本物の聖女が来たから用済みだと言われたので、出張聖女は自分の国に帰ることにしました

小倉みち

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第3章

治療

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 放って置いてくれなんて言われても、治療しないわけにはいかない。

 人間は妖精族以上に脆く、ちょっとのことで命を落としてしまう。


 私たち妖精族は、死んだあとは大地に還元される。

 死してなお、神のお役に立てるというわけだ。


 しかし人間は、そうはいくまい。


 愚かな過ちを繰り返す人間は、死すれば無だ。

 何もなかったことになる。


 だから私は、ルドルフ殿下を連れ帰ろうと思ったのだ。

 あの子の優しさのお礼がしたかった。


 私はギルに治療薬を持ってきてもらっては、ルドルフ殿下に渡した。


「これを飲んでちょうだい」

「……はい。ありがとうございます」


 きちんとお礼はしてくれる。

 だが殿下は頑なだった。


 恐らく、私の言い分によほど不満があるのだろう。

 ギル曰く、その感情は仕方がないことだというので気にしないことにした。


 それはつまり、私にも非があるということだから。




 ギルがどこから治療薬を持ってきたのかはわからないけど、ともかくルドルフ殿下の容態はどんどん良くなっていった。

 ギーリウス王国にいた頃は、「薬だけで人間の病気や怪我は完治しない」と聞いていたが、あれはきっと嘘だったのだろう。


 彼は立ち上がり、外ではしゃぎ回るほどに元気になった。

 同胞のルーと仲良くなったようで、子どもらしくキャッキャと遊んでいる。


 私はその様子を見て一安心した。


 これなら、あともう少しで完治するだろう。

 そうすれば、彼は自分の国に帰ることが出来るはずだ。


 ――族長に、殿下の記憶を消す儀式をお願いしに行かなければ。

 
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