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淫魔編:ダンジョン巡り@ルアン
【177話】ダンジョン掃討依頼受注
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アヴルの子どもたちをトロワへ預け、アーサーとモニカはルアンへ戻った。部屋を取るためにいつも泊まっている宿屋へ行くと、受付のお兄さんが不思議そうな顔をした。
「おや?君たち数日前も泊まっていた子たちだよね?」
「うん!また戻ってきちゃった!」
「そうかい。よほどルアンが気に入ったんだね。良い町だろうここは」
「すっごく好き!」
「あはは。嬉しいねえ。で?今回は何泊するんだい?」
「一か月でお願いします!」
「一カ月だね。分かった。部屋はどうする?前と同じところでいいかい?」
「うん!」
「じゃあ1か月で金貨30枚だよ」
「はーい!」
双子は金貨30枚を支払い自分たちの部屋へ入った。アーサーは男性用の服に着替え化粧を落とし、モニカも質素な服に着替える。小さなアイテムボックスにお金と冒険者カードだけを入れて冒険者ギルドへ向かった。
「受付のお姉さん!僕たちFクラス冒険者なんですけど、受けられるダンジョン掃討の依頼ってありますか?」
「ありますよ。合同依頼と単独依頼がありますが、どちらがご希望ですか?」
「合同依頼と単独依頼…?」
双子が首を傾げると、受付嬢が「あら、ご存じないのですね」と紙を8枚取り出して説明をした。
「ダンジョン掃討依頼には二種類あります。ひとつは合同依頼、そしてもうひとつは単独依頼。合同依頼はパーティを組んでいない冒険者たちが4~6人ほど集められてダンジョン掃討をします。単独依頼はパーティを組んでいる冒険者たちが掃討をします。
Fクラス冒険者が受けられるダンジョン依頼は、GランクとFランクのダンジョンです。合同依頼の場合でしたら一人当たり金貨7枚~10枚、3枚~5枚の依頼完了証明書が報酬として与えられます。単独依頼は一人あたりではなく、依頼1件につき金貨35枚~50枚、15枚~30枚の証明書が与えられます。
ですが、取り分が多くなるからと言って、少人数で単独依頼を受けるのはオススメしません。今までそういう短慮な考えで命を落とした冒険者がたくさんいます。よく考えてから、受けてくださいね」
「はぁい」
「いまトロワのギルドには8件のダンジョン掃討依頼が来ています。内3件が合同依頼、5件が単独依頼です。合同依頼は今週末、来週末、再来週末に行われる予定です。単独依頼は期限が2か月後なので、それまででしたらいつ受けていただいてもかまいません」
「どうするモニカ?」
「うーん、日程が決まってない方が気が楽だわ。単独依頼にしましょう」
「うん、僕もそう思ってた。全部受ける?」
「もちろん」
「よし、決まりだ」
二人の会話を聞いていた受付嬢が呆れてため息をついた。
「ねえ、私の話を聞いていましたか?見たところあなたたち、二人で行動しているのですよね?ダンジョン掃討はかなりの時間がかかりますし、なにより魔物の数が多いんです。あなたたちが思っているよりずっと過酷な依頼です。そんな、軽い気持ちで受けるものでは…」
「あーそっかあ。僕たち大勢の魔物と戦うのは久しぶりだ。お姉さんの言うとおり、慎重に受けたほうがいいかもしれないね」
「そうね。じゃあとりあえずひとつずつ受けましょうか」
「うん、そうしよう」
「そうしたほうがいいですよ。では、あなたたちにはまずGランクの単独ダンジョン掃討依頼を受けていただきます。場所はルアンとアヴルの間あたりにあるので、通称アンヴルダンジョンと呼ばれています。主に棲息している魔物はゴブリン、オーク、チムシー、カチッカなど、G級の魔物のみです。ですが数が多いので気を付けてくださいね。ちなみに状態異常を付与してくる魔物はいません。9割以上の魔物を殲滅したらクエスト成功です。報酬は金貨35枚、証明書は15枚です。よろしいですか?」
「はい!お願いします!」
「分かりました。では、カードの提示をお願いします」
受付嬢は二人からカードを受け取り、彼らのデータを確認した。Fクラス冒険者になったのは約一年半前、すでに取得している依頼完了証明書は二人合わせて25枚。
(あらあら。一年半も経ってるのにたった25枚?まあそうよね。こんなお子さまがFクラスってだけでも奇跡みたいなものだわ。運よくGからFに昇格できたけれど、F級魔物が倒せなくてなかなか証明書が集まらなかったのね。それで、手っ取り早く稼ごうとダンジョン依頼に手を出したってところかしら。浅はかねえ。経験値のある冒険者だったら、ダンジョンで稼ごうなんて思わないわ。だって割に合わないくらい過酷なんですもの。まあ、私の知ったことではないわね)
「はい、お待たせいたしました。カードをお返しします」
二人にカードを返してから、依頼書にスタンプを押して渡す。
「はい、これで手続きは完了です。頑張ってくださいね」
「やった!さっそく行こうかモニカ!」
「あっ、待って!行く前に内職しましょう。私たちまたお金使っちゃったもの、しっかり内職してからよ。アーサーが1000本作るまで宿から出さないんだから」
「うげぇ…」
モニカは顔をしかめるアーサーの手を引きギルドを出て行った。その様子を、頬杖をつきながら受付嬢が哀れみを込めた目で眺めている。
(内職しながら冒険者かあ。低クラスはお金がないものね。かわいそうに。もしあの子たちがダンジョンから無事帰って来たらキャンディをあげようかしら。…まあ、帰って来られないだろうけど)
「おや?君たち数日前も泊まっていた子たちだよね?」
「うん!また戻ってきちゃった!」
「そうかい。よほどルアンが気に入ったんだね。良い町だろうここは」
「すっごく好き!」
「あはは。嬉しいねえ。で?今回は何泊するんだい?」
「一か月でお願いします!」
「一カ月だね。分かった。部屋はどうする?前と同じところでいいかい?」
「うん!」
「じゃあ1か月で金貨30枚だよ」
「はーい!」
双子は金貨30枚を支払い自分たちの部屋へ入った。アーサーは男性用の服に着替え化粧を落とし、モニカも質素な服に着替える。小さなアイテムボックスにお金と冒険者カードだけを入れて冒険者ギルドへ向かった。
「受付のお姉さん!僕たちFクラス冒険者なんですけど、受けられるダンジョン掃討の依頼ってありますか?」
「ありますよ。合同依頼と単独依頼がありますが、どちらがご希望ですか?」
「合同依頼と単独依頼…?」
双子が首を傾げると、受付嬢が「あら、ご存じないのですね」と紙を8枚取り出して説明をした。
「ダンジョン掃討依頼には二種類あります。ひとつは合同依頼、そしてもうひとつは単独依頼。合同依頼はパーティを組んでいない冒険者たちが4~6人ほど集められてダンジョン掃討をします。単独依頼はパーティを組んでいる冒険者たちが掃討をします。
Fクラス冒険者が受けられるダンジョン依頼は、GランクとFランクのダンジョンです。合同依頼の場合でしたら一人当たり金貨7枚~10枚、3枚~5枚の依頼完了証明書が報酬として与えられます。単独依頼は一人あたりではなく、依頼1件につき金貨35枚~50枚、15枚~30枚の証明書が与えられます。
ですが、取り分が多くなるからと言って、少人数で単独依頼を受けるのはオススメしません。今までそういう短慮な考えで命を落とした冒険者がたくさんいます。よく考えてから、受けてくださいね」
「はぁい」
「いまトロワのギルドには8件のダンジョン掃討依頼が来ています。内3件が合同依頼、5件が単独依頼です。合同依頼は今週末、来週末、再来週末に行われる予定です。単独依頼は期限が2か月後なので、それまででしたらいつ受けていただいてもかまいません」
「どうするモニカ?」
「うーん、日程が決まってない方が気が楽だわ。単独依頼にしましょう」
「うん、僕もそう思ってた。全部受ける?」
「もちろん」
「よし、決まりだ」
二人の会話を聞いていた受付嬢が呆れてため息をついた。
「ねえ、私の話を聞いていましたか?見たところあなたたち、二人で行動しているのですよね?ダンジョン掃討はかなりの時間がかかりますし、なにより魔物の数が多いんです。あなたたちが思っているよりずっと過酷な依頼です。そんな、軽い気持ちで受けるものでは…」
「あーそっかあ。僕たち大勢の魔物と戦うのは久しぶりだ。お姉さんの言うとおり、慎重に受けたほうがいいかもしれないね」
「そうね。じゃあとりあえずひとつずつ受けましょうか」
「うん、そうしよう」
「そうしたほうがいいですよ。では、あなたたちにはまずGランクの単独ダンジョン掃討依頼を受けていただきます。場所はルアンとアヴルの間あたりにあるので、通称アンヴルダンジョンと呼ばれています。主に棲息している魔物はゴブリン、オーク、チムシー、カチッカなど、G級の魔物のみです。ですが数が多いので気を付けてくださいね。ちなみに状態異常を付与してくる魔物はいません。9割以上の魔物を殲滅したらクエスト成功です。報酬は金貨35枚、証明書は15枚です。よろしいですか?」
「はい!お願いします!」
「分かりました。では、カードの提示をお願いします」
受付嬢は二人からカードを受け取り、彼らのデータを確認した。Fクラス冒険者になったのは約一年半前、すでに取得している依頼完了証明書は二人合わせて25枚。
(あらあら。一年半も経ってるのにたった25枚?まあそうよね。こんなお子さまがFクラスってだけでも奇跡みたいなものだわ。運よくGからFに昇格できたけれど、F級魔物が倒せなくてなかなか証明書が集まらなかったのね。それで、手っ取り早く稼ごうとダンジョン依頼に手を出したってところかしら。浅はかねえ。経験値のある冒険者だったら、ダンジョンで稼ごうなんて思わないわ。だって割に合わないくらい過酷なんですもの。まあ、私の知ったことではないわね)
「はい、お待たせいたしました。カードをお返しします」
二人にカードを返してから、依頼書にスタンプを押して渡す。
「はい、これで手続きは完了です。頑張ってくださいね」
「やった!さっそく行こうかモニカ!」
「あっ、待って!行く前に内職しましょう。私たちまたお金使っちゃったもの、しっかり内職してからよ。アーサーが1000本作るまで宿から出さないんだから」
「うげぇ…」
モニカは顔をしかめるアーサーの手を引きギルドを出て行った。その様子を、頬杖をつきながら受付嬢が哀れみを込めた目で眺めている。
(内職しながら冒険者かあ。低クラスはお金がないものね。かわいそうに。もしあの子たちがダンジョンから無事帰って来たらキャンディをあげようかしら。…まあ、帰って来られないだろうけど)
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