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2章
2章56話(157話)
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「……あまり顔色が良くないようだが、きちんと休んでる?」
「は、はい。えっと、今日は衝撃的なことがあったので……」
カーラ様が私の顔色に気付くと、すぐに近くに来てくれて観察するかのように私をマジマジと見る。私は眉を下げて頬を掻く。カーラ様は納得したような……していないような……表情を浮かべたけれど、すぐにぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。
「それじゃあ、色々と話し合いましょうか」
お母様がパンパンと両手を叩いてそう言う。お父様は私とエドを下ろして椅子に座らせた。この場にいる全員が座り、リタたちがお茶を配膳し、部屋から出て行ったタイミングでソルとルーナが現れて魔法を掛けた。防音と結界だ。クリフ様はソルとルーナが魔法を使うところを、じぃっと見つめていた。
「これで」
「安心!」
そう言うと、ソルは私の肩に、ルーナは私の膝の上にぴょんと乗った。
「……とりあえず、僕とリザの外泊届は出してきたから、話し合いは時間が遅くなっても大丈夫」
「ありがとうございます、アル兄様」
「どういたしまして。……それで、なにから話せば良いの?」
アル兄様がお母様に顔を向けると、お母様は私とシー兄様に視線を向けた。私とシー兄様は、顔を見合わせて、それからシー兄様が口を開く。
「リザの出生のことなんだけど……」
そしてシー兄様は、神殿で起こったことをみんなに説明し始めた。
ファロン家の家系図を見たこと、ファロン家の家系図には私、ジュリー、ジェリーの存在が刻まれていて、ジェリーが生きている可能性があること。――ファロン家が……カナリーン王国の王族の血筋を引いていることを。
「カナリーン王国の王族ですって!?」
「百五十年前にこの国に来たようです。ただ、【宝石眼を持たない】王族だったようです」
「……人体実験の材料にされていたみたいで、カナリーン王国のことを『悪魔の国』と言っていました……」
「……言っていた?」
「水晶に、恐らくファロン家の第一当主が映っていたんだ。リザの魔力で映像が見えた」
「そんな昔に映像魔法があったのか……さすが、カナリーン王国というべきか……」
クリフ様が驚いたように目を丸くしていた。そして、ゆっくりと息を吐いて心を落ち着かせているみたい。
「……なるほど。水晶に反応するようになっているのは王族の魔力ってことね」
「……リザの目が宝石眼だから反応した?」
「いえ、宝石眼は関係ないと思う。そもそも、その子の宝石眼は後天性なんでしょ?」
こくりとうなずく。どうして宝石眼になったのかもわからないし……。そっと自分の目元に触れるとすりすりとソルが頭を擦りつけてきた。ソルにしては珍しく、甘えているのかな……?
「……ってことは、ジュリー・ファロンも王族の血が流れているのか……」
アル兄様の言葉に、私たちは無言になった。塔に閉じ込められたジュリー。そのジュリーにそっくりのジェリー・ブライト……。……ファロン家の『ジェリー』は生きている可能性があると思う……そして、それを裏付けることをアル兄様が話し始めた。
「は、はい。えっと、今日は衝撃的なことがあったので……」
カーラ様が私の顔色に気付くと、すぐに近くに来てくれて観察するかのように私をマジマジと見る。私は眉を下げて頬を掻く。カーラ様は納得したような……していないような……表情を浮かべたけれど、すぐにぽんぽんと私の頭を撫でてくれた。
「それじゃあ、色々と話し合いましょうか」
お母様がパンパンと両手を叩いてそう言う。お父様は私とエドを下ろして椅子に座らせた。この場にいる全員が座り、リタたちがお茶を配膳し、部屋から出て行ったタイミングでソルとルーナが現れて魔法を掛けた。防音と結界だ。クリフ様はソルとルーナが魔法を使うところを、じぃっと見つめていた。
「これで」
「安心!」
そう言うと、ソルは私の肩に、ルーナは私の膝の上にぴょんと乗った。
「……とりあえず、僕とリザの外泊届は出してきたから、話し合いは時間が遅くなっても大丈夫」
「ありがとうございます、アル兄様」
「どういたしまして。……それで、なにから話せば良いの?」
アル兄様がお母様に顔を向けると、お母様は私とシー兄様に視線を向けた。私とシー兄様は、顔を見合わせて、それからシー兄様が口を開く。
「リザの出生のことなんだけど……」
そしてシー兄様は、神殿で起こったことをみんなに説明し始めた。
ファロン家の家系図を見たこと、ファロン家の家系図には私、ジュリー、ジェリーの存在が刻まれていて、ジェリーが生きている可能性があること。――ファロン家が……カナリーン王国の王族の血筋を引いていることを。
「カナリーン王国の王族ですって!?」
「百五十年前にこの国に来たようです。ただ、【宝石眼を持たない】王族だったようです」
「……人体実験の材料にされていたみたいで、カナリーン王国のことを『悪魔の国』と言っていました……」
「……言っていた?」
「水晶に、恐らくファロン家の第一当主が映っていたんだ。リザの魔力で映像が見えた」
「そんな昔に映像魔法があったのか……さすが、カナリーン王国というべきか……」
クリフ様が驚いたように目を丸くしていた。そして、ゆっくりと息を吐いて心を落ち着かせているみたい。
「……なるほど。水晶に反応するようになっているのは王族の魔力ってことね」
「……リザの目が宝石眼だから反応した?」
「いえ、宝石眼は関係ないと思う。そもそも、その子の宝石眼は後天性なんでしょ?」
こくりとうなずく。どうして宝石眼になったのかもわからないし……。そっと自分の目元に触れるとすりすりとソルが頭を擦りつけてきた。ソルにしては珍しく、甘えているのかな……?
「……ってことは、ジュリー・ファロンも王族の血が流れているのか……」
アル兄様の言葉に、私たちは無言になった。塔に閉じ込められたジュリー。そのジュリーにそっくりのジェリー・ブライト……。……ファロン家の『ジェリー』は生きている可能性があると思う……そして、それを裏付けることをアル兄様が話し始めた。
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