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特別編2:神様はじめました

ボーリング大会

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~side マサキ~

騒がしい連中はルーティア達だった。

「ルー、どうしてここに?」
「ヤジマに観光に連れて来てもらったんだが、外に立っていたオブジェが気になってな。遊戯施設だと言うから試しに入ってみたんだ。マサキ達はどうしたんだ?」

ボーリングの球を軽々と持ちながら話すルーティア。
子供用の軽い球かと思ったけど15と書いてあるのが見えた。

おいおい…それを軽々と持つ幼女って。

「俺達も観光だよ。ルー達と同じでハナが店の看板を見つけて入ってみたんだ」

家族の方を見ると今は父さんがハナにボールのリリースの仕方を教えていた。ネネもボーリングはあまりやった事がないらしく一緒に教わっている。

「みんなヤジマに教わって今じゃスコアが150位になったぞ。マサキはどうなんだ?」
「俺のステータス知ってるだろ?やらなくても余裕だ」

実は1ゲーム目は父さんと母さんがやっただけなんだ。父さんは198、母さんも160。
…60過ぎの老夫婦が出すスコアじゃないよな。

流石はボーリング世代。

「言ったな?じゃあ勝負しよう!」
「いいぞ!受けて立つ!」

ルーはこんなに勝負好きだったか?

「何だ?マサキじゃないか。ルーティアとボーリング勝負?面白そうじゃないか。俺もやるぞ!」

ダキアがやって来た。

「大丈夫か?来て早々ノーバウンドでピンにボールをぶつけようとしていた男が」
「ルールの説明を聞いてなかっただけじゃねーか。ヤジマが初めに言ってくれてりゃあんな事はしなかったぜ!」

は?

何でも矢島に『ボールでピンを倒してスコアを競う遊戯』と聞いて、一番重い16ポンドの球をオーバースローで投げようとしたらしい。

いやいや…周りを見ろよ!
誰一人そんな投げ方してないじゃんかよ!

「クロウとキャッチボールを始めた時は周りの人が驚いていたなぁ」
「…お前ら、ミナの事言えないな」
「んな事言ったってよ…俺達ゃこっちの遊戯なんかやった事ないんだぜ?こっちの人間は随分タフな遊びをやるんだなと感心したくらいだぜ」

普通の人間は6キログラム近いボールでキャッチボールはしないんだよ。大体投げるとか有り得ないだろ。

「しかしこのボールの穴は大き過ぎるんだよ。もっと小さい穴のボールはないだろうか?」

ルーまで非常識な事を…。
お前の体格なら7か8ポンド位の球を使うのがいいと思うぞ。

「軽い球程指穴は小さいぞ。そっちに持ち替えた方が投げやすいだろ」
「ボールが軽いとピンが倒れ難いと思うんだよ。穴が大きい分には握る力を強くすれば問題ないと思うぞ。指に合う穴が空いている方が良いに決まっているけどな」

理屈的には合っているんだけどな。
そんな小さな身体で15ポンドを投げてたら地球こっちじゃ化け物だよ。

「正樹、どうした?そちらの人達は?」
「ああ、アスティアの仲間だよ。ルーティアとダキア。向こうにいるのも仲間だよ」

父さんがハナとネネへのレクチャーを終えてこちらを見に来た。2人を紹介すると近寄って行って「正樹の父です。息子がお世話になっています」と手を取って挨拶していた。

「ああ、これはどうも…ダキアと言います」
「ぷっ…くくく…ダキアが……敬語…!」
「お前…!ルーティア!俺だって敬語くらい使えるんだよ!」

ルーティア、笑い過ぎだよ…。
ダキアもそんなルーティアを見て怒っているが、顔が赤いのは照れ臭いからなんだろう。

その後も他のメンバーを父さんと母さんに紹介してみんなと挨拶を交わす2人。

さっき話していたルーティアとの勝負の事も聞いて、「それならみんなでやろう」と父さんが提案。ボーリング大会になった。

覚えたてのハナと慣れていないネネも参加。スコアは気にせずに楽しんでいた。

「矢島、みんなのお守、有難うな」
「いやいや…まあ流石にボーリングボールでキャッチボールされた時はヤバかったけどね。店の人に追い出される所だった」
「ホント、ゴメンな」

矢島には色々苦労を掛けてしまっているみたいだ。
こっちの常識が通用しないみんなの世話は大変だったろうな。例えるならやらかし状態になったミナの集団を世話している様なものだ。

…それは大変だ。俺なら逃げ出すな…。

自分で言っていて何だが、的確かつ非常に酷い状況だ。
矢島には何か礼をしたい所だ。

ボーリング大会は賑やかに進み、優勝者は父さんだった。
スコアは299。10フレーム目の3投目が9本。

パーフェクトゲーム寸前とか、プロボウラーかよ…。

他のお客さん達も観に来て人だかりがすごい事になっていた。
実際「プロの方ですか?」とか聞かれていたし。

2位はルーティア。スコアは278。ダキアは234。

俺は…まあ、そこそこだ。

ボーリングって奥が深いなぁ。
ステータスでゴリ押せると思ったんだけどな。

てかみんなスゲーな…ハウスボールで出せるスコアじゃねえよ。

特に父さん。

ボーリング初心者のみんなでも分かるスコアに父さんは英雄扱いだ。
ハナに「お爺ちゃんスゴいです」と言われたのが一番効いたらしく、顔が緩みまくってて気持ち悪かった。

この後みんなで食事に行こうと言う事になって、父さん達が知っている美味しい店に案内してもらいみんなで会食をする事になった。

やっぱり彼らと一緒にいると落ち着く。

俺もはしゃぎたい所だけどネネに「父親らしくしてね」と視線を送られていたので諦めた。
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