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その126

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クリス様からの花で部屋が一杯になり、2人の寝室まで花で溢れ返るようになってきた頃、私達の婚約式は執り行われた。

ここで大々的に私がクリス様の婚約者になった事がお披露目される。
それは国民にまでだ。

「………緊張する…」
と私が呟けば、侍女のリリーが、

「大丈夫ですよ!殿下がどうにかしますって。シビル様はどーんと構えていれば良いんですよ!」
と私に笑顔を見せた。

「そうですよ~。その為に殿下が居るんですから~。それよりも、夜会の前に着替えがあるのですから~早く帰って来て下さいね~」
とのんびりとした口調でデイジーも私を励まして?くれた。

「そう…そうよね。クリス様を頼れば良いのよね」
と私が頷くと、

「それに、シビル様は緊張しても顔には出てませんから!バレないですって!表情変わらないですし!」

「そうそう~。無表情が、役に立ちましたね~」

2人には悪気はないのだ。少し正直過ぎるだけで。

せっかちなリリーと、のんびり屋のデイジー。2人の性格は両極端なのに何故か気が合うらしい。
私もこの素直な2人をとても好ましく思っている。

「さぁ~。準備出来ました~」
とデイジーに言われ着飾った自分を見る。

「これ…私?」
そこには、別人に見える程上品に仕上がった私が居た。

「そうですよ!シビル様は元は良いんです。今まで構わなかっただけで。磨けば光るって感じなので、私達も腕が鳴ります」

「そうですね~。マイナスからのスタートなんで~。プラスにしかなりませんし~」

2人に悪気はない(2回目)


仕度を終えて間もなく、

「シビル!迎えに来たぞ!」
とクリス様が部屋に現れた。

クリス様は騎士の正装で、それはそれはかっこ良い。

「クリス様はあちらでお待ちだとばかり…」
と私が言うと、

「シビルの姿を何で俺より先に護衛に見せなきゃならんのだ。どうせ一緒に行くんだから今でも、後でも同じだろう?
…というか、迎えに来て正解だったな。
こんな綺麗なシビルを護衛達が見たら、全員がお前に好意を持ってしまうじゃないか。少なくともオットーには見せたくないな」

…恥ずかしい。私を好きだと言う物好きはクリス様ぐらいだと言うのに。(ちなみに、私はキャンベル医師の言葉は真に受けていない)

そんなクリス様の言葉を聞いて、リリーもデイジーもニヤニヤしている。

2人に悪気はない…多分。
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