神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ！

第二十一章 帰っても忙しい毎日。

第４２６話 未だ教会の前に立ちはだかる書類の束が。

　私は、続いて報告書の束を手に取り、司法警察からの報告書に続き民生部からの報告書の束を読み込んでいた。


　前半は主にツールの人口増加に関連した件についてだ。戸籍への登録状況と人口状況。スラムの状況についてだ。

　スラムが全く無いなら良いのだが、何もしなくてもスラムが減るなんていう、都合よく進むはずは無い。私が、留守の間の半年に移民は増えていたようだし、今ではざっと五万人近くが居るらしい。それに伴いスラムの住人が再び増えている様で、およそ一万人近くスラムに住みつくようになったみたいだ。詳しくは報告会に於いて詳細を聞くことにしよう。忘れないように、書類に注意書きして置こうか。

　次の書類を手に取ると、行政長官からの報告書だ。内容は新規事業の製塩事業の報告だ。はっきり言って、ウチのドル箱事業と言えるほどに製塩事業は発展している様だ。しかし、成功している時こそ気を付けないと、足元を掬われる事に為りかねないからな。これも要注意だね。他に、領内の鉱山事業について、相談したいともあった。さて、どうしたものか。これも要相談だな。

　次に財政部からの報告には、管轄事業毎に収支状況が書かれており、税収の中心となる、人頭税や間接税は人口が増えている事も有り順調とあった。その中で特に成長著しいのは、製塩事業を始め各種事業だ。いやぁー著しいいちじるしいと言葉にしたが、まさに思った以上の伸びを示していた。

　だが反面に数字が伸び悩んでいる事業もある。例えば交易関係が頭打ち状態だった。ここは鉱山開発と絡めて、打開策を考えるべきだろう。また、農業事業も漁業も林業も鉱工業も纏め、見直さなくてはいけない事のようだ。

　レポートを読み込んでいく内に、益々頭が痛くなって来た。どれも、時間が掛る事ばかり後回しになっている様だ。何しろ本格的に内政を行おうとした途端に、帝国への工作をしたりする為に、半年以上も領地から離れていたからだ。

　それでも、黒字か赤字かを言えば大幅な黒字であることを考えると、ボヤくだけで無く新しい事業を興して、就業人口を増やすことを考えないと街としてのさらなる成長は望めないなと報告書を読みながら強く思った。

　役所からの報告書に続き、次は家計報告だ。私が、留守の間に辺境伯爵家に置ける大きな支出は、強いて言えば戸籍登録を済ませた難民への生活保障と言えた。前回、仮面司祭で城壁の外に居た中で余りにも困窮している家や職のない家族を中心に、治療と共に当座の生活費も渡した。それで一通りツールの全員を城内にいれて、職と住まいを提供（というか斡旋？）した訳だが、それ以来だからざっと三ヶ月近く難民が溜まっていた計算になる。
お陰で働き手の確保には困らなかったが、今回は遠く帝国からの避難民が内乱のせいで多かった様で、道中に盗賊やモンスターに襲われての生命がけの逃避行だった。まだ、帝国の街道が魔人宰相の為に治安は放ったらかし状態だった中で、距離のあるツールまで辿り付いた訳だ。
それを考えると、ツールにまで辿り着いたのは、ある意味奇跡といえるだろう。

　また近日中に城壁の外にいる難民対策を実施する事になるだろう。まぁやるのは良いが今のツールの人口は何人なんだろうか。半年近くツールの政治を放って置いたからな、また報告会を開いて状況確認をしないといけないな。以前確認した時には確か、
財政部からの報告書に目を通す限りは、金銭的に問題は無いみたいだね。


　次は、家宰のサウルからの報告書だ。主に教会の収支報告と、辺境伯爵家としての家計収支報告だ。
此方は前回からは大差なく、強いて言えば騎士団の寮の増築とその後に公共団地の増築が支出の主になっている。以前に比べても、支出額は少なくなってはいる為か、収支は黒字で収まっている。そろそろ、中身を見直して置こうかとおもっている。


　今の所、赤字計上の部所は無い。この後の部署は、『エチゴヤ』関係と農園関係と港湾関係位だが、強いて言えば農園関係が赤字の可能性が高い。前回の報告では麦の作付けをしたばかりで、薬草も収穫前の為、収入前で赤字の報告だったが、それから半年経っているので楽しみな報告を聞けるだろう。

　報告会を開くには一週間後にするかな。それぞれ予定も有るだろうからね。それまでには、私の方でも対策や新たな政策を考えておきたいしね。
そんな事を考えていると、すっかり時間が進んでいたようだ。
まだまだ日常のペースを取り戻せていないようだ。
さて、来週に報告会を開くようにサウルに伝えないとね。ひと仕事済んだら、早速体を鍛えるかな。
誰か鍛えに出ているかもしれないしね。新人相手でも十分だしな。
さて、仕事を片付けますかね。

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スミマセン。手順ミスによって、十日に発表予定だったのですが、八日に公開してしまいました。公開予定日の設定は、毎週日曜日の十八時に改めて設定しておりますので、次回は十七日の予定となります。皆さまにはご迷惑をお掛けしました。
　　　　（著者　拝）