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聖女になるためのテスト
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公爵家の姉と妹が、公爵家にある裏庭に連れてこられた。
すでに裏庭には、聖女となる人物が決まる瞬間を見届けるために貴族だけではなく王族なども立ち入っていた。
公爵が姉のソフィアに優しい口調で言う。
「聖女になるのはおまえだと言ったな。素質も飛びぬけている、自然と聖女になることだろう。聖女になった際に言うべき文句も伝えたが覚えているか? 『私はこれから聖女として~』のやつだ」
ソフィアは頷き、答える。
「もちろんです、お父さま」
――しかし。本音は違った。
(覚えてないけどね。どうせ――)
ちらり、と妹の方を見る。
素質溢れる姉と比べられ、随分と歪んでしまった妹のほうだ。
ソフィアは、今回の聖女になるためのテストで一つのことを企んでいた。
それは――聖女を妹に譲ること。
あまりにも扱いが酷く、このままでは本当に妹が歪み切ってしまう。
ソフィアはそれが耐えられなかった。
今回の聖女テストを仕切る、教会の司祭が訪れる。
そして姉と妹の二人を見ながら優し気に言った。
「今回のテストを説明します――」
司祭の合図と共に、白銀の翼を持った幼体のペガサス――聖獣の子供が近衛騎士団の手によって運ばれてきた。
「テストの内容はこうです。まず、聖獣を傷つける」
「――」
聖獣を傷つける。
そんな言葉に違和感を覚えたのは、おそらくなどとあやふやな言葉を使う必要もないくらいに、ソフィア一人だけだった。
すでに裏庭には、聖女となる人物が決まる瞬間を見届けるために貴族だけではなく王族なども立ち入っていた。
公爵が姉のソフィアに優しい口調で言う。
「聖女になるのはおまえだと言ったな。素質も飛びぬけている、自然と聖女になることだろう。聖女になった際に言うべき文句も伝えたが覚えているか? 『私はこれから聖女として~』のやつだ」
ソフィアは頷き、答える。
「もちろんです、お父さま」
――しかし。本音は違った。
(覚えてないけどね。どうせ――)
ちらり、と妹の方を見る。
素質溢れる姉と比べられ、随分と歪んでしまった妹のほうだ。
ソフィアは、今回の聖女になるためのテストで一つのことを企んでいた。
それは――聖女を妹に譲ること。
あまりにも扱いが酷く、このままでは本当に妹が歪み切ってしまう。
ソフィアはそれが耐えられなかった。
今回の聖女テストを仕切る、教会の司祭が訪れる。
そして姉と妹の二人を見ながら優し気に言った。
「今回のテストを説明します――」
司祭の合図と共に、白銀の翼を持った幼体のペガサス――聖獣の子供が近衛騎士団の手によって運ばれてきた。
「テストの内容はこうです。まず、聖獣を傷つける」
「――」
聖獣を傷つける。
そんな言葉に違和感を覚えたのは、おそらくなどとあやふやな言葉を使う必要もないくらいに、ソフィア一人だけだった。
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