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第35話

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 サバト先生は基礎呪文について解説をしたい後、すぐに教室を出て行った。4つの呪文。本来なら光と闇は滅多に持ち合わせない属性で呪文も習わない。

 燃えよ炎。焼き尽くせ。ファイヤー

 風よ暖かく包み込む風よ。全てを切り刻めウィンドー

 水よ全てを浄化せよ。ウォーター

 土よ守る盾となれソイルズ

「4つの呪文が宝探しに役立つのか。意味が分からない。
 だるい。どうして授業がこんなに動かないとならない」

 チカは机に突っ伏したまま、動きたくなかった。聞きたくもない拷問のような魔法講義を聞いて体力が削られて眠くなっていた。人魚が人型になるのは酷く疲れる。

 今。寝たら。変な夢を見る。寝たくない。眠気には抗えない。

 誰の記憶だろう。誰の夢だろう。

「見てみぃ、このモチーフ。どうにゃ」

 猫獣人の青年がスケッチブックを見せている。花のランプが描かれていた。見せている相手は人間の青年。

「ワタシは好きだぞお前のデザイン。作ったら誰に渡すんだ」

「いちゃん、大好きな奴や」

「そうか。幸せだなお前に愛されるやつは」

 幸せそうな雰囲気は一瞬にして終わった。床に粉々になった花のランプ。猫獣人が後ろを振り替えり誰かを睨みつけている。

「どうして。なんでこんないなことするにゃ」

 相手の声も姿も見えない。許さない。猫獣人の怨念が花のランプに吸収されていく。猫獣人が袋にかけらを全て入れ走り去る。

「おい、起きろ。寝るな」

 ルダスの声が聞こえてきた。チカが薄目を開ければドアップのルダスの顔に、驚き飛び起きる。

「びっくりした」

「びっくりしたのは俺だ。まったく横向いたら堂々と寝てやがるし。
 宝を探しに行くぞ」

 ルダスに引っ張り上げられて、立ち上がる。今見た夢をルダスに話すかチカは迷っていた。

「あの。ルダ「ルダス様」」

 甘ったるい香水の匂いと可愛らしい声。ルダスの後ろにいたのは、聖女と呼ばれる女だった。
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