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2章
2章18話(119話)
しおりを挟む化粧水、美容液、日焼け止め……。アカデミーで許されているのはそのくらい。リップは色付き可。ただし、不自然な色はダメってアカデミーの入学案内に書いてあった。お化粧をするのは、限られた時だけみたい。昨日のようなパーティーは許されていた。
唇も保湿が大事らしい……。セリーナ先生、自分で基礎化粧品のブランドを立ち上げたのよね……。入学祝いとして十代の女性用のシリーズを貰ったのよ。
化粧水の使い方もしっかりと教わった。アカデミーではリタの手を借りられないからね。……よし、後は制服に着替えるだけだわ。
このアカデミーでは制服が決まっている。深緑色のワンピース。胸元にアカデミーの紋章が入っている。スカートの丈は足首まである。……でもね、この制服楽なのよ……。なんせコルセットを使わないから。
ジーンとイヴォンが眠っている隙に制服に着替えた。髪型は……どうしようかな。ハーフアップにでもしようかな。ドレッサーの前に座り、櫛を取り出す。髪を毛先から梳いていき、ハーフアップにするために髪をまとめようとして、リボンを取り出すことを忘れていた。アンダーソン家の瞳の色を思わせる真っ赤なリボン。
……昨日のジェリー・ブライトが真っ赤なドレスを着ていたことを思い出して、私は動きを止めた。
「……ん、……? 早いのね、エリザベス……」
「おはよう、ジーン。起こしちゃった?」
「いいえ、そろそろ起きる時間だったから……。髪型が決まらないの?」
「ハーフアップにしようとは思ったんだけど……」
「そう、ちょっと待って」
ジーンがベッドから抜け出して、私の元に来てくれた。櫛を取り、慣れた手つきで梳いて、私の髪をハーフアップにまとめ上げる。リボンできゅっと結んでくれた。
「似合うわね、深緑の制服に赤いリボン。エリザベスの銀色の髪に良く映えているわ」
「そう?」
「ええ。……昨日ことを気にしているの?」
私が好んで赤いリボンを使っているのは、アンダーソン家の色だと思うから。昨日のジェリーのように、ドレスで着たいとまでは思わない。真っ赤なドレスは存在感があるから、印象付けるのにはピッタリかもしれないけれど……。
「……気にしなくても良いのよね、きっと」
「そうよ。だってエリザベスが赤を使いたいのは、アンダーソン家の色だからでしょう? アルフレッド様の瞳と同じ色」
「……うん。アンダーソン家の色だから……」
「なら、堂々としていれば良いのよ。それに、エリザベスはお茶会でも良く赤いリボンで髪をまとめていたから、気付いている人は気付いてるわよ」
……そうだよね。私が赤を身につける理由なんて、きっと色々な人にバレバレだ。私はジーンに向かって笑顔を向けて、「ありがとう」と柔らかい口調で伝える。ジーンは、それを見て、ゆっくりと首を横に振った。
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