56 / 149
ズルい
しおりを挟む「クスッ、じゃあ今度は上半身をしましょうか…」
「っぁ、ふぁい…」
身体に力が入らない。悠希先輩が続けてくれてるけど、正直なんて言っているのか理解できるほど頭が回っていない。
次どこを触られるのかと、悠希先輩の手の動きに全身の感覚が反応している気がする。
暑さのせいか、火照っている身体に日焼け止めの液体が冷たく感じて、それすらも今の俺には敏感に感じ取ってしまう。
「ひゃっ、んぅ…」
「そんなに可愛い反応されると意識してしまいますよ。」
「ん、ぇ?」
悠希先輩が何かを言った気がするが分からず、とりあえず笑顔を返しておく。力が入らないせいか、ふにゃりと崩れた俺の笑顔を見た悠希先輩が顔を真っ赤に染める。
あ、耳まで紅い。
真っ赤な悠希先輩も恥じらう女神像のようで美しいし可愛い。
「それは……ズルいですよ、栄人君……」
少し口を尖らせて呟いた先輩は俺の身体から手を離す。
「手ごわいですけど、俄然やる気が出ますね。」
その時にはもう、いつものキレイな笑顔の先輩がいた。さっきまでのは何だったんだろうと思いつつも、気持ちよかったし良いやぁと最後まで楽観的な俺だった。
先にパラソルから出ていた悠希先輩に終わったことを聞いたのか、ワラワラと愉快な仲間たちが集まって来た。
「栄人君!僕と遊ぼう?」
「いやぁ、俺と!だよねぇ、栄人クン!」
先ほどの勝負を引きずっているのかギスギスしている瑠季と会計の圧が凄い。
「じゃあ、折角だしみんなで遊べるやつにしよう!」
悠希先輩に日焼け止めを隅々まで塗ってもらったし、動くのは好きじゃなけど、そこまで頑なにパラソルから出ない理由が無くなった。
それなら、大勢で出来るものの方が人数的にもいいよなって思ったんだけど……またみんなの目がギラギラしているんだが、俺はまた何か選択を間違えたのか?
「この人数なら、ビーチバレーとかが良いんじゃねぇの?」
珍しくまともな意見を出した尊。明日は雨かな…
「あれ?俺なんか今貶された?」
うん、これは無視だな。
「ビーチバレー!よきよき。チーム分けしましょうよ!」
そこから、始まったビーチバレーに水泳大会、かき氷早食い大会などなど、ほとんどが競うものだったけど皆で夏の海を満喫することが出来た。
転校してきた時はどうなることかと思ったけど、いい人達に出会えることができたなぁと改めて実感することができた1日だった。
この日とは別に生徒会メンバーと遊ぶ日が自分が思ってるよりも楽しみな俺だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
948
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる