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俺たちの歪な関係

鬼との約束

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授業が終わって教室を出ると目の前に高校の制服を着た真己が待っていた。俺は多分ちょっと挙動不審になっていた。真己は俺を面白そうに見つめると言った。

「ねぇ、約束したよね?俺、腹が減ったよ。食べ物は食えるけどさ、絶対的に旨味が足りないんだ。早く僕に旨いものを食わしてくれよ。一誠、見えてるんだろ?大学はいろんな人がいるだけあって、取り憑かれている人も多いね。僕さっき、とっておきのやつ見つけたんだけど。」


俺はふと、昨日の目の前を通った男子学生を思い出した。あれは光一に取り憑いていた黒いモヤよりもっとやばい感じだった。でも関わり合いになりたくなくて見なかった事にしたんだ。しかも、もし祓ったとしたらその浄化は先日よりひどくなるって事なんじゃないか?

それは避けたい。当然だろう?そんな俺の思いを知ってか知らずか、真己はニヤニヤと俺を見つめて言った。

「やっぱり思い当たる節あるんでしょ?あれめっちゃ旨そうだったねぇ。喰わせてくれよ。」

俺は口ごもりながら、思い切って真己に言った。


「だってお前、もし祓ったら、浄化のために俺を道具に使うだろう?…あれ嫌なんだけど。」

真己はしばらく考えていたが、思いついたように言った。

「うん、そっか。一誠は道具になるのが嫌なのか。だったら一誠が進んで浄化を手伝いたくなるように、心のほうもケアしてやろうか?」

俺は、自ら墓穴を掘りまくっている気がしてきた。光一が側に来たので、俺たちは話すのをやめた。俺が真己の事を愚痴って、苦手にしているのを知っている光一は心配そうに俺を見つめて、真己に向き直ると言った。


「高校生が平日に大学に来るなんて珍しいな。学校は行かなくて大丈夫なのか?」

真己は堂々と挑戦的な眼差しで光一を見つめると言った。

「昨日帰ってこなかった一誠に会いたかったから来ただけだよ。それに俺、この大学結構気に入ってるんだ。来年入ろうかな?」

俺はその時ハッとした。鬼がどのくらい眠りから目覚めているか聞いていなかった事に気づいた。今の口ぶりでは来年も鬼に付き合わされそうじゃないか。今度ゆっくり聞かなくてはと俺は別のことを考え込んでたので、一瞬気づくのが遅れた。


気づけば俺は真己に抱きつかれて、唇にキスされてたんだ。

真己は唖然としている光一に、見せつけるように俺の唇をゆっくりペロリと舐め上げると、ニヤリと笑って俺だけに聞こえるようにささやいた。

「旨いもの喰わせてくれないと、俺そこら辺のロクデモナイ物食って、いちいち一誠にこうやって浄化してもらわないといけなくなるな…。」
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