【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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テストです。

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青春のテスト勉強を終えて、今日からテスト週間が始まる。
記念すべき初日だ。

この学園はテストは午前中だけで、午後は自宅学習の形をとっているため数日かけてテストを行っている。

  ガラガラ

「みんな席に着けー。じゃあテストを配るぞ。」

担任が教室に入り、皆が座っていることを確認してテストを配りだす。

「私語禁止な、じゃあはじめ。」

戦いの火ぶたが切って落とされた。







怒涛の4時間が終わり、食堂に来ている。尊と徹と。

メンバーから分かるけどもちろん叫び声が聞こえてくるわけで……

「キャー!栄人様がいる!テスト頑張れそう……」

「尊様もいるじゃん!今日も爽やか~」

「徹さん!珍しくね?漢の中の漢って感じだよな~」

うん、今日は平和だ……これぞ高校生って感じだよな。

「栄人何食べる?」

「俺は今日唐揚げ定食を食べるって決めてんだ。」

「前もそれだったじゃん~徹は?」

「俺も栄人と同じやつにする!」

うん、今日も徹は可愛い。

「そういう尊は何にすんの?」

「俺?俺はね~日替わり定食。」

「お前も前と一緒じゃねぇか。」

「いや、前は日替わりランチ。」

「一緒やん!」

思わずツッコミを入れていると、裾を引っ張られるような感覚がして振り向くと徹が俺の袖を引っ張っていた。

「早く席とろーぜ。」

か・わ・い・い!なに?俺をどうしたいの?もう~ほんとそういうとこ!

「じゃなくて!そうだな。行こうか。」

最近俺のキャラがおかしくなりつつある気がする。でもなんか、元から可愛い奴より、厳つくて時折可愛いところを見せられると破壊力ヤバいんだよな~。あと、イケメンしか勝たん。

一緒に食べたて、そのまま尊と徹の部屋に来ていた。あまりにスムーズなエスコートで気づかずに来てしまった。いや、上手く口車に乗せられた気がしてならないが……まぁ、いっか。

「あぁ~テスト早く終わんねぇかな~」

「お前つくづく思うけど、そんなんでよく爽やかなキャラ演じられてるよな。」

「萌えのためですから。」

と気持ち悪い笑顔を向けてきたから、スルーしておいた。
三人で黙々と勉強をしていると、消しゴムが落ちたので拾う。

「あ……」

「あっ、悪い!」

「いや、ありがとう。」

徹も手を伸ばしてくれていたようで、手と手が触れ合う……カシャカシャカシャカシャ
ベタな恋愛漫画的な展開をしてしまった、横で連写をしている人を除けば。

「いいねいいね、手と手が触れ合う。そして唇と唇が触れ合う!!」

こいつ、手が触れ合っているのを見ているだけで興奮してるぞ。なんて高度な変態技。

「え、なんでだろう。なんも言われてないのに、俺なんかすんごい貶された気がしてならない。」

応える代わりに肩をポンポンしておいた。お前空気読めたんだな。




テスト最終日、部活始めのため校舎に残る人が多い中、俺は一足先に帰ろうとしていた。大事なことだからもう一度、帰ろうとしていたんだ。

「ちょっと来てもらってもいいかな?」

えーっとこの可愛らしい子はどなた?
くりくりした目を少し釣り上げてこちらを見ている。これってもしかして……

「制裁…?」

「はぁ?」

やべっ今口に出てた!?顔に似合わずドスの効いた声をお持ちで……

「いや、何も…」

「さっさと来いや。」




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