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ドラゴン

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「ドン、ドン、ドン、ドン」とドアが強く叩かれた。

誰だよこんな早くから・・・あ!思い出した!

「早く起きな!正門へ行くって言ってなかったかい」

なんとか準備してドアを開けた。

「朝飯のサンドイッチだよ。喰いなが急いだほうがいいよ」

「おばさん、ありがとう」

ドタバタしながら急いで宿屋を出た。
正門へ喰いながら走った。

まばらだが人が集まっていた。

そこへ大きなトカゲが現れた。
後ろには、荷馬車が引張られていた。
ここって馬は居ないのか・・・1台、2台、5台の荷馬車だ。


「ドラゴン討伐の奴は乗れ。早く乗らないとおいてゆくからなーー」

あれ!何処からわいたんだ。こんなに人が居たのか。
俺も急いで乗り込んだ。しかし、むさいおっさんだらけだ。

道のりは険しく何度もケツを打った。

「痛、たたたた」勘弁してくれよ。毛布を出して尻にひいた。
なんとか我慢出来そうだ。
ちょっとは道の整備をしろよ!! ほら又も大きくワンバンドしたぞ。

「おい!どけよーー小便だーー」

なんと走り続ける中で、後ろでは外に向かって用をたしてるぞ。
なんて奴らだ。



やっと止まった。

「ここで飯だ!」ゾロゾロと降りて、固いパンを受取っていた。

俺は、そんな列に並ばないで草むらに座った。
そして菓子パンを出して食べだした。
ペットボトルも冷たいままだ。それをゴクゴクと飲んだ。

「ハー、ただのお茶なのにうま過ぎだーー」

パンもうまい。

急にオークの襲来を画面が知らせてきた。
赤い点が20個以上も点滅してた。

「オークが来たぞ!20体以上いるぞ!!」

あんなにだらしない男達が、急に冒険者の顔になった。

草むらから飛び出したオークを、1人が剣で打ち合った。
そのスキにもう1人が槍で首を突き刺した。

そんな感じで次々に倒された。
それはあっという間だ。最後のオークが大斧で頭をかち割られていた。

俺の出番はなかった。離れ過ぎたのが原因だ。


「場所がないから旨い部分だけ取れよ」

「分かってるよ。空になったタルに入れたからな」

どんな風に解体してるのか興味を持って見てた。
コロンって魔石が足元に転がってきた。
俺は魔石を拾った。

「これって誰の物になるんだ」

「そんなの誰の物でもないぞ。欲しければ持ってけーー」

そうなの、お言葉に甘えてもらうよ。
なんとか18個を回収した。なんか得した気分だ。
ここって魔石に興味がないのか、タオルで拭いていても誰も見ない。

「そろそろ出発だ!!」

何事もなかったように荷馬車は出発した。



夜営やえいでは、オークの肉が焼かれて配られてた。
冒険者のがっつきは凄かった。

「オークはうまいな」

「お前は倒してないから、もっと遠慮しろ」

「なにー俺様にいちゃもんを言ったな」

そんなんでケンカをするなよ。
携帯食を食べながら見てた。

俺は、どうしてもオーク肉を喰えなかった。
人間のように二足歩行する。そんなオークなんか喰えないぞ。
もっと慣れたら喰えるかも知れないが・・・

喰い終わったら、すぐに寝転がって寝る冒険者があらわれた。
俺も同じように毛布に包まった。



「グエェ」誰だ!腹を蹴ったのは。

「おい!見張りの交代だ」

こいつらは手加減も知らんのか、ちょっとわき腹が痛いぞ。

こっそりと癒しの光で治した。
本当に痛みがなくなった。

「あんたも起こされたのか・・・朝日が出るまで俺らは見張りらしいぞ」

え!そうなの・・・

2人して見張りをしてた。無口なおっさんがキョロキョロと警戒をしてる。
たまに焚き火に薪を放り込んでいた。

暇だ。画面を出して触ったり見詰めたりしてた。
急にでかい反応があった。

え!ドラゴンの表示だ

「ドラゴンが来たぞ!!」でかい声で怒鳴どなった。

なんだなんだと起き出した。
その時に空を飛ぶ影があった。急に強い風が吹き付けた。

所々にあった焚き火が消え去った。

月もなく真っ暗な空だ。

「誰か炎をたくさん灯せ」

仕方ない「光よ灯れ」と唱えた。
周りが急に明るくなった。木々の間からドラゴンが覗き込んでいた。
ドラゴンの吐息が大きくなった。

驚愕きょうがくした冒険者は、後ずさりをしていた。
そして走って逃げ出した。

「何をやってる。戦え!このバカどもが!!」

ギルドマスターだ。
ドラゴンの前に立ちはだかった。

そして空からカミナリが幾度もドラゴンを襲った。
ドラゴン全体にバチバチバチと放電が走った。
ドラゴンのうろこには通じない。しかし、羽が引き裂かれた。

羽を見たドラゴンは怒った。

俺はドラゴンを鑑定した。

【ドラゴン】

最強の魔物

雷魔法


だから雷魔法が効かなかったのか・・・火魔法を試すか・・・

でかい火球を急いで発動して放った。
胴体の真ん中に命中。

ドラゴンのさけびが響いた。
鱗がただれ落ちた。

誰の仕業だとドラゴンは苦しみながら探し出した。

恐怖からか、急にひらめいた。
光魔法と雷魔法で、レーザーを発生させられないかと思い付いた。
失敗しても、亜空間魔法で逃げればいい。
今は魔力も十分に補充されている。今は俺の意志でストップさせてるだけだ。

もんもんとレーザーの知識を総動員した。
確か光を共振させて・・・キャビティって書かれてた。

そしてパズルが解けた感じでひらめいた。

急にレーザーが放射された。
ドラゴンの胴体に穴が開いた。まだ放射が続いてる。

ドラゴンのうなり声が響いた。

俺はレーザーを移動させた。
ドラゴンの胴体にZの字が書かれた。
プツンッと途切れた。急にめまいがした。

ドラゴンは崩れるように倒れた。
倒れた音で冒険者は、我に返った。
冒険者の間で歓喜が起きた。

「助かったぞ」

「誰が倒した。それにあの魔法はなんだ」

「あいつだ。あいつが放ったのを見てたぞ」

「俺も見てた」


俺は、そんな言葉を聞いていた。
ギルドマスターが走て来るのが見えた。
そして気を失った。


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