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第三章:恋獄の国と悲しいおとぎ話
43.前世の物語と不幸令嬢(ヨミ視点(ルーファスの護衛))04
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あれから、密偵にルーファス殿下の確保をお願いしたのだが、思った以上に『キヅタの塔』の監視は厳重らしい。月の国の密偵なら魔法がある程度は使えるが今回は基本的に密偵は太陽の国から借りていた。
彼らは体術が得意だが問題はその場合必ず海の国の者にバレやすいということだ。
だからといって月の国から忍ばせられている密偵の数は多くない。少数精鋭ではあるが、『キヅタの塔』内部では魔法が使えないことを考えるとこのふたつの密偵の混合部隊で乗り込むのが妥当だろう。
『ヨミ様、お伝えいたします。ルーファス殿下の閉じ込められているのは最上階と思われますが、こちらに内部から侵入するにはリスクが高いかと』
「仕掛けと監視が厳重なのだな。ならば確か窓があるのだろう?」
『はい、入口となる窓がございます』
「月の国の者は一度、飛行魔法を使ってそこから侵入し、ルーファス殿下を救出しろ」
『わかりました。しかしその場合証拠が残りますが……』
「仕方がない。今は殿下の安全が第一だ。それに明日にはそちらへ迎える。1日ならどうにか隠れられるだろう」
あまり手を子招いていると本気でトリス王太子が何をするか分からない。一旦密偵に命令を出した私はもう一度明日の行動について整理をする。
まず、明日早急にルーファス殿下を月の国へ連れ帰り、かつ現在王宮にいるレミーナ姫様も合わせて連れ帰る。レミーナ姫様の居場所については随時連絡が着ているので問題はない。
問題はルーファス殿下を今日中に確保し安全な場所へ移動できなければ計画に破綻が生じかねないという部分だけだ。
(なんとか殿下を保護できれば……)
気持ちが急いでいた。私はルーファス殿下に連絡を念のため取り計画について話をしようと通信魔法を使用した。
「殿下、ご無事ですか?」
通信魔法はルーファス殿下にのみ聞こえている状態になる。ルーファス殿下自体も本来魔法が使える状態なら心で話せばいいのだが、魔法が使えないため口で話す必要があった。
「殿下?」
しかし、反応が返ってこない。もしかしたら寝ているのかもしれないそう思ったが……
『ルー、君は俺を裏切った。だめだよ逃げようなんて考えては』
『やめろ、それをしまってくれ』
『駄目だ、逃げようとするから少し痛い目にあってもらうよ。大丈夫、足を動かなくするだけだから……』
「これはまずい……」
このままではルーファス殿下が大変なことになる。まだ1日あるが殿下を救えないなら意味がない。私は転移魔法を使うことにした。
転移魔法で移動した先には刃物を持って、今にもルーファス殿下を切り裂かんとしているトリス王太子と必死に抵抗しているルーファス殿下がいた。
「ルーファス殿下!!危ない」
私はあわてて殿下を後ろに庇う。狂気を宿した瞳が私を捉えた。
「ははは、お前誰だ?俺とルーを邪魔するなら殺してやる!!!!」
「申し訳ありませんが、殺されてやるつもりはないです」
どうやら、月の密偵が窓をぶち破ったタイミングで気づかれたらしい。一応窓が破られていたのでなんとかなりそうではある。私は殿下にだけ聞こえるような小さな声で、
「飛びます」
といって殿下を抱きかかえて窓から飛び降りた。殿下の体は監禁生活のせいもありとても軽く非常に心配だったがとりあえず脱出成功だ。ただし、計画通りにはいかないだろう。
「ルーをかえせぇぇええええええ」
背後から咆哮が聞こえた。まるで獣のようだと思った。
とりあえず殿下を抱えて、ひらりと魔法で飛びながら夜の闇に身をくらませた。
彼らは体術が得意だが問題はその場合必ず海の国の者にバレやすいということだ。
だからといって月の国から忍ばせられている密偵の数は多くない。少数精鋭ではあるが、『キヅタの塔』内部では魔法が使えないことを考えるとこのふたつの密偵の混合部隊で乗り込むのが妥当だろう。
『ヨミ様、お伝えいたします。ルーファス殿下の閉じ込められているのは最上階と思われますが、こちらに内部から侵入するにはリスクが高いかと』
「仕掛けと監視が厳重なのだな。ならば確か窓があるのだろう?」
『はい、入口となる窓がございます』
「月の国の者は一度、飛行魔法を使ってそこから侵入し、ルーファス殿下を救出しろ」
『わかりました。しかしその場合証拠が残りますが……』
「仕方がない。今は殿下の安全が第一だ。それに明日にはそちらへ迎える。1日ならどうにか隠れられるだろう」
あまり手を子招いていると本気でトリス王太子が何をするか分からない。一旦密偵に命令を出した私はもう一度明日の行動について整理をする。
まず、明日早急にルーファス殿下を月の国へ連れ帰り、かつ現在王宮にいるレミーナ姫様も合わせて連れ帰る。レミーナ姫様の居場所については随時連絡が着ているので問題はない。
問題はルーファス殿下を今日中に確保し安全な場所へ移動できなければ計画に破綻が生じかねないという部分だけだ。
(なんとか殿下を保護できれば……)
気持ちが急いでいた。私はルーファス殿下に連絡を念のため取り計画について話をしようと通信魔法を使用した。
「殿下、ご無事ですか?」
通信魔法はルーファス殿下にのみ聞こえている状態になる。ルーファス殿下自体も本来魔法が使える状態なら心で話せばいいのだが、魔法が使えないため口で話す必要があった。
「殿下?」
しかし、反応が返ってこない。もしかしたら寝ているのかもしれないそう思ったが……
『ルー、君は俺を裏切った。だめだよ逃げようなんて考えては』
『やめろ、それをしまってくれ』
『駄目だ、逃げようとするから少し痛い目にあってもらうよ。大丈夫、足を動かなくするだけだから……』
「これはまずい……」
このままではルーファス殿下が大変なことになる。まだ1日あるが殿下を救えないなら意味がない。私は転移魔法を使うことにした。
転移魔法で移動した先には刃物を持って、今にもルーファス殿下を切り裂かんとしているトリス王太子と必死に抵抗しているルーファス殿下がいた。
「ルーファス殿下!!危ない」
私はあわてて殿下を後ろに庇う。狂気を宿した瞳が私を捉えた。
「ははは、お前誰だ?俺とルーを邪魔するなら殺してやる!!!!」
「申し訳ありませんが、殺されてやるつもりはないです」
どうやら、月の密偵が窓をぶち破ったタイミングで気づかれたらしい。一応窓が破られていたのでなんとかなりそうではある。私は殿下にだけ聞こえるような小さな声で、
「飛びます」
といって殿下を抱きかかえて窓から飛び降りた。殿下の体は監禁生活のせいもありとても軽く非常に心配だったがとりあえず脱出成功だ。ただし、計画通りにはいかないだろう。
「ルーをかえせぇぇええええええ」
背後から咆哮が聞こえた。まるで獣のようだと思った。
とりあえず殿下を抱えて、ひらりと魔法で飛びながら夜の闇に身をくらませた。
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