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謁見 ~ランス視点~
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いくら公爵家という後ろ盾があるとはいえ、たかが一介の庶民が国王陛下に謁見することなんて当然出来やしない。
しかしながら、国王陛下はそんな俺の無礼にも快く答えてくれた。
それは、俺が自分の姪の友人だからという理由ではなく、陛下の広いお心がそうさせているのだろう。
国王への謁見の申し込みを内密に済ませた俺は、当日、公爵家の面々に、
「クラスメイトと遊びに行く」
と嘘をつき、城へ向かった。
相変わらず荘厳だが質素な城の中をひたすら歩き、国王がいるという執務室に向かう。
「失礼いたします。ランスです」
ノックをしてそう言った俺に、
「ああお前か。入ってくれ」
と言う国王。
俺は周囲の好奇の視線を浴びながら、部屋の扉を開けた。
「お忙しいところ、お時間をいただき誠にありがとうございます」
「いや、気にするな」
陛下は手に持っていた資料を机に置き、俺の方を見る。
「して、話とは? この前の件か?」
「はい」
俺は頷く。
「まだその、あの話が有効なら。俺、受けようと思っています」
「そうか」
陛下は言った。
「では、我が姪を守る覚悟が出来たということで良いのか?」
「それは……まだはっきりとは断言出来ませんが」
この期に及んでまだ優柔不断な態度を取ろうとする自分自身に嫌気が差すが、それが俺の本心だった。
「ただシャーロットを守るには、貴族の地位が必要であることは確かだと痛感しました」
あのリアムという公爵子息や、その父親と渡り合っていくには。
少なからず貴族であるという立場が必要になってくる。
今の庶民という立場からいくら正しさを説いたとしても、あの連中の方が有利なのだ。
それが貴族と庶民の明確な差。
身分制社会というものだ。
俺には記憶がない。
だからこそ、自分が貴族であるという認識も薄い。
それゆえに今までずっと足踏みしていたのだが。
あの連中をどうにかするためには、陛下の話に乗る必要が出てきた。
「爵位がいただけるなら、なんでもします。俺があの連中を黙らせる力を、どうかいただけないでしょうか?」
しかしながら、国王陛下はそんな俺の無礼にも快く答えてくれた。
それは、俺が自分の姪の友人だからという理由ではなく、陛下の広いお心がそうさせているのだろう。
国王への謁見の申し込みを内密に済ませた俺は、当日、公爵家の面々に、
「クラスメイトと遊びに行く」
と嘘をつき、城へ向かった。
相変わらず荘厳だが質素な城の中をひたすら歩き、国王がいるという執務室に向かう。
「失礼いたします。ランスです」
ノックをしてそう言った俺に、
「ああお前か。入ってくれ」
と言う国王。
俺は周囲の好奇の視線を浴びながら、部屋の扉を開けた。
「お忙しいところ、お時間をいただき誠にありがとうございます」
「いや、気にするな」
陛下は手に持っていた資料を机に置き、俺の方を見る。
「して、話とは? この前の件か?」
「はい」
俺は頷く。
「まだその、あの話が有効なら。俺、受けようと思っています」
「そうか」
陛下は言った。
「では、我が姪を守る覚悟が出来たということで良いのか?」
「それは……まだはっきりとは断言出来ませんが」
この期に及んでまだ優柔不断な態度を取ろうとする自分自身に嫌気が差すが、それが俺の本心だった。
「ただシャーロットを守るには、貴族の地位が必要であることは確かだと痛感しました」
あのリアムという公爵子息や、その父親と渡り合っていくには。
少なからず貴族であるという立場が必要になってくる。
今の庶民という立場からいくら正しさを説いたとしても、あの連中の方が有利なのだ。
それが貴族と庶民の明確な差。
身分制社会というものだ。
俺には記憶がない。
だからこそ、自分が貴族であるという認識も薄い。
それゆえに今までずっと足踏みしていたのだが。
あの連中をどうにかするためには、陛下の話に乗る必要が出てきた。
「爵位がいただけるなら、なんでもします。俺があの連中を黙らせる力を、どうかいただけないでしょうか?」
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