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第41話

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私はあの3人が出ていったサロンに1人ポツンと残されました。
さて、どうしましょう?
きっと、図書室に行ってもグレイは居ないわよね。

でも…ちょっと待って?よくよく考えたら、あの3人の婚約者の方々が、皆バジル男爵令嬢に好意を抱いているって事よね?

不味いわ。皆、殿下のライバルじゃない!
…とりあえず、ベルナール様、ライアン様、ロバート様の弱点を見つけて…なんて私が考えながらサロンを出ると、そこにはグレイが待って居ました。

「あら、グレイ、私を待ってくれていたの?まさか、心配してくれてたりして」

「ああ、心配したさ。あの3人の方をね。
カルキン侯爵令嬢は…顔色が悪かったし、グランド侯爵令嬢も怒り心頭って顔だったな。
無事だったのは、モレッツ伯爵令嬢だけ。そりゃ、心配もするだろ。お前があの3人を抹殺したりしないか心配だったよ」

失礼じゃない?私、そんな事しないわよ。やるなら、もっと時間をかけて徹底的にやるもの。

「そんな事…学園でするわけないでしょう?」

「そう言うと、学園以外なら殺るって聞こえるな」

…『殺る』ってなによ。社会的に抹殺するだけじゃない。字が物騒よ?

「あの方達の婚約者の皆様、全て生徒会役員の方々みたいなの」

「はぁ…また苦情か?」

「いえ…苦情と言えば苦情なのだけど、私を使ってバジル男爵令嬢を排除しようとしたのよ?やんなっちゃう。私を使おうなんて1万年早いと思わない?」

「そうだな、お前を使ってどうこうしようなんて、報復が怖すぎて、俺には無理だな。
まぁ、お前はこの学園の女生徒の中では1番身分が高いからな。お前にさせれば、自分達は横で『そうだ!そうだ!』って言っときゃ良いって思ったんだろ」

「だって、悪役令嬢になったら国外追放されるのよ?」

「は?それ、小説の中の話しだろ?」

「でもどうするの?私が婚約破棄されて国外追放されたら?」

「俺としては、お前に会わなくて済むようになるんだ、万々歳だがな。
しかし、教科書破いたり、悪口言ったりするだけで国外追放なんてするか?流石小説って感じだな」

「多分、決め手は『階段から突き落とした』からよ。ほら…命を狙ったと思われかねないじゃない」

「は?でも死んでないんだろ?」

「ヒロインが死んだらハッピーエンドにならないじゃない」

「なら、やっぱり国外追放はおかしいだろ?例え死んでも、牢屋行きぐらいだぞ、普通」

「だって、ヒーローが王子なんだもん。そこは権力を使って…」

「そんな事に権力使ってたら、臣下は誰もついて来ないぞ?恐ろしいだろ?その小娘に何かあったら、即追放されるんだぞ?恐怖政治かよ」

私、少し小説に影響をされ過ぎましたかしら…グレイの言う事は最もですわね…。
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