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15.オルフェ、三度目の正直

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体が熱い。
アレスは潤滑油を何度も掌ですくっては、オルフェの中をほぐす。もう十分だと思うのに、アレスは手を止めない。

「も、いいから」
オルフェが何度もそう言うが、アレスは何も答えない。
後ろへの違和感に萎えかけたオルフェの性器を吸ってみたり、体中にキスをしたり、なんだか丁寧すぎて怖くなってくる。

「ねぇ、もう」
挿れて。
オルフェが呟くと、アレスが固まった。
しかし、大きく勃起した自身の性器を挿れることはせず、大きく息を吐いて、再び中をほぐし始めた。
「あぁもうっ、なんでそんなにしつこいんだよ!」

ついまたイライラしてオルフェが叫ぶ。するとようやく、アレスが口を開いた。
「お前、気持ちよくないだろう」
その言葉に、オルフェも固まる。
何度も気遣われて、変な気分になってしまう。

しかし、アレスの言う通りだ。最初に挿れられた時に感じた恐ろしいほどの快感はない。媚薬のせいだとも思うが、今は異物感が強く、性器を触られてようやく耐えられる、というくらいだ。
「でも、挿れたら気持ちよくなるんじゃない?」
「そんなわけがあるか」
少し期待してるんだけどな。
オルフェはそう思い、アレスに挿入をねだっていた。
だが確かに、指だけでしんどいのだ。これ以上大きな物を入れられても、快感なんて感じない気もする。

「男でも感じる場所がある。そこを探すまで、待ってろ」
もしかして俺のために、ディアンにでも聞いたのか?オルフェはそう茶化そうとしてやめた。茶化したら、絶対に喧嘩になる。

「分かったよ。でもさ、それってどこ?」
協力する、とオルフェは膝立ちになって体を浮かす。
「腹側、と聞いた」
アレスが言いながら、指を曲げる。ぐちゃぐちゃといやらしい音がして、恥ずかしくなってオルフェはアレスの胸に顔をうずめた。
少しずつ気持ちよくなってくる。でも、なんだかムズムズして、足りない。
自然とオルフェの腰も揺れ始める。それにアレスはニヤリと笑うと、ゆっくりと指を出し入れし始めた。

「あっ、いい」
気持ちいい。そうオルフェが言うと同時、指がある一点をかすめた。
「あっ!」
今までのゆるやかな快感とは別物の、強烈な快感が襲ってきて、体をそらす。初めはアレスも驚いたような表情をしていたが、そこが探していた良いところだと分かったのだろう。キスをしながらオルフェをベッドに押し倒し、そこばかりを責め始めた。

「や、だ。そこばっかり!い、やぁっ」
「嫌ならやめよう」
こういう時ばかり返事をするのはやめてほしい。
「やめない。やめないでっ。でも、あっ、いやっ」
気持ちいい。しかしずっと続けられるとおかしくなりそうな快感に、頭を振って快感を逃がそうとする。アレスはそれを許さないとばかりに、何度もオルフェの舌を吸った。

「挿れるぞ」
快感に緩んだそこに、アレスの熱い塊が押し付けられる。その後の快感を期待して、オルフェの体が震える。
ゆっくり、ゆっくりアレスの性器が入ってくる。一気に推し進めようとして耐えているのだろう。アレスの顔には苦悶の汗が浮かんでいる。

熱い塊は、オルフェの狭い中をみちみちと押し広げていく。さすがに苦しくて息を止めると、アレスの動きも止まった。
馴染むのを待つかのように、アレスが止まり、何度もオルフェにキスをする。以前のセックスとのあまりの違いように、オルフェは大きく目を見開いてアレスを見た。

ありえねぇ。ここまで挿れておいて、止まって耐えるとか。
おそらく、きついまま動いて前回はアレスも相当痛かったのだろう。そのせいだとは思うが、まるでオルフェを気遣うような仕草に、胸が熱くなる。
ありがとう、と口の動きだけで言い、そっとアレスの髪を撫でる。するとアレスは大きく息を吐いて、しっかりとオルフェを抱きしめた。

中に入ってくるアレスの形が、よく分かる。
熱い。きつい。苦しい。
でも、なんだか、嬉しい。
あぁ俺ってば、優しくされるのが好きだったんだなぁ。オルフェは心の中でそう思って、アレスを受け入れた。

「動くぞ」
挿れてからもしばらく待って、ようやくアレスはそう言った。
分かった、とオルフェは頷く。
ゆっくりと動き出した性器に、体がひっくり返るような違和感がある。しかし、萎えたオルフェの性器を撫でたり、胸を吸ったりと、オルフェが苦しくないようにアレスが気を使っている。
それだけでなく、先ほど指で快感を拾った場所を探しているのだろう。ゆっくりと体内を動く性器が、オルフェのそこをえぐった。

指とは違う質量。そして熱。
えぐられた瞬間、あまりの快感に声もなく体の力を入れる。
「ここか」
つい、うんとオルフェは頷く。するとそこを何度もえぐってくる。

気持ちいい。もっと。もっと、ほしい。
オルフェは上手く声が出せずに、強くアレスを抱きしめる。お互いの熱が、汗が、気持ちよかった。
「イきたい。イきたいっ!」
後ろの刺激だけでは上手くイいけないことを告げると、アレスがオルフェの性器を強くこすった。
その刺激に、オルフェの性器から精液が飛ぶ。オルフェがイった瞬間にしめつけられたのだろう、アレスも小さくうめいて、オルフェの中でイッた。
ドクンと熱く、精液を出していることを感じる。イったばかりだというのに、その熱い奔流に興奮して、再び緩くオルフェの性器が勃ちあがる。

はぁはぁと荒い息を整えていると、ギラりと飢えた視線をしたアレスと目があった。
「もう、一回」
今回もアレスから返事はなかったが、代わりに中に入ったままのアレスの性器が、大きく動かされた。

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