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第弐拾参話-会長

会長-23

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 こうして、栗手と付都の復讐劇は始まった。
 栗手は生徒会へと潜り込み生徒会内部から探りを入れ、付都は水野に今まで以上に親密になり事件の真相を聞き出そうと行動を開始した。
 探りを入れて一ヶ月後、すぐにボロを出した。最初にボロを出したのは、水野だった。
 飲みに誘い出し、酒に酔った水野に趣味の格闘技大会・ズォーダーの話を振るとすぐに口を割った。
「いやね、ほんの。ほんの軽い気持ちだったんですよ。最初は」
 悪びれる様子もなく呂律も回らない水野に気づかないように、スマホの録音アプリを起動し録音を開始する。
「まさか、野古が栗手を素手で殺すとは思っていなかったんでね」
「へぇ~ そうなんですか。それで、水難事故に見せかけて殺したんですか?」
「ええ、そうです。警察もバカですよ。同じ公務員とは思えない。僕だったら、疑ってかかりますよ」そう言って、高笑いする水野に、今すぐにでもこの場で殺してやりたいそう思う気持ちを押し殺しながら、「流石、水野先生」と褒める付都は、拳を固く握りしめる。
「先生は、この事をどうなされるつもりですか」
「墓場まで持っていきますよ」そう答えた水野はハイボールを一気飲みし「付都先生も墓場まで持っていてくださいよぉ~」付都に釘を刺す。
「分かりました」
 付都はこみ上げてくる怒りを必死に堪え、その場を流した。
 そして、この事を栗手に録音した音源と共に報告すると、栗手から次のような提案を受けた。
「先生。兄を殺した野古を許せません。それを揉み消そうとした水野も。ですから、今度の懇親会で野古から殺害しようと思っています」
「どうやって」付都のその問いに「簡単です。野古が口にする物に毒物を仕込んで、人混みに紛れて奴が持つ皿にそれをしれっと置けば良いんです。後は、奴が勝手に口にしますから。その次に、水野を殺害しましょう。殺害方法は野古とは、別の物にしないとすぐに警察に目を付けられてしまうので」
「分かった。で、毒物はどうやって入手するの?」
「それは先生に、お願いします。入手方法はここに記載してありますから」
 栗手から封筒を渡され、付都は中身を確認すると、毒物の入手方法が細かく記載されていた。
「この通りにやって頂けたら、足がつきにくいと思います。どうか、宜しくお願い致します」自信満々に答えながら、栗手は付都に深々と頭を下げた。
「先生に任しといて」
「お願いします」
 そこから、付都は栗手の指示通りに毒物を入手、栗手に渡し栗手はクッキーに毒物を混入させ、それを野古の皿に紛れ込ませて食べさせることに成功した。
「というのが、私達の犯行です」付都は全てを自供し、水野は自分が殺されかかっていたという事実を知り、口をあんぐりと開けてただ茫然と立ち尽くすだけだった。
「なんか、俺の出番なくない?」
「あんたの出番とかどうでも良いの。この闇深い人間達の処遇でしょ」
 燐は長四郎をたしなめながら、生徒会のメンバーを見る。
 生徒会のメンバー全員が下を向き、これから自分達が置かれる処遇を考えると恐ろしく何も発言できずにいた。
「では、皆さん。場所を警察署へ場所を移しましょうか」
 一川警部の発言に従い、全員が最寄りの警察署へと移動した。
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