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地球

協力

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私達は公園で話をする。
まずはお兄さんを巻き込んでしまった事のお詫びと、お金とパーカーの返却…あ、洗うの忘れてた…。

いつも《洗浄クリーン》を使ってるからつい…。

「いいよ、気にしないで。そんなに汚れている訳でもないし」

お兄さんは笑って許してくれた。

「それよりも…君は何に巻き込まれているんだい?教えてくれないか?」

これ以上お兄さんを巻き込んでしまうのは申し訳ない。

「話してあげたら?信じなければそれまででいいし」
「そう…ですね」

私はお兄さんに自分の素性と現状を話していった。

「なるほど…ねぇ」
「信じてもらえないかも知れませんけど…」
「いや、信じるよ」

美咲お姉さんは簡単には信じてくれなかったけど、矢島さんはすぐに信じてくれた。

「矢島さんは女の子には甘いのかな?」

美咲お姉さんがジト目で聞いている。

「そ、そんな事はないよ!ただ…信じたくなっただけで…。俺、そういう物語が好きで、自分でも書いてるから…」

おや?お姉さんと同じ趣味の持ち主さんだ。

「奇遇ですね、美咲お姉さんも同じなんですよ」
「へぇ…そうなのかい?」
「ちょっと美奈ちゃん!」

慌てる美咲お姉さん。恥ずかしそうだけど、隠す事じゃないと思うよ?

「意外といるんだな、同好の士って奴?直に会った事は初めてだけどさ。美咲さん?どんなジャンルを書くの?」
「ええと…純文学以外なら何でも…」

歳も近いし良い友達になれそうだね。

話が落ち着くまで待っていよう。

「こんな所にいたのか…」

暗がりから声が聞こえてくる。まさかショウ君…!?
バッグから重オリハルコンショートソードを取り出して抜き放つ。

現れたのは抜き身の長剣を持った少年、違う…ショウ君じゃない。

「え…誰?」
「知らなくて当然だよな…オレはお前に未来を潰されたんだから!」

何の事…!?

力任せに斬り込んでくる少年を何度か躱して反撃をする。
浅く斬り付けるつもりで横薙ぎに小剣を振ったけど簡単に弾き返されてしまった。

…手が痺れる。技能無しじゃこんな簡単な事も出来ないなんて!

「自己紹介をしておくぜ。オレはヨシオ、帝国に所属していた転生者だよ!お前のせいでオレは居場所を失った!仲間だと思っていた奴らに殺されかけた!全部お前が帝国を引っ掻き回したからだよ!」

突進からの袈裟斬りとなぎ払い、私は一撃目を躱して二撃目は小剣で受け流す。
こちらは上体が逸れてしまうけどヨシオさんはそのまま回し蹴りを放ってくる。

咄嗟に後ろに飛んで勢いを殺そうとするけど間に合わない。お腹に衝撃を受けながら弾き飛ばされてゴミ箱に叩きつけられた。

「くっ…!待ってください…あなたはどうやってこっちに…?」
「リヴェルティア様が飛ばしてくれたのさ。お前に復讐するチャンスをもらったんだよ!」

怒鳴りながら放つ突きを何とか身を投げ出して躱す。

「な、なんだ!?」
「美奈ちゃん!」

2人がこちらに来ようとする。

「来ないでください!危ないから…!」
「でも!」
「とにかく離れていてください!」

転がる様にしながら何とか態勢を立て直す。

「他人を心配している場合かよ!」

斬り上げからのなぎ払い、振り下ろし。
それを右方向に円を描く様に躱す。

とにかく2人から離れないと!

「ちぃっ!ちょこまかと鬱陶しい!」

ヨシオさんの攻撃が雑になって来ている。大振りの右と左のなぎ払いを後ろにステップして躱した。

…何か私の動きも良くなってない?
確認のしようもないし、アウラさんが教えてくれる訳でもない。今は良くなっているのなら何でもいい!

とにかく、ここでは私だけ逃げる訳にも負ける訳にもいかない!
彼を倒す!

「いい加減クタバレよ!」

剣を正面に構え直してこちらに向かってくる。
今は持てる力を全て使ってこの人に勝つんだ。

足元に転がっている空き缶を蹴って前に転がす。
踏み込んできたヨシオさんが缶を踏んでバランスを崩した。

今だ!

正面から斬り込むフェイントを掛けて左側をすり抜ける。
身体を回転させながら斬撃と蹴りを放つ。背中にまともに攻撃を受けて前のめりに倒れるヨシオさん。彼の着ていた革の鎧を切り裂いていたけど、そこまで深い傷ではない筈だ。

「テメェっ……技能が無いんじゃねぇのかよ…!」

ヨロヨロと起き上がりこちらに向き直るヨシオさん。

…そっか!幸運が生きてるんなら技能を再取得出来るって事なんだ!

それなら少しは戦えるよね!

「さっさと死ねェェっっ!!」

両手に剣を持ち直して大振りのなぎ払いを放ってくる。
私はそれを滑り込む様にして躱して、地面を蹴って反転して背中を蹴りつける。

「ぐあっ…!またっ!」

何とか堪えてその場で振り返りながら剣を振ってくるけど、私はもうそこにはいない。

反転に合わせて私も移動していた。今度は足を狙う。低空の回し蹴り、リオさんは水面蹴りとか言ってたね。
彼のの足を払って転ばせた。
鈍い音がして動かなくなるヨシオさん。

…打ち所が悪かった?

「殺しちゃったの…?」

美咲お姉さんがこちらに近付いて来る。

私は恐る恐る近付いて倒れて動かない彼を覗き込むと、どうやら気絶している様だった。

「大丈夫、生きてます」
「そう…何だったのこの子?」
「アスティアにいた転生者の1人みたいです。私は面識はありませんけど、リヴェルティア様に利用されているみたいです」

リヴェルティア様は私を殺すためにどんな手段でも使って来ている。
そういえばアイさんって言ったっけ?神界でも共謀者を募っていたみたいだし、他の転生者全てに声を掛けていたって事かな?

だとしたらユキさん、リオさん、ソラちゃんにも…?
あの3人が裏切り者なんて考えたくないし、もしそうだとしても戦うなんて出来ない。

「みなちゃん、大丈夫か?」
「え、はい。大丈夫ですよ」

考え事をしていたら矢島さんが声を掛けてきた。

「しかし本当に凄いな。動きがまるで見えなかったよ」

そうなんだ…。

「とにかく今はここから離れた方がいいだろう」
「彼はどうする?あのままにしておいて大丈夫なのかな?」

とは言っても拘束して連れて行くとかはちょっと無理じゃないかな?

「そこの公衆電話から警察を呼ぼう。それで俺たちは逃げればいいんじゃないかな」
「そうね。それなら…」

ヨシオさんを公衆電話のそばに寝かせておいて、警察に電話。
私達はその場を離れる事にした。
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