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お父様が難しい顔をしてお城から帰ってきました。すぐに領地に帰ることはできないそうです。

「当分都に来れませんから、いろいろな支度の時間をいただいただけですわ」

「そうだな、長く引き留めるようなら城のことなど気にせず領地へ戻ろう」

お母様はとてもさっぱりした感じで言いました。
お父様も気を取り直した様にすっきりしたお顔になりました。

女の子はそんなお父様達より気になることがあります。
お父様のお洋服に妖精たちがべったりと貼りついているのです。
丸いふわふわした妖精たちばかり見てきた女の子にとっては、形も丸くなく歪んでおり、軽さも感じないまるで汚れの様にこびりついている妖精たちが不思議でなりません。


これは本当に妖精たちなのでしょうか?

女の子は不安に思いましたが思い切ってこの見かけない妖精たちへ手を差し伸べました。


『……おいしい』
『……ほっとする』
『……すてきだなぁ』
『『『あぁ、しあわせだなぁ』』』


女の子の所に残った妖精たちもいましたが、ほとんどの妖精たちが消えてしまいました。

女の子はかなしくなって一粒二粒と涙があふれて落ちます。

その涙からとても小さな妖精たちが新たに生まれていたことに女の子が気づくことはありませんでした。



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