて少し休むことに。
「アルオベイトって人口どれくらいだったんだろう?」
「エルジュ程じゃないにしても、結構居たんじゃないでしょうか?」
大水害に遭ってみんな散り散りに避難したらしく、今はどこにいるかは分からない。
暫くのんびりとしていると、近くにいた男性達の話し声が耳に入ってきた。
「見たか?雨雲を焼き尽くしたあの炎を。」
「ああ、あれが伝説の獄炎なのかも知れん。」
「獄炎の魔神が復活したのか?」
「まさか。3千年前の伝承だぞ。」
…聞こえない!何も聞こえないよ!
悩んでいたらウルちゃんがさらに話し始めた。竜の姿から猫の姿へと変身する。
『ほう。それしきの事であれば容易い。』
そう言うとオルフェリキタスさんも姿を変える。
真っ黒で長い毛をもつ大きな犬に姿を変えていた。
「ゴールデンレトリバー?」
「ゴールデンに黒はいないそうなので、地球の犬に例えるならフラットコーテッドレトリバーですね。」
ユキさん犬種に詳しいんだね。
『如何でしょうか?』
『う、うん。いいと思うよ。』
『ありがとうございます!宜しくお願い致します!』
あれ?なんか主従契約を結んじゃった感じ?
「まあ、いいんじゃねえか?ミナの護衛が増えるだけだろ?」
ダキアさん、そんな簡単な事じゃない気がするんたけど。
『『『『我らも共に。』』』』
いやいやいや!そんなにいっぱい連れて行けないよ。
『お前達は一度アルヴィオンに戻るのだ。そして民に伝えよ。神竜オルフェリキタスは旅に出たと。』
『『『『承知しました。』』』』
オルフェリキタスさんと竜達は短くやりとりをして、4体の竜は飛び立っていく。
『それではミナ様、これから宜しくお願い致します。』
…なし崩し的にオルフェリキタスさんが仲間になった。
ウルちゃん同様フルネームで呼ぶのはよくないと言うことで『オル君』『オル』と呼ぶ事にする。
「従魔の首輪を用意しないといけないね。帰ったらグラマスに話しておくよ。」
「お願いします。」
ルーティアさんは普段通りだ。ウルちゃんの前例もあるしもう驚かないかな?
それにしても神国の象徴?を私が従えてしまって本当に良かったのだろうか。
「大した事にならなくて良かったな。」
「はい。でもいいんでしょうか。神竜なんて呼ばれているのに…。」
「本人が良いと言っているのだから問題無いだろう。何かあれば本人達に全て任せてしまえばいい。」
「そうですね。そうします。」
不安だったけどクロウさんに言われて少し納得できた。
オル君は元の色は黒色だけど、私のそばに居るとすぐに白くなる。撫でると黒くなるのでウルちゃんとは正反対だ。
「清い心を吸収して邪気を放っているという事ですよね?」
「それってヤバくないー?」
イクスさんとアリソンさんがオル君に聞いている。
「いや、私はウルとは違って放つ邪気をコントロールできる。放たなくても良いのです。」
じゃあ悪い影響は出ないんだね。
…って、人間の言葉話せるんだ。
「ただ、悪しき心を持っている者を引き寄せやすくなる事があります。」
…そうなんだ。
「ご安心を。ミナ様の近くにいればその様な事はありません。」
「そうなんだ?」
「はい。」
それならまあ、いいかな。
それから、ルーティアさんに依頼をしたのはやっぱりオル君だった。ただ、アルオベイト聖国への救援自体は本当にやるつもりだったらしく、首尾良くウルちゃんを倒せたら後日自分で行うつもりだったらしい。
ん…?首尾よく倒せたら…って。
「オル君…ウルちゃんをやっつけるのにルーティアさんを利用したよね?」
「はい。」
「ルーティアさん達ごとって事だよね?」
「…はい。」
「そんな事考えたらダメじゃない。」
「はい…申し訳ありません。つい口車に乗ってしまいました。」
「口車?」
「はい。ウルディザスターの復活は気配で分かったのですが、その脅威や危険性を説いたのはアルオベイトからきた1人の男です。」
オル君が言うにはその男の言う事は理に叶っていて、自分がウルちゃんを葬るに足る理由があると判断してしまったらしい。
つまり、その人が言葉巧みにオル君を誘導してウルちゃんに嗾けたと。
「名前はシン。アルオベイト聖国で聖王に助言をしていたと言っていました。」
まさかウルちゃんを復活させようとしていた人かな?
「その人はまだアルヴィオン神国にいるの?」
「恐らくもういないでしょう。私が経つ前に出国すると言っていましたので。」
一度会って話を聞いてみたい。
ーーーー
オル君の件は片付いたので、聖国の民の救助に行くことにする。オル君に竜の姿に戻ってもらい、ウルちゃんは猫のまま。聖竜の方が知名度も高いだろうし安心してくれるかも知れないという判断だ。
とはいっても見渡す限り水。海と繋がっているんだっけ。どこかに陸地は残ってないかな?
暫く飛んでいると大きな岩山を見つけた。近くに行くと、人が見える。警戒して姿を隠すひと、聖竜だと気付いて手を振ってくる人、反応は様々だ。
少し広めの台地があったのでそこに着陸する。
「私達はエルジュから救援物資を持ってきた冒険者だ。」
「私はアルオベイト聖国第一騎士団所属ライアス・シュリークといいます。救援感謝致します。」
「私はルーティアだ。ここには何人くらいいる?」
「はい。500人近くが避難しております。」
「そんなにか…。怪我人や病人、弱っている者を優先して手当てしよう。」
ルーティアさんがみんなに指示を出す。私は怪我人の治療をお願いされた。
ラッキーシュートをかけたスターヒールを発動!岩山にいる全員に届いた筈だ。
「ミナ?そこまでやれとは言ってないんだが…。」
えぇ…違うんですか?私に言うものだからてっきり…。
「何という治癒魔法だ…。貴女はもしや聖女様ですか?」
「い、いいえ!違います!」
…やっちゃった。
ルーティアさんに怒られてしまい、ユキさんと食事の準備をする事になった。
この間習った水生成が大活躍。避難している人の中で、比較的元気な人達も手伝ってくれて、スムーズに食事を出すことができた。
一通り食事も済んで片付けも終わったので、ユキさんと2人で病気の人を診ているエリーゼさんの所に手伝いに行った。
エリーゼさんは一人ひとり丁寧に診察をしながら薬を使ったり、時には魔法を使ったりしながら手際良く治療をしていた。
「手伝いにきました。」
「ありがとうございます。それではこちらの手伝いをお願いします。」
長い間風雨にさらされて体も弱っている人が多く、病気にかかっている人もかなりいた。私とユキさんは洗浄をかけたり、必要な薬を取り出して渡したりと、エリーゼさんの手伝いを暫くやっていた。
「お疲れさん。替わるぜ。」
「お疲れさまー。ミナちゃんユキちゃん、少し休んでねー。」
ダキアさんとアリソンさんが交代で来てくれた。
お言葉に甘えて少し休むことに。
「アルオベイトって人口どれくらいだったんだろう?」
「エルジュ程じゃないにしても、結構居たんじゃないでしょうか?」
大水害に遭ってみんな散り散りに避難したらしく、今はどこにいるかは分からない。
暫くのんびりとしていると、近くにいた男性達の話し声が耳に入ってきた。
「見たか?雨雲を焼き尽くしたあの炎を。」
「ああ、あれが伝説の獄炎なのかも知れん。」
「獄炎の魔神が復活したのか?」
「まさか。3千年前の伝承だぞ。」
…聞こえない!何も聞こえないよ!
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