【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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温かさ

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林間学校最終日、捻挫をしていることから掃除が免除になった俺は簡易的な保健室と化している部屋で横になっていた。

普通に生活していたら経験することのない経験をした林間学校だったなぁと物思いに耽っていた。

「栄人、大丈夫か?」

1人のはずのこの空間に、俺の名前を呼ぶ聞き心地の良い声が聞こえる。
上体を起こして振り向くと旬祢さんがドアにもたれながら立っていた。その姿さえ絵になる。

「見た目の割には平気です。」

そっか、旬祢さん養護教諭と言うこともあり、引率をしていたんだ。多分俺の手当てをしてくれたのも旬祢さんなんだろうな。

動くと痛いが激痛と言うことでもないため、平気だと思う。生活をする上で支障もなさそうだし。それぐらいの軽い気持ちで答えたんだけど、旬祢さんは表情を暗くしてこちらに近づく。それはもう、もうすぐでゼロ距離になるくらい。旬祢さんって謎なところも多いし、パーソナルすぺース無さそうだよな。

「……はぁ…俺の聞き方が悪かった。大丈夫なわけないよな…悪い。」

何故か謝られた。そしてその流れのまま抱きしめられた。

包まれた腕は温かくて、安心…したんだと思う。

「…………旬祢さん、は…悪くないです……」

安心したら、涙腺が役目を果たしてくれなくなって…とめどなく涙が流れる。


本当は怖かった。どこかで、見つからなかったらどうしよう。このまま餓死したら、背中打った衝撃で肺とか傷ついてたら、色んな最悪の事態が頭の中を駆け巡って…


でも、生徒会のメンバーは自分たちのせいと思って自分を責めてるだろうから弱音を吐けなくて…


今、本当にずっとピンと張っていた緊張の糸が解けた気がする。


「大丈夫だ。栄人、お前は今俺の目の前にちゃんといる。」

言葉を掛けてくれる旬祢さんの顔が見たくて顔を上げると……旬祢さんの顔が近づいて来て、俺は拒むこともなく受け入れる。

合わさった唇からも温もりが伝わってくる。

「んっ……しゅんっ、ねさ……」

名前が呼びたくて口を開くと、待ってましたとばかりに舌が入ってくる。
絡まった舌先から甘い痺れを感じ、徐々に広がる気持ちよさに全身を委ねる。

「栄人…」

甘い響きで呼ばれた名前は、いつも呼ばれている自分の名前なのに特別に聞こえる。もっと、呼んでほしい…ずっと聞いていたいと思う程に欲しているが、俺自身なんでなのかは分からない。でも、理屈とか今はどうでもいい。ただ目の前の温かさを、酔いそうなほどに甘い口づけを………

目の前のいまいち読めない人には何故かすべてをさらけ出したくなる。




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