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4章
4章65話(365話)
しおりを挟む翌朝、私を起こしに来たリタとタバサがソルとルーナに気付いて、歓声を上げた。その声で起きたと言っても良い。
「あ、起こしてしまいましたね。おはようございます、お嬢様」
「おはよう、リタ、タバサ」
起きたことに気付かれたようだ。ソルとルーナも起き上がり、それぞれじっとふたりを見て「ただいま」と声を掛けた。
「おかえりなさいませ」
リタとタバサが目尻を下げて微笑むのが見えた。ふたりに会えたことに、精霊たちも嬉しそう。
ベッドから抜け出して、身支度を整える。赤いリボンで髪を結んでもらい、ソルとルーナに声を掛けるとすぐに傍に寄ってくれた。
「精霊界はどうでしたか?」
「変わらず不思議な場所だったよ」
私とヴィニー殿下が精霊界に行くことは伝えていたからね。精霊界で起きたことを話していると、ソフィアさんが「わっ!」と驚かすように角から出てきた。
「ソフィアさん!」
「おはよう~。うん、みんな元気そうね」
ソフィアさんはぽんぽんと私の肩を叩いて、それからソルとルーナに視線を向けた。
精霊たちがじっとソフィアさんを見上げる。
「エリザベスちゃん、朝ご飯を食べたらちょっとお話しない?」
「はい、もちろんです!」
「ヴィンセントちゃんも一緒でいい?」
「私は構いませんが……」
ソフィアさんは小さく微笑みを浮かべると、パチンと片目を閉じた。
そして人差し指を立てて、左右に振る。
「ヴィンセントちゃんも大丈夫だと思うわぁ。それじゃ、今は美味しいご飯を堪能しましょ」
そう言うと私の背後に回って、背中をぐいぐいと押してきた。
お腹が空いていたのかな? と思いながら食堂に向かう。
食堂にはみんなが揃っていた。ちらりとヴィニー殿下に視線を向けると、彼は小さく手を振ってくれた。
「おはよう、エリザベス。精霊たちに会えたこと、良かったわね」
「おはようございます、お母様。はい、会えてホッとしました」
席につくとすぐに料理が運ばれてきた。マリアお母様の言葉に目元を細めて胸元に手を置く。ソルとルーナは私の足元で丸くなっていた。
「リザ姉様、良かったね!」
「うん、ありがとう、エド」
エドが精霊たちを見てパァっと表情を明るくさせた。
「ずっと気にしていただろう?」
ジャックお父様の柔らかい声色が耳に心地良い。シー兄様やディア、アル兄様も温かい視線を向けていて、私は小さくうなずいた。
「精霊たちの様子はどうだ?」
「元気みたいです」
シー兄様の問いに、視線をソルとルーナに移す。元気の良さをアピールするようにぴょんと跳ねるルーナに、くすりと笑う。ソルはそんなルーナを見ながら、さらに丸くなった。
「それじゃあ、冷めないうちにいただきましょうか」
と、お母様がパンっと軽く手を叩いてみんなに朝食を摂るのを促した。
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