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特別編3:異世界
魔王城
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古代には超技術の文明が存在していた。
ジャヴォール・オルグはこの世界の神様かもと思っていたけど、その文明の末裔が瘴気を作り出して失われた魔法科学文明を復活させようとしている。
…なんて事をほのかさんは想像していたらしい。
有り得そうで面白いけど、今の時代の人達にとってはかなり迷惑だね。
残念ながらジャヴォール・オルグは古代の人間の末裔ではなさそうだとジャミルさんは言っていた。
「何て言うか、人というよりは魔物みたいな姿なんスよ」
「なーんだ。残念」
残念そうでも無さそうにほのかさんは言っていた。
『そろそろ降下を始めてくれ』
ジャディルさんがアルコイリスさんに指示を出して、降下が始まる。
「このまま超長距離射撃で瞬殺できないかな?」
「出来たとしても倒してしまったら情報を得る事ができませんよ」
アンネさんの提案はアニエスさんに否定された。
私達はジャヴォール・オルグを倒さなくてもいいんだよ。
もしも私達のヴォイド系能力が使えない理由がその魔王にあるのなら交渉する。
それでダメなら実力行使しかないけど、とりあえず話をしてみる。
もしも神様なら神界を通してアスティアに交信してもらって救助を待つ事だって出来るからね。
黒い雲を突き抜けて地上が見えてくる。
岩山な囲まれた石造りの街並みがあり、その中心には真っ黒なお城が鎮座していた。
「こっちを見つけて防空部隊が出てくるはずっス」
ジャミルさんが教えてくれた直後、岩山の影から無数の影が飛び出して来た。
飛竜に乗った騎兵の部隊だ。
『魔王様の客人をお連れした』
『ジャディル様とジャミル様でしたか。失礼致しました』
そのまま私達を警護するようについて来る。
「本来なら彼らともやり合わなければいけなかったんスよ」
「ただの竜騎士なら問題ない。私1人で瞬殺できる」
「そりゃ恐ろしいスね」
アンネさんの言う通りただの竜騎士ならそんなに脅威じゃないよね。
アルコイリスさんは城門の前の広場に降りる。
「ドラゴンさんはこの場で待機っスね」
「一応風の精霊を置いていくよ」
『はい。お気をつけて』
ほのかさんは風の大精霊と小精霊にアルコイリスさんを守る様に言っている。
大きな門は固く閉ざされていて、両脇に2メートル位の全身鎧がハルバードを持って立っていた。
「魔王様にお客さんスよ。開けてください」
『もしやその者はジャイファム様を倒した者ではないですか?』
「そうっスよ」
『おのれ!!』
『よせ!』
ハルバードを振り上げて襲い掛かってくる全身鎧。片方はアンネさんが胴の真ん中に拳で穴を空け、もう片方はほのかさんの側に現れたイフリートの炎で焼き溶かされてしまった。
「正当防衛だよね?」
「は、はいっス。今のは仕方ないスよ」
どうやらジャイファム同様中は空洞だったみたい。ソフトボール大の緑色の魔石が転がり出て来たので拾っておく。溶かされた方の魔石は一緒に溶けちゃったみたい。
ジャミルさんが魔法で門を開けて中に入る。
城の中は薄暗く、所々に魔法の灯りがあるだけ。真っ直ぐ伸びた廊下を歩いているとゲームのラスボス前みたいな気分になってくる。
まあこの世界のラスボスみたいな人に会いに来たんだけど。
暫く歩くと玉座の間に着いた。
よくあるお城の玉座の所には真っ黒な鬼のような顔をした人が座っていた。
体は随分と大きくて、座っていても私の倍以上はある。
『ようこそ《異物》諸君』
口動いていないが声はハッキリと聞こえる。低く迫力のある声だ。
これが魔王。
そこにいるだけで萎縮してしまいそうな威圧感がある。アスティアで戦った量産魔王とは全然違う。
「初めまして。私はアスティアという世界で神をしていますミナといいます」
『神であったか』
しまった…魔王って事は神を憎んでるかな?
『それでその神様が何故ここにいるのだ?』
「私達はちょっとした事故でこの世界に飛ばされて来てしまったんです。帰る為の能力を失ってしまって困っています。あなたはもしかして神様ではないですか?」
思い切って聞いてみた。
ジャヴォール・オルグは答えない。
長い沈黙の後、こう言った。
「私も元々この世界の神であった。が、だからと言って君達を返してやるつもりはない。この世界の糧としてくれよう」
「ちょっ…!待って下さい!あなたの世界を踏み荒らした事は謝ります。帰してくださるのならリソースでお礼もしますから考え直してください!」
ジャヴォール・オルグはゆっくりと立ち上がる。
右手を前に突き出すと何もない所から大剣を取り出した。その剣はユラユラと揺らめいていて物質ではないのがすぐに分かった。
あれは…ヴォイドの剣…?
「どうやら交渉の余地は無いみたいだね」
「仕方がない。戦いを挑んだ事を後悔させてあげる」
ほのかさんとアンネさんは軽口を言っているけど油断はしていない。
異様な気配と手にする武器を見て警戒したみたい。
「アニエスさん。あれはかなりマズいです。私が《エスカシャイターン》を使って暴走したら止めて貰えますか?」
「勿論です。ただ、奥の手として残しておいてください。まずは全員で戦いましょう」
「分かりました」
腰のショートソードを抜いて構える。
アニエスさんはアガートラームとダインスレイヴを《ソードコントロール》で飛ばして、腕輪をアガートラームに変化させて手に持った。
アンネさんは両手には雷のエレメンタル。両足には風のエレメンタルを纏って構えている。
ほのかさんは後方で精霊達に前に出るように指示していた。
さあ、魔王退治の始まりだ!
ジャヴォール・オルグはこの世界の神様かもと思っていたけど、その文明の末裔が瘴気を作り出して失われた魔法科学文明を復活させようとしている。
…なんて事をほのかさんは想像していたらしい。
有り得そうで面白いけど、今の時代の人達にとってはかなり迷惑だね。
残念ながらジャヴォール・オルグは古代の人間の末裔ではなさそうだとジャミルさんは言っていた。
「何て言うか、人というよりは魔物みたいな姿なんスよ」
「なーんだ。残念」
残念そうでも無さそうにほのかさんは言っていた。
『そろそろ降下を始めてくれ』
ジャディルさんがアルコイリスさんに指示を出して、降下が始まる。
「このまま超長距離射撃で瞬殺できないかな?」
「出来たとしても倒してしまったら情報を得る事ができませんよ」
アンネさんの提案はアニエスさんに否定された。
私達はジャヴォール・オルグを倒さなくてもいいんだよ。
もしも私達のヴォイド系能力が使えない理由がその魔王にあるのなら交渉する。
それでダメなら実力行使しかないけど、とりあえず話をしてみる。
もしも神様なら神界を通してアスティアに交信してもらって救助を待つ事だって出来るからね。
黒い雲を突き抜けて地上が見えてくる。
岩山な囲まれた石造りの街並みがあり、その中心には真っ黒なお城が鎮座していた。
「こっちを見つけて防空部隊が出てくるはずっス」
ジャミルさんが教えてくれた直後、岩山の影から無数の影が飛び出して来た。
飛竜に乗った騎兵の部隊だ。
『魔王様の客人をお連れした』
『ジャディル様とジャミル様でしたか。失礼致しました』
そのまま私達を警護するようについて来る。
「本来なら彼らともやり合わなければいけなかったんスよ」
「ただの竜騎士なら問題ない。私1人で瞬殺できる」
「そりゃ恐ろしいスね」
アンネさんの言う通りただの竜騎士ならそんなに脅威じゃないよね。
アルコイリスさんは城門の前の広場に降りる。
「ドラゴンさんはこの場で待機っスね」
「一応風の精霊を置いていくよ」
『はい。お気をつけて』
ほのかさんは風の大精霊と小精霊にアルコイリスさんを守る様に言っている。
大きな門は固く閉ざされていて、両脇に2メートル位の全身鎧がハルバードを持って立っていた。
「魔王様にお客さんスよ。開けてください」
『もしやその者はジャイファム様を倒した者ではないですか?』
「そうっスよ」
『おのれ!!』
『よせ!』
ハルバードを振り上げて襲い掛かってくる全身鎧。片方はアンネさんが胴の真ん中に拳で穴を空け、もう片方はほのかさんの側に現れたイフリートの炎で焼き溶かされてしまった。
「正当防衛だよね?」
「は、はいっス。今のは仕方ないスよ」
どうやらジャイファム同様中は空洞だったみたい。ソフトボール大の緑色の魔石が転がり出て来たので拾っておく。溶かされた方の魔石は一緒に溶けちゃったみたい。
ジャミルさんが魔法で門を開けて中に入る。
城の中は薄暗く、所々に魔法の灯りがあるだけ。真っ直ぐ伸びた廊下を歩いているとゲームのラスボス前みたいな気分になってくる。
まあこの世界のラスボスみたいな人に会いに来たんだけど。
暫く歩くと玉座の間に着いた。
よくあるお城の玉座の所には真っ黒な鬼のような顔をした人が座っていた。
体は随分と大きくて、座っていても私の倍以上はある。
『ようこそ《異物》諸君』
口動いていないが声はハッキリと聞こえる。低く迫力のある声だ。
これが魔王。
そこにいるだけで萎縮してしまいそうな威圧感がある。アスティアで戦った量産魔王とは全然違う。
「初めまして。私はアスティアという世界で神をしていますミナといいます」
『神であったか』
しまった…魔王って事は神を憎んでるかな?
『それでその神様が何故ここにいるのだ?』
「私達はちょっとした事故でこの世界に飛ばされて来てしまったんです。帰る為の能力を失ってしまって困っています。あなたはもしかして神様ではないですか?」
思い切って聞いてみた。
ジャヴォール・オルグは答えない。
長い沈黙の後、こう言った。
「私も元々この世界の神であった。が、だからと言って君達を返してやるつもりはない。この世界の糧としてくれよう」
「ちょっ…!待って下さい!あなたの世界を踏み荒らした事は謝ります。帰してくださるのならリソースでお礼もしますから考え直してください!」
ジャヴォール・オルグはゆっくりと立ち上がる。
右手を前に突き出すと何もない所から大剣を取り出した。その剣はユラユラと揺らめいていて物質ではないのがすぐに分かった。
あれは…ヴォイドの剣…?
「どうやら交渉の余地は無いみたいだね」
「仕方がない。戦いを挑んだ事を後悔させてあげる」
ほのかさんとアンネさんは軽口を言っているけど油断はしていない。
異様な気配と手にする武器を見て警戒したみたい。
「アニエスさん。あれはかなりマズいです。私が《エスカシャイターン》を使って暴走したら止めて貰えますか?」
「勿論です。ただ、奥の手として残しておいてください。まずは全員で戦いましょう」
「分かりました」
腰のショートソードを抜いて構える。
アニエスさんはアガートラームとダインスレイヴを《ソードコントロール》で飛ばして、腕輪をアガートラームに変化させて手に持った。
アンネさんは両手には雷のエレメンタル。両足には風のエレメンタルを纏って構えている。
ほのかさんは後方で精霊達に前に出るように指示していた。
さあ、魔王退治の始まりだ!
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