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181 ハンターさん、お話しましょ?②
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「そう言えばお前、危機感無くねぇか? 武器位取り上げろよ」
「ここに居る魔物の爪や牙を、全てもぎ取れと? 御冗談を」
手をひらひらさせながら、冗談めかしながら否定される。あ~、此奴からしたら、相手が武器を持っている状態が普通なのか。
「魔法だって有るんです。取り上げて油断するより、攻撃することが前提の方が良いでしょう?」
「それでも、おまえはダンジョンマスターだろうに。もし殺されたら、ダンジョンが崩壊するんだろ? そうなったら一か八かやる奴はいるぞ?」
「あ、大丈夫ですよ、これ人形ですから」
人形!? マジかよ、生身にしか見えねぇぞ…ダンジョンて奴は、何でもありだな。
「うちの職人が作った、自慢の逸品です……似すぎて初めて見た時は、ちょっと引きましたけど」
「だ、だろうな……って、手作りかよ! よく造ったな」
本当にね~と、余裕な態度を崩さない。そりゃ人形を遠隔操作してるんじゃ、心配する事なんざ無いわな。
「後はそうですね…手段が多い方が、相手の考えや優先順位を知られるでしょう?」
「ッチ、要は観察って訳だ…ちなみによう、俺達が攻撃してきたら、どうするつもりだったんだ?」
「う~ん、バラして研究材料行でしょうかね?」
小首をかしげ思案したかと思えば、あっけらかんととんでもない事を言ってきやがった。会話も成立するし、見た目も人だが、結局は人外って事か。しかし研究材料か、死霊術の類か?
「研究材料って事は、俺達もう帰れないのか?」
「そうですね~、そこの方、レイモンドさんは解放できますが、他の方はダメですね」
「俺だけか、なんでだ?」
「お…同じ人種だよな…俺達」
「同じかどうかは、怪しい所ですね~。俺はダンジョンマスターって種族不明な何かに成っていますし、そちらの方々の一部は、そもそも人ですらありませんし」
「「「は?」」」
人でない? 何言ってんだこいつ。まさか、人間至上主義者…じゃねぇよな、俺が良いんだから…反人間団体の関係者か? でも、俺らのチームは全員草人だぞ?
「う~ん……0、10、25、25ってところですかね?」
「なんだその数字?」
「人じゃ無い割合、<鑑定>さえさせて貰えれば、中身を教えられますが?」
そう言えば、鑑定された覚えがねぇな。してなかったのか。ん?
「<鑑定>すれば分かるんだよな? してないのに、その…良く分からん割合が分かるのか?」
「あ~、うん。俺のユニークスキル? みたいなもんです」
成る程な。だから、トップ自ら俺らに会いに来たのか。話さないって事は、スキルの内容は聞かない方が良いか?
「因みに、捕まえた他の方は、軒並み75%以上が人外だったので、かなり低いと思いますよ。場合によっては取り除けるかもしれませんから、実験に協力して欲しい所ですね」
その、人外部分を取り除く為の実験材料にしたいと。めちゃくちゃ言ってやがる。だが、俺達は捕らわれの身、拒否権は無い。むしろ抵抗すれば、対応は悲惨なものになるだろうな。反面、協力すれば今の対応が続くかもしれない。そもそも、人でないってところが引っ掛かる。
他も俺と同じ結論になったのか、声を上げる者は居ない。
「<鑑定>する場合、抵抗されるとかなり負荷が掛かるので、受け入れて貰えませんか?」
確かに<鑑定>されると、内側を覗かれるような不快感があるが、それの事か? 鑑定されたことはあるが、そんなにひどい事になった覚え無いぞ?
「そんなにひどいのか?」
「抵抗された場合は、吐くのを覚悟して貰います」
その程度か? もっときついのを想像してたが、それなら…
「分かった、俺が受ける」
立候補しようとしたら、他から先に声が上がった。
ブラウだ、こういう時、率先して行動するのがこいつだからな。
「受け入れるって、どうすれば良いんだ?」
「鑑定の魔道具を自ら受ける感覚で居れば、大丈夫かと。はい」
前に押し出されたのは、丸い結晶が取り付けられた魔道具だ。前に冒険者ギルドで見た、迷宮から産出する、鑑定の迷宮具に似ているな。
「これに手を置けばいいのか?」
そう言うと、何のためらいも無く、結晶に手を置くブラウ。そうすると、空中に透明な板の様なものが現れ、文字が浮かび上がってくる。多分アレが<鑑定>結果なんだろう。
ブラウの方は、特に変化は見られない。抵抗と言う奴をしなかったのだろう。
「ふむ、魔道具の形をしていれば、受け入れやすいのでしょうね。今度からやる時は、この形でやりましょうか」
何かブツブツ言っているが、俺達はその鑑定結果に釘付けになっていた。
名称:草人(草人、穴人、ケルド、その他)
氏名:ブラウ
分類:現体(物質:魔力=85:15)
種族:亜人族(カッターナ王国所属)
LV:17 (最大レベル82 進化適性無し)
HP:1725 /1725
SP:1735 /1725
MP:611 /611
筋力:1070
耐久:820
体力:820
俊敏:820
器用:1758
思考:275
魔力:275
適応率:25(Max100)
変異率:25(Max100)
スキル(残り容量/最大容量 250/500)
・肉体:<毒耐性LV5><毒無効LV2><精神耐性LV5><幻覚耐性LV4>
・技術:<見切りLV8><回避LV3><受け流しLv7><踏ん張りLV8><盾術LV5>
<伝達LV5><団結LV5><身体掌握LV2>
・技能:<身体強化LV7><自己回復LV5><鉄壁LV7><突進LV7>
称号: <Cランクハンター>
草人 66%
巨人 14%
穴人 11%
ケルド 8%
その他 小数点
「見て貰いたいのは、一番下の割合ですね。それがブラウさんの血の割合です」
<鑑定>って、こんなのまで分かるのかよ…俺らの知っている<鑑定>と次元がちげぇぞ。
「草人と、確かにじいちゃんの代に巨人が居るって聞いた事が有るけど、穴人も入ってるんだな、知らなかったわ」
「このケルドってなんだ?」
「はいこれ」
鑑定の迷宮具と同じように、透明な板が現れ…
「「「キショ!?」」」
何これ…なに? これがケルド?
下の方に、説明が書かれていたので読めば、碌な事が書かれて居なかった。
「え? 俺達に、これが混じってるのか?」
「これ、まじ…なのか?」
「俺の中に、化け物が居るってんかよ」
これが、俺が良くて、他がダメな理由か…
「…え? 覚醒すると、俺死ぬのか?」
「多分? いえ、寧ろ意識が無くなった方が幸せかもしれませんね~」
完全に他人事だ。いや他人だけどよ、ついでに俺も他人だけどよ。これは放置して良いもんじゃねぇだろ。てか邪神って、お伽話に出て来るあれか? 5000年前位前にそんな話があったな。あれ、実話だったのか?
「……情報が欲しいんだな、何を聞きたい」
「おや? もういいので?」
「俺は、全面的に協力するぞ。取り除けるんだよな?」
「その為の研究ですよ。今は始めたばかりなので、保証はできません。なんせ魂ですからね、とても繊細で、触れられるかも怪しい部位です。今は死ぬ前提で、解析に人間を使用していますが、皆さんに協力してもらうのは、その成果が出てからになります」
「つまり、暫く待機か?」
「そうですね、その間は自由にして頂いても構いませんよ、契約して頂ければ、外に出ても良いですし」
そうして一枚の羊皮紙を取り出してくる。契約書か、確かこのタイプは……かなり拘束力の高い奴だな。
「内容は?」
「こちらの実験の目途が立てば、その被験体になる事。こちらの許可なく、この情報を外部に漏らさない事」
「話すのはダメなのか」
「殺されるのが分かっていて、ダンジョンに挑む人間はいないでしょう? 死亡が前提の被験体に、立候補する人間も居ないでしょうし、獣人を前面に出して裏に引っ込まれたら、面倒ですからね」
人間は……そうだろうな。あいつ等、自分が良ければそれでいい、みたいな所が有るからな。騙す、脅す、犯す、泣きつく、擦り付けるは、あいつ等の常套手段だ。
このケルドって魔物の情報が正しければ…成る程、繁殖するだけが目的なら、あいつ等の性格も納得できるかもしれない。
「このケルドって部分を取り除けなかったら、どうするんだ?」
「ん? 全部駆除しますが?」
……いつの日か、ダンジョンと人間との間で、戦争が起きるのか……付くならこっちだな。実力的にも、理由的にも。
俺の人生の目標は老衰だからな! 孫に看取られながら死んでやる!
「ここに居る魔物の爪や牙を、全てもぎ取れと? 御冗談を」
手をひらひらさせながら、冗談めかしながら否定される。あ~、此奴からしたら、相手が武器を持っている状態が普通なのか。
「魔法だって有るんです。取り上げて油断するより、攻撃することが前提の方が良いでしょう?」
「それでも、おまえはダンジョンマスターだろうに。もし殺されたら、ダンジョンが崩壊するんだろ? そうなったら一か八かやる奴はいるぞ?」
「あ、大丈夫ですよ、これ人形ですから」
人形!? マジかよ、生身にしか見えねぇぞ…ダンジョンて奴は、何でもありだな。
「うちの職人が作った、自慢の逸品です……似すぎて初めて見た時は、ちょっと引きましたけど」
「だ、だろうな……って、手作りかよ! よく造ったな」
本当にね~と、余裕な態度を崩さない。そりゃ人形を遠隔操作してるんじゃ、心配する事なんざ無いわな。
「後はそうですね…手段が多い方が、相手の考えや優先順位を知られるでしょう?」
「ッチ、要は観察って訳だ…ちなみによう、俺達が攻撃してきたら、どうするつもりだったんだ?」
「う~ん、バラして研究材料行でしょうかね?」
小首をかしげ思案したかと思えば、あっけらかんととんでもない事を言ってきやがった。会話も成立するし、見た目も人だが、結局は人外って事か。しかし研究材料か、死霊術の類か?
「研究材料って事は、俺達もう帰れないのか?」
「そうですね~、そこの方、レイモンドさんは解放できますが、他の方はダメですね」
「俺だけか、なんでだ?」
「お…同じ人種だよな…俺達」
「同じかどうかは、怪しい所ですね~。俺はダンジョンマスターって種族不明な何かに成っていますし、そちらの方々の一部は、そもそも人ですらありませんし」
「「「は?」」」
人でない? 何言ってんだこいつ。まさか、人間至上主義者…じゃねぇよな、俺が良いんだから…反人間団体の関係者か? でも、俺らのチームは全員草人だぞ?
「う~ん……0、10、25、25ってところですかね?」
「なんだその数字?」
「人じゃ無い割合、<鑑定>さえさせて貰えれば、中身を教えられますが?」
そう言えば、鑑定された覚えがねぇな。してなかったのか。ん?
「<鑑定>すれば分かるんだよな? してないのに、その…良く分からん割合が分かるのか?」
「あ~、うん。俺のユニークスキル? みたいなもんです」
成る程な。だから、トップ自ら俺らに会いに来たのか。話さないって事は、スキルの内容は聞かない方が良いか?
「因みに、捕まえた他の方は、軒並み75%以上が人外だったので、かなり低いと思いますよ。場合によっては取り除けるかもしれませんから、実験に協力して欲しい所ですね」
その、人外部分を取り除く為の実験材料にしたいと。めちゃくちゃ言ってやがる。だが、俺達は捕らわれの身、拒否権は無い。むしろ抵抗すれば、対応は悲惨なものになるだろうな。反面、協力すれば今の対応が続くかもしれない。そもそも、人でないってところが引っ掛かる。
他も俺と同じ結論になったのか、声を上げる者は居ない。
「<鑑定>する場合、抵抗されるとかなり負荷が掛かるので、受け入れて貰えませんか?」
確かに<鑑定>されると、内側を覗かれるような不快感があるが、それの事か? 鑑定されたことはあるが、そんなにひどい事になった覚え無いぞ?
「そんなにひどいのか?」
「抵抗された場合は、吐くのを覚悟して貰います」
その程度か? もっときついのを想像してたが、それなら…
「分かった、俺が受ける」
立候補しようとしたら、他から先に声が上がった。
ブラウだ、こういう時、率先して行動するのがこいつだからな。
「受け入れるって、どうすれば良いんだ?」
「鑑定の魔道具を自ら受ける感覚で居れば、大丈夫かと。はい」
前に押し出されたのは、丸い結晶が取り付けられた魔道具だ。前に冒険者ギルドで見た、迷宮から産出する、鑑定の迷宮具に似ているな。
「これに手を置けばいいのか?」
そう言うと、何のためらいも無く、結晶に手を置くブラウ。そうすると、空中に透明な板の様なものが現れ、文字が浮かび上がってくる。多分アレが<鑑定>結果なんだろう。
ブラウの方は、特に変化は見られない。抵抗と言う奴をしなかったのだろう。
「ふむ、魔道具の形をしていれば、受け入れやすいのでしょうね。今度からやる時は、この形でやりましょうか」
何かブツブツ言っているが、俺達はその鑑定結果に釘付けになっていた。
名称:草人(草人、穴人、ケルド、その他)
氏名:ブラウ
分類:現体(物質:魔力=85:15)
種族:亜人族(カッターナ王国所属)
LV:17 (最大レベル82 進化適性無し)
HP:1725 /1725
SP:1735 /1725
MP:611 /611
筋力:1070
耐久:820
体力:820
俊敏:820
器用:1758
思考:275
魔力:275
適応率:25(Max100)
変異率:25(Max100)
スキル(残り容量/最大容量 250/500)
・肉体:<毒耐性LV5><毒無効LV2><精神耐性LV5><幻覚耐性LV4>
・技術:<見切りLV8><回避LV3><受け流しLv7><踏ん張りLV8><盾術LV5>
<伝達LV5><団結LV5><身体掌握LV2>
・技能:<身体強化LV7><自己回復LV5><鉄壁LV7><突進LV7>
称号: <Cランクハンター>
草人 66%
巨人 14%
穴人 11%
ケルド 8%
その他 小数点
「見て貰いたいのは、一番下の割合ですね。それがブラウさんの血の割合です」
<鑑定>って、こんなのまで分かるのかよ…俺らの知っている<鑑定>と次元がちげぇぞ。
「草人と、確かにじいちゃんの代に巨人が居るって聞いた事が有るけど、穴人も入ってるんだな、知らなかったわ」
「このケルドってなんだ?」
「はいこれ」
鑑定の迷宮具と同じように、透明な板が現れ…
「「「キショ!?」」」
何これ…なに? これがケルド?
下の方に、説明が書かれていたので読めば、碌な事が書かれて居なかった。
「え? 俺達に、これが混じってるのか?」
「これ、まじ…なのか?」
「俺の中に、化け物が居るってんかよ」
これが、俺が良くて、他がダメな理由か…
「…え? 覚醒すると、俺死ぬのか?」
「多分? いえ、寧ろ意識が無くなった方が幸せかもしれませんね~」
完全に他人事だ。いや他人だけどよ、ついでに俺も他人だけどよ。これは放置して良いもんじゃねぇだろ。てか邪神って、お伽話に出て来るあれか? 5000年前位前にそんな話があったな。あれ、実話だったのか?
「……情報が欲しいんだな、何を聞きたい」
「おや? もういいので?」
「俺は、全面的に協力するぞ。取り除けるんだよな?」
「その為の研究ですよ。今は始めたばかりなので、保証はできません。なんせ魂ですからね、とても繊細で、触れられるかも怪しい部位です。今は死ぬ前提で、解析に人間を使用していますが、皆さんに協力してもらうのは、その成果が出てからになります」
「つまり、暫く待機か?」
「そうですね、その間は自由にして頂いても構いませんよ、契約して頂ければ、外に出ても良いですし」
そうして一枚の羊皮紙を取り出してくる。契約書か、確かこのタイプは……かなり拘束力の高い奴だな。
「内容は?」
「こちらの実験の目途が立てば、その被験体になる事。こちらの許可なく、この情報を外部に漏らさない事」
「話すのはダメなのか」
「殺されるのが分かっていて、ダンジョンに挑む人間はいないでしょう? 死亡が前提の被験体に、立候補する人間も居ないでしょうし、獣人を前面に出して裏に引っ込まれたら、面倒ですからね」
人間は……そうだろうな。あいつ等、自分が良ければそれでいい、みたいな所が有るからな。騙す、脅す、犯す、泣きつく、擦り付けるは、あいつ等の常套手段だ。
このケルドって魔物の情報が正しければ…成る程、繁殖するだけが目的なら、あいつ等の性格も納得できるかもしれない。
「このケルドって部分を取り除けなかったら、どうするんだ?」
「ん? 全部駆除しますが?」
……いつの日か、ダンジョンと人間との間で、戦争が起きるのか……付くならこっちだな。実力的にも、理由的にも。
俺の人生の目標は老衰だからな! 孫に看取られながら死んでやる!
応援ありがとうございます!
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