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第拾玖話-有名

有名-17

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 長四郎と燐は捕まえたパーカー5人組を絢巡査長に任せ、別の場所で休憩していた美雪の元へと向かった。
 美雪はテントから数十メートル離れた駐車場に止めてあるワンボックスカーの中にいた。
「美雪さん! 大丈夫ですか!!」
 燐は車の扉を開けると同時に最後尾に座る美雪に問いかける。
「は、はい。私は大丈夫です」燐の勢いに驚いた美雪は身体を縮こまらせながら答える。
「良かったぁ~」
 安堵する燐に松坂は「犯人グループは?」と質問した。
「安心してください。全員、お縄につきましたから」長四郎はそう答え、辺りをきょろきょろと見回す。
「どうかしたんですか?」
 松坂も辺りをきょろきょろと見回して尋ねる。
「いえ」と答えると、車に乗り込む。
「それで、これからどうするんですか?」松坂が次の作戦について尋ねる。
「そうですねぇ~じゃあ、次は松坂さんのスマホにGPSを仕掛けた人物でも探しましょうか」
「それよりさ、捕まえた男達を絞めあげて主犯について聞き出す方が先決じゃない?」
 燐はそう進言する。
「そっちは一川警部の方に任せてさ。内通者を探す方が最善の策だぜ。それで、美雪さんの次の予定は?」
「この後は、事務所で取材です」
 松坂が次の予定を伝えると、長四郎は指パッチンをする。
「それは好都合だ」

 最寄りの警察署に連行されたパーカー5人組は、絢巡査長の取り調べを受けていた。
「で? あんたらの雇い主は誰?」
「答える訳ねぇ~だろ。バァ~カァ~」
 絢巡査長の問いに黄パーカーが反抗的に答える。
 ガシャン!
 絢巡査長は空いているパイプ椅子を蹴り飛ばす。
「舐めんじゃねぇよ!!」絢巡査長の怒号がからの会議室に響き渡る。
 男5人組はあまりの気迫に圧倒される。
「お前ら、人殺しまでしといてよくいけしゃあしゃあとしてられるな!!!」
「人殺し? 何の事だよ!!」青パーカーは身に覚えない事に戸惑う。
 他のパーカー達も同様の反応であった。
「あんたら、本当に身に覚えないの?」
「ああ、何の事か。さっぱりだ」紫パーカーが首を横にブンブンと振りながら答える。
 他のパーカー達も同じ動きをして、紫パーカーの発言に賛同する。
「あんたら、この男性に見覚えはないの?」
 絢巡査長は栗栖の顔写真を見せると「知りません」と桃パーカーが答えた。
「じゃあ、質問を変えるわ。あんたらの昔の仲間でこんな事する奴らは居る?」
 今度は、栗栖の遺体が映った写真を見せた。
「ヴェ!!」
 最初に嗚咽を漏らしたのは、緑パーカーであった。それに続いて他の4人も嗚咽を漏らす。
「それで、どうなの? 居るの! 居ないの!!」
 絢巡査長は写真をパーカー達に突き付け問い詰める。
「居る! 居るからその写真を見せないでくれ!!」
 黄パーカーが写真を下げるよう懇願する。
「分かった。話して頂戴」
 そこから5人組は、スラスラと饒舌に仲間の事を語った。
「どうも、ありがとう」
 絢巡査長は礼を言い、本庁で白パーカーの取り調べを行っている一川警部に連絡を取る。
「もしもし、お疲れ様です。絢です」
 一川警部が電話にてすぐ喋り始める絢巡査長。
「実は栗栖さん殺害実行犯グループが分かりました」
「おお、そうやったと。でも、こっちもそのことを今、自供したばい」
「そうですか。で、どうします・」
「直ちに長さん達のところに向かうったい」
「分かりました。今、澤村美雪の事務所に居るはずなのでそこで落ち合いましょう」
 こうして、警視庁の刑事達は長四郎と燐の元へと向かった。
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