行方不明だった元婚約者が戻ってきたので、浮気三昧な現婚約者を捨てることにしました

小倉みち

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ランス

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「ランスが、生きているということですよね」


 私は、両親に対して念を押す。


「ランスが、彼が生きているということなんですよね」

「ああ」

 お父様は、しばらく見ていない笑顔を浮かべた。

「確実にそうだろう。これは、隣国の行政からの連絡なんだ。正式な連絡だ。私たちがかつて葬式をしていたという話をどこかで耳にしていたのだろう」

「ランスは、ランスはどんな様子なんですか?」

「隣国の行政によると、彼はかなり消耗しているらしく、詳しい話は聞いていないそうだ」

「でも、私たち、また会えるわよね? 会いに行っても良い?」

「ええ。でも、あなたにはリアムくんがいるでしょう? ちゃんと話をしてから、ランスに会いに行けば良いわ」


 リアムという言葉を母から聞き、一気に憂鬱になる。

 嫌なものを思い出してしまった。


「え、ええ……」

「どうした? 何か問題でもあるのか?」

「い、いいえ。大丈夫です」


 私は生まれて初めて両親との約束を反故にした。

 私には、どうしてもあのリアムと会話する気になれなかったのだ。

 一度声をかけてみようかと中庭に出向いたが、相変わらずジニーとともに楽しげに会話しているのを見て、その気持ちも萎えてしまった。


 いつもなら、彼らの行動を咎めようと行動するのに、今回だけはなぜか声もかけようとしなかった。


 きっと、私の心の中は、それどころじゃないくらい華やいでいたからだろう。


「で、リアムくんは許してくれたかい?」

 隣国へ向かう当日、私は父親にそう尋ねられた。

「ええ」

 私は力強く頷く。

「許していただけました」

 本当は許可すらも取っていなかったが、正直あの人が私の交友関係に興味があり、束縛するような人間ではないことは明らかだった。

 幸運なことに、両親は私をとても信用しているようだった。

「そう。じゃあ、一緒に行きましょうね」


 母の疑いない言葉に少々罪悪感を覚えてしまうものの、やはり私の中では断然ランスに会えることの嬉しさが勝っていた。
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