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10.
しおりを挟むダンジョンから帰ってきて、すぐにクエスト紹介所へと向かった。
「あれ、レイさんもう戻ってきたんですか?」
受付のお姉さんが驚いた表情で声をかけて来る。
「ああボスは倒してきた」
俺が言うと受付のお姉さんは、「ええッ!」とすっとんきょうな声をあげる。
「まだ四時間しか経ってないですよ!?」
「ん、ああ、そうだなボス部屋に向かって一直線で行ったから、割と早かったな。まだ宝とかは眠ってると思う」
「いやいや、ボス部屋一直線って、迷宮型のダンジョンでそんなことできるんですか!?」
「ああ、そういう意味ではちゃんとグルグルしているぞ。もちろん物理的に一直線に行ったわけじゃなくて、できる限りで最短ルートで行っただけだ」
「……いや、冷静に考えたら、レイさんならそれくらい簡単なんでしょうけど……。いつもいつもレイさんの話を聞いていると、すごすぎて驚いてしまいます……」
「それで、次はもう少し飛ばして、攻略済みのAランクダンジョンでモンスターを狩って経験値を貯めようと思うだが、どこかいいところはあるか?」
次のダンジョンに行くのは明日にしてもよかったのだが、リリィに聞いたらもっともっと戦いたいと言うので、すぐに次のダンジョンに向かうことになった。
受付のお姉さんは、ファイルをめくりながら答える。
「そうですね、ならば前にレイさんたちが攻略したダンジョンがあります。……ちょうど今ダミアンさんたちもクエストをこなしているんですが、それでもよければ。先に行ったので、クエストの邪魔になることはないとは思いますが」
「ああ、それでいい。許可証をもらえるか?」
「はい、ではこちらをどうぞ」
「じゃぁ昼ごはんを食べたら行こうか」
俺はリリィに伝えると、彼女は「はい!」と勢いよく答えた。
†
Aランクダンジョンへ入っていく俺とリリィ。
といっても、このダンジョンはすでにボスが倒されているいわゆる<攻略済み>のダンジョンだ。それゆえ、実質的に出現する敵はBランク相当と言える。
しかもここは俺がダミアンたちとパーティを組んでいるときに攻略したダンジョンだ。
マッピングもある程度できているので、なおのこと今の俺たちの実力でも十二分に戦っていける。
「よし、早速行こうか」
「はい!」
俺は索敵のスキルでモンスターを警戒しながら進んでいく。
そして、少し進んだところで、早速モンスターに出くわした。
現れたのは、ガーゴイル。
この石像の怪物は、並みの冒険者では歯が立たない防御力を持つ。
スライムポジションで、ガーゴイルが出てくるとは、さすがはAランクダンジョンと言ったところか。
――だが、
リリィは全く恐れることなく斬りかかる。
「“爆炎斬”――ッ!」
先ほどのボス戦でレベルが上がったことで、覚えた上級スキルを放つ。
炎を纏った剣は、ガーゴイルに反撃の隙を与えず、一刀両断する。
「おお、さすがだぞ、リリィ」
たった半日でガーゴイルを瞬殺するようになるとは、驚きだ。
やはり、<剣士適正100>は伊達じゃないな。
「また、レベルが上がりました!」
と、リリィは無邪気に報告する。
この調子でいけば、もうすぐBランク冒険者にはなれるな。
そこに、俺の強化スキルが加われば、かなりのダンジョンで戦えるようになる。
Aランクになる日も遠くないだろう。
†
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