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9 和気あいあいは続きませんでしたわ

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 クラスに入りますと、一瞬静寂が訪れました。
 皆様、朝の出来事に興味津々ですわね。

「アンゲリータ様、朝から大変でしたわね。噂になっておりますわよ」

 アデルナ様が歩み寄って来られ、クラスに聞こえる程度の声で聞いて下さいましたわ。

 わたくしは、朝からおきたベティーナとベルンハルト殿下の事をお伝えしました。

 勿論、クラスに聞こえる程度の声ですわ。
 情報共有、これ大事ですもの。

「と、言う訳で皆様、よろしいお願い致しますわね」

 クラスに突入される恐れがある為、お願いしました。
 皆様も突入された際、面倒な事になると知っております。

 今までは、何かあると一人づつ来ていました。
 その際の心証でしょうね。心構えは大切です。

 任せろという声や軽く手を上げる方など心強いですわね。

 その後、休憩時間の度に警戒体制を敷いていました。
 少し大袈裟ですが、廊下側に見張りが付きます。

「騎士志望~、こちらに集合。敵確認~!」

 お遊び半分、訓練半分、参加しない方達は苦笑しておりました。
 

 わたくしは、その間にお父様への手紙、領地へは近況報告、王城への報告書等々書類を仕上げ、配送をお願いします。
 王城への報告書は、アデルナ様に確認していただきましたわ。

 アデルナ様から、今は王城の殿下の執務室にいらっしゃるバルトルト様に報告される事でしょう。



「皆様、ありがとうございます。助かりましたわ」

 本日の授業が終わり、解散となります。

「これくらい何でもないさ!」
「俺達騎士志望だからさ、いい訓練になったよ」

「アンゲリータ様、王城騎士試験落ちたら、よろしくお願い!」
「こら!落ちるの前提か?」
「いや、違うけどさ~、万が一があるだろう」

「じゃあ、俺もお願い!」

「あら、当家の騎士団は厳しいですわよ。近衛騎士団より随分荒っぽいですけれど、覚悟出来るかしらね」

 笑いながらの雑談。
 就職活動には、時間的に少し余裕があるわたくし達ですもの。

 クラスで和気あいあいとしておりましたら、「ガン」と扉を勢いよく叩く大きな音がしました。

「随分と楽しそうだな!」

 不機嫌なベルンハルト殿下とその腕にぶら下がっているベティーナが立っていました。

 ツカツカと足音を態とたて、わたくしの前まできました。

 パチンッ

 頬に軽い痛みが走ります。
 殿下が手を出すとは周りも思っていなかったのでしょう。
 わたくしも思っておらず、びっくりしました。


「可哀想に、ベティーナは休み時間も勉強させられていたんだぞ!なに呑気に笑っているんだ!」

 それで、休憩時間の突入がなかったのですね、納得です。

 それに、ベティーナの発表課題ですから当然の事ですわね。
 理不尽な殿下はそんな事も分からず、ベティーナはほくそ笑んでいます。

 この二人、どうしましょうかね。

 

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