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俺たちの歪な関係

究極の選択

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俺にキスすると用は済んだからと機嫌良く手を振って帰って行った真己を、俺たちは呆然と見送っていた。俺は光一の方を見られなくて、押し黙っていた。

「なあ、もしかして一誠が家に帰りたく無い理由ってアレか?」

俺は前を向いたまま言葉を濁した。

「うーんと、何て言うかさ、ちょっと特殊な奴だからしょうがないんだけど。だからって俺も面倒みないといけなくて、疲れるっていうかさ。」


光一が俺の肩に手を置いて言った。

「なんか事情があるみたいだけど、どうしても困ったら俺に言えよ?な?」

俺は光一の優しさにぐっと胸が詰まった。そうだよな、大体全部俺に押し付ける爺さんや父さんが悪いよ。ていうか、俺が見えちゃうのがダメなのか。俺はこんな人前でチュッチュと辱めを受けるくらいなら、まだ密室の方がマシかもしれないと思った。

「なあ光一、ちょっと知りたい奴が居るんだけど。お前、知ってるかな?」


結局、真己の言ってた取り憑かれている学生の事は光一は直接は知らなかった。でもバスケサークルに入ってて俺より顔の広い光一のお陰で、その学生が一緒の単位を取ってる事が分かった。

俺は今その学生、清水が見える位置に席を選んだ。前すれ違った時より一層黒さが増してる。ちらっと見える横顔も何だか顔色が悪い。それより気になるのは、その挙動不審な感じだ。目だけが妙にギョロついていて、その割に覇気が無いので、アンバランスなんだ。


そんな雰囲気を感じるせいか、隣の席に誰も座ろうとしない。ある意味負のオーラを心霊が見えない人間もセンサーが働いてキャッチしてるんだと思う。まぁ、隣に座ってる光一みたいな心霊を背負っても、元気はつらつみたいのは別として。ふと、光一は俺を見て尋ねた。

「今、俺の悪口言った?」

俺は、ちょっとびっくりして声に出てたのかなと思ったけど、口に出したりはしてないはずだ。別に悪口じゃ無いし…。

「いや、光一ってすごい奴だなって思ってただけ。それより、清水って奴だけど話って出来るかな?ちょっと話する必要があるんだ。」


光一は俺の事をじっと見つめてからため息をついた。

「それって、理由聞いてもいい?俺が聞いたとこによると、清水はあんまり良い噂聞かないからオススメしないけどな。」

俺は清水の噂も気になったし、理由もどう話すか、いや、話さないべきか考える必要があった。授業の後で話すからと光一に言って教授の入室と共に、パソコンを立ち上げた。

その時、清水が俺たちの方を見ていたのには気づいて居なかったんだ。それが多分、後から思うと事件の始まりだったのは間違いないんだ。
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