本物の聖女が来たから用済みだと言われたので、出張聖女は自分の国に帰ることにしました

 この世界には、妖精族という種族がいる。


 人間とは似ているようで似ていない。


 背中にはレースのように美しい羽が生え、花のような香りのする神秘的な種族。

 魔族の1種だが、ほかの魔族たちとは違い、妖精族は昔から人間と関わりを持っていた。


 人間たちは妖精族に食べ物を持っていく代わりに、妖精族は人間たちに美しい布を与える。


 妖精族の作り出す布は魔力が込められており、それで作られた服を着た人間は、恐ろしい危険から自分の身を守ることが出来た。


 しかし現在、その布が売れなくなってしまった。

 妖精族は食糧危機に見舞われ、とうとう新しい政策を打ち出すことになった。


 それは、出張聖女。


 「聖女」として人間の国に出張した妖精たちは、契約の一定期間、その国のために魔力を提供するというものだ。


 妖精族は食料が手に入り、人間たちは妖精の膨大な魔力で自分の国を豊かにすることが出来る。


 まさに、ウィン・ウィンの関係。


 そんな出張聖女の中でもトップの成績を誇る妖精族のフィオーネは、数年間働き続けたとある国の国王から、

「異世界から本物の聖女がやって来た。偽物のお前はもう必要ない。この国から出て行け」

 と言われてしまう。

「ですが陛下。報酬の方はまだいただいておりませんが」

「何を言う、この偽物が! 我が物顔で居座って様々なものを奪っておきながら、なお自分の利益をぶんどるつもりか!」


 来る日も来る日も24時間働かされ、雑に扱われ、さらには「偽物」呼ばわり。


 挙句の果てに、この数年間の報酬は一切なしと来た。


 普段は温厚なフィオーネにも、我慢の限界が訪れる。

「あっ、そうなんですか。それはおめでとうございます。では、私は自分の国に帰らせていただきますので」


 キレたフィオーネは城をめちゃくちゃにし、さっさと自分の国に帰ってゆっくりと身体を休める。


 しかし話はそれでは終わらなかった。


 フィオーネの加護が失われたその国は、次々と災難に見舞われていくのだった。

 
24h.ポイント 0pt
60
小説 221,113 位 / 221,113件 ファンタジー 51,322 位 / 51,322件

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

『自分の方が優秀』と吹聴していた第二王子、証明の機会を与えられて何もない領地に放り出される

ファンタジー
兄である第一王子ゼフィールを妬み、聖女ユリアとの噂を利用して失脚させようとした第二王子ヴィクター。 だがその浅はかな策略はすべて露見し、学園退学の後臣籍降下を言い渡される。 さらに与えられたのは、文字通り『何もない』辺境の土地。 資源もなく、発展の見込みもない場所で、「自分の方が優秀」と証明してみせろと命じられる。 これは、すべてを失った愚かな王子が、自らの言葉に追い詰められる物語。 ※複数のサイトに投稿しています。

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。