本物の聖女が来たから用済みだと言われたので、出張聖女は自分の国に帰ることにしました

小倉みち

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第2章

聖女 ~国王視点~

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 召喚の儀は成功した。


 邪魔な王妃は消え、その光の中から現れたのは、1人の不思議な少女だった。

 黒髪に黒い瞳の美少女。

 不思議な服を着ているのは、彼女が異世界から現れたことを彷彿とさせた。


「……?」


 目の前の少女は、不思議そうな顔できょろきょろとあたりを見渡す。

「えっ、何これ? ここどこ? 私――」

「おおっ!」


 わしは感動のあまり、魔法陣の中に突っ走って少女に抱き着こうとした。


 すると、

「ぎゃぁぁぁぁぁああああああああ! キモい!」

 と、思い切り平手打ちを食らう。

「ぐふっ」

 わしはみっともない声を出して、地面に倒れ伏せた。


「陛下!」

「大丈夫ですか!?」


 従者たちが集まってくる。

「くそ! この女め!」

「陛下になんてことを! 殺す!」


 シャキンッと、剣を抜く音。

「ま、待て!」

 焦った大臣の声。

「彼女は聖女だぞ!」

「そ、そうだ……」


 わしも、ゆっくりと起き上がる。

「わしは忍耐深いからな……。この程度で怒ることはないぞ」


 ビンタはかなりの威力で、死ぬほど頬が痛い。


 しかしこの力……。

 まさしく聖女のものだ。


 聖女について詳しくは知らんが、なんとなくそう感じる。


 この少女が聖女であることは、間違いないだろう。


「聖女よ」


 わしは出来るだけにっこり微笑んで、もう一度少女に近づく。

「ひっ」


 少女は悲鳴をあげ、身体を縮こまらせた。

「キ、キモい……」

「落ち着いてくれ、聖女よ」


 わしは、大臣に説明させる。

「聖女様、ようこそこの国においでくださいました」

「は? 聖女?」

「この国では、あなたの力が必要なのです。ですから、僭越ながらあなた様を召喚させていただきました」

「聖女、召喚……」


 彼女はボソリと呟く。


「もしかして、異世界転移?」

「左様にございます」

 と、大臣。

「あなたにはぜひ、この国で聖女として生活してほしいとーー」

「ってことは」

 と、聖女。

「向こうの世界とはおさらばってこと?」

「ええ」

「ちゃんと良い生活送らせてくれるってこと?」

「もちろんです」

「やったー!」


 少女は立ち上がり、大喜びした。

「これでもう、学校なんて行かなくて良いんだわ! しかも妄想が現実に!」


 なんのことやらわからんが、とりあえず聖女になってくれるらしい。


 順調だな。

 すべてはわしの、思うがままだ。


 見てろよ、偽物め。


 わしはほくそ笑んだ。
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