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✿00:Prologue
*03.友情の大団円
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「ユージィーン!」
はっと、癒月は目を開く。重たかったはずの瞼はしっかりと開いた。
「ユージィン! どこにいるのっ!?」
じんわりと目の奥から熱いものがこみ上げてくる。それは涙となって癒月の頬を濡らした。
「あっ! ユージィン!」
最初に駆けつけてきたのは、女剣士のアンナ。出血がひどくて青ざめた唇で必死に癒月を呼ぶ。
「大丈夫!? ユージィン、しっかりしてよ……」
勝ち気でいつも高飛車な彼女の瞳からぼろぼろと透明な水が溢れてくる。
「知らなかったな……アンナでも泣くとき……あるんだ」
「ばっ、こんなときにまで!? もう、しゃべらなくていいからっ」
アンナの手が温かい。ただ手を繋いでいるだけだというのに。
「ユージィンさまぁっ」
「ユーザ! 生きてるかぁ」
次に洞窟に現れたのは、魔道士と元盗賊のミルフェとタグ。
「はうぅ。死んじゃうのぉ!? 死んじゃうのは嫌だよぉ」
号泣しだすミルフェに癒月は力なく笑った。
「そんなに俺はボロボロか? ミルのほうがボロボロじゃないか……」
魔物の攻撃を受けてミルフェは左足を切断されていた。歩けない彼女はタグに抱きかかえられながら、やってきたのだ。
「ユーザ。お前、死ぬなよ!!」
「馬鹿な。死にそうなのはタグ、お前だ」
彼の皮膚は毒にやられて真っ緑色に変色している。こんな状態で歩けているほうが奇跡だ。
そのとき、号泣していたミルフェがきっと覚悟をしたように顔をあげた。
「治します! ミルがユージィンさまをぜーったい治します~!」
ぎゅっと強く目をつぶると回復魔法を展開しだす。
「ミル、やめろっ!」お前がもたないっ」
「いやです! 帰るときは一緒、いつでも一緒って約束したもん!」
「ミルフェ! 俺の魔力も微々たるまのだが使ってくれ!」
「あたしのも!」
「タグ! アンナ!!」
やめてくれ。
俺なんかのために……!
「ユージィン、いや、ゆ、ユズキだっけ?」
「アンナ……」
「みんなで帰るよ……!!」
みんな……!!
そうだ。
俺たちは。
アンナ、ミルフェ、タグ、そして癒月。
四人でいつも一緒だった。
どんな困難も、みんなで乗り越えてきたんだ。
「これからじゃない! ようやく、これから……みんなで幸せになれる世界を作ろうってのに……あんたひとりこんなところで死なせないっ!」
そうだ、帰ろう。
この四人は、ずっと一緒だ……。
……なんて、思っていたのは、どうやら俺だけだったらしい、と後に癒月は思い知ることになる。
はっと、癒月は目を開く。重たかったはずの瞼はしっかりと開いた。
「ユージィン! どこにいるのっ!?」
じんわりと目の奥から熱いものがこみ上げてくる。それは涙となって癒月の頬を濡らした。
「あっ! ユージィン!」
最初に駆けつけてきたのは、女剣士のアンナ。出血がひどくて青ざめた唇で必死に癒月を呼ぶ。
「大丈夫!? ユージィン、しっかりしてよ……」
勝ち気でいつも高飛車な彼女の瞳からぼろぼろと透明な水が溢れてくる。
「知らなかったな……アンナでも泣くとき……あるんだ」
「ばっ、こんなときにまで!? もう、しゃべらなくていいからっ」
アンナの手が温かい。ただ手を繋いでいるだけだというのに。
「ユージィンさまぁっ」
「ユーザ! 生きてるかぁ」
次に洞窟に現れたのは、魔道士と元盗賊のミルフェとタグ。
「はうぅ。死んじゃうのぉ!? 死んじゃうのは嫌だよぉ」
号泣しだすミルフェに癒月は力なく笑った。
「そんなに俺はボロボロか? ミルのほうがボロボロじゃないか……」
魔物の攻撃を受けてミルフェは左足を切断されていた。歩けない彼女はタグに抱きかかえられながら、やってきたのだ。
「ユーザ。お前、死ぬなよ!!」
「馬鹿な。死にそうなのはタグ、お前だ」
彼の皮膚は毒にやられて真っ緑色に変色している。こんな状態で歩けているほうが奇跡だ。
そのとき、号泣していたミルフェがきっと覚悟をしたように顔をあげた。
「治します! ミルがユージィンさまをぜーったい治します~!」
ぎゅっと強く目をつぶると回復魔法を展開しだす。
「ミル、やめろっ!」お前がもたないっ」
「いやです! 帰るときは一緒、いつでも一緒って約束したもん!」
「ミルフェ! 俺の魔力も微々たるまのだが使ってくれ!」
「あたしのも!」
「タグ! アンナ!!」
やめてくれ。
俺なんかのために……!
「ユージィン、いや、ゆ、ユズキだっけ?」
「アンナ……」
「みんなで帰るよ……!!」
みんな……!!
そうだ。
俺たちは。
アンナ、ミルフェ、タグ、そして癒月。
四人でいつも一緒だった。
どんな困難も、みんなで乗り越えてきたんだ。
「これからじゃない! ようやく、これから……みんなで幸せになれる世界を作ろうってのに……あんたひとりこんなところで死なせないっ!」
そうだ、帰ろう。
この四人は、ずっと一緒だ……。
……なんて、思っていたのは、どうやら俺だけだったらしい、と後に癒月は思い知ることになる。
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