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scene・37〈最終話〉
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「プロポーズ?」
「そう。俺、乃愛さんと結婚したい。乃愛さんと一緒に居る時が1番楽しい。もう離れてるのはイヤなんだ」
「ちょっ!ちょっと待って!私、一回りも貴方より歳上よ?」
そう私が言うと、澄海は口を尖らせて、
「だから何?女性の方が平均寿命が長いんだし、ちょうど良いでしょう?」
と言った。
「そういう問題じゃないでしょう?」
「じゃあ、どういう問題?え……もしかして、俺の事嫌い?」
「き、嫌いじゃないよ!」
「じゃあ好き?」
「好きだけど、恋愛対象って訳じゃなくて……」
「……知ってるよ!でも離れてる間、全然寂しくなかった?俺との生活が恋しくならなかった?」
「それは……」
寂しくなかった、恋しくなかったと言えば嘘になる。
「俺は寂しかったし、恋しかった。本当なら追いかけて行きたかったけど、俺が変わらなきゃ乃愛さんに男として意識して貰えないって思って頑張った!俺には乃愛さんが必要。今すぐじゃなくても良いけど、乃愛さんに俺がいなきゃって思って貰えるように頑張るから、結婚してください!」
今度は立ち上がって私に頭を下げる。
「……私も澄海と一緒に居たとき、楽しかった。澄海の事は好きよ。それが恋愛対象の好きなのか、今はまだわからない。それに私、もう35よ?そんな私で後悔しない?」
「ここで諦める方が後悔する」
そう言い切った澄海に私は苦笑する。
「澄海、帰ろう。私達の家に」
私がそう言うと、澄海は顔を上げて思いっきり笑顔になった。
「結婚してくれるの?」
「待って!それは…もう少し考えさせて。今日帰国したばかりなのよ?」
と私が笑えば、
「……わかった。まぁいいや。一緒にはいてくれるんだよね?」
と澄海は少し心配そうに私に尋ねた。
私が笑いながら頷くと、澄海は私のスーツケースを奪う。
「じゃあ、帰ろう!俺達の家に!」
と澄海はスーツケースをゴロゴロと引きながら先を歩き出した。私はそれを追いかけながら、
「そうだ!さっきの答え、まだ聞いてない」
と澄海の背中に声をかけた。
「さっきのって?」
「どうして今日ここにいたのかっていう質問の答え」
追い付いた私は澄海の横に並びながら、尋ねる。
「だから、ずっと待ってたって言ったじゃん」
と言う澄海に
「嘘つき!」
と私は空いている澄海の腕を突っつく。
澄海はそんな私の手を捕まえて、
「待ってたのは本当」
と言って笑った。
私達は手を繋いで帰る。私達の家に。
これから私達がどういった形を選ぶのかはわからない。
だけど、彼と1日でも長く一緒に居ようと今は思う。
あ……ちなみに、彼があの日公園に居たのは、帰国の1週間前、私の部屋に友人が換気に訪れていた時に、偶然、澄海が訪ねて、帰国の日時を教えて貰ったのだと言っていた。
……偶然?それって本当?まさか何度も部屋に来てたんじゃない?とからかう様に私が言えば、澄海は少し顔を赤くして
『偶然だよ。あの雨の日に乃愛さんに会えたのと同じ、偶然』
と私にキスをした。
それはきっと『運命』という名の偶然に違いない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
これでこの物語は完結となります。
この作品を最後まで読んで下さった読者の皆様に心から感謝申し上げます。
また新たな作品でお会いできる事を楽しみにしております。
初瀬 叶
「そう。俺、乃愛さんと結婚したい。乃愛さんと一緒に居る時が1番楽しい。もう離れてるのはイヤなんだ」
「ちょっ!ちょっと待って!私、一回りも貴方より歳上よ?」
そう私が言うと、澄海は口を尖らせて、
「だから何?女性の方が平均寿命が長いんだし、ちょうど良いでしょう?」
と言った。
「そういう問題じゃないでしょう?」
「じゃあ、どういう問題?え……もしかして、俺の事嫌い?」
「き、嫌いじゃないよ!」
「じゃあ好き?」
「好きだけど、恋愛対象って訳じゃなくて……」
「……知ってるよ!でも離れてる間、全然寂しくなかった?俺との生活が恋しくならなかった?」
「それは……」
寂しくなかった、恋しくなかったと言えば嘘になる。
「俺は寂しかったし、恋しかった。本当なら追いかけて行きたかったけど、俺が変わらなきゃ乃愛さんに男として意識して貰えないって思って頑張った!俺には乃愛さんが必要。今すぐじゃなくても良いけど、乃愛さんに俺がいなきゃって思って貰えるように頑張るから、結婚してください!」
今度は立ち上がって私に頭を下げる。
「……私も澄海と一緒に居たとき、楽しかった。澄海の事は好きよ。それが恋愛対象の好きなのか、今はまだわからない。それに私、もう35よ?そんな私で後悔しない?」
「ここで諦める方が後悔する」
そう言い切った澄海に私は苦笑する。
「澄海、帰ろう。私達の家に」
私がそう言うと、澄海は顔を上げて思いっきり笑顔になった。
「結婚してくれるの?」
「待って!それは…もう少し考えさせて。今日帰国したばかりなのよ?」
と私が笑えば、
「……わかった。まぁいいや。一緒にはいてくれるんだよね?」
と澄海は少し心配そうに私に尋ねた。
私が笑いながら頷くと、澄海は私のスーツケースを奪う。
「じゃあ、帰ろう!俺達の家に!」
と澄海はスーツケースをゴロゴロと引きながら先を歩き出した。私はそれを追いかけながら、
「そうだ!さっきの答え、まだ聞いてない」
と澄海の背中に声をかけた。
「さっきのって?」
「どうして今日ここにいたのかっていう質問の答え」
追い付いた私は澄海の横に並びながら、尋ねる。
「だから、ずっと待ってたって言ったじゃん」
と言う澄海に
「嘘つき!」
と私は空いている澄海の腕を突っつく。
澄海はそんな私の手を捕まえて、
「待ってたのは本当」
と言って笑った。
私達は手を繋いで帰る。私達の家に。
これから私達がどういった形を選ぶのかはわからない。
だけど、彼と1日でも長く一緒に居ようと今は思う。
あ……ちなみに、彼があの日公園に居たのは、帰国の1週間前、私の部屋に友人が換気に訪れていた時に、偶然、澄海が訪ねて、帰国の日時を教えて貰ったのだと言っていた。
……偶然?それって本当?まさか何度も部屋に来てたんじゃない?とからかう様に私が言えば、澄海は少し顔を赤くして
『偶然だよ。あの雨の日に乃愛さんに会えたのと同じ、偶然』
と私にキスをした。
それはきっと『運命』という名の偶然に違いない。
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これでこの物語は完結となります。
この作品を最後まで読んで下さった読者の皆様に心から感謝申し上げます。
また新たな作品でお会いできる事を楽しみにしております。
初瀬 叶
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