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2 あの日の朝に
閑話・癒し姫
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家に帰るまでの馬車の中は、少し気まずかった。
何度も座り直し、今はずっと窓の外を眺める殿下。
何故かは知らないけど、殿下にとって、私が慰安所の事を知っていたのがショックだったらしい。
まあ、女性が利用することは、ないとは言いませんが殆どありませんでしょうし、一般には開かれていない機関ですから、利用なさる男性達の公然の秘密のようなものだったのかもしれません。
「あ、あの。別に、慰安所を騎士や魔法士達が利用することは、特にどうとかは思っていません。魔力譲渡は彼らには必要でしょうし。
知っている理由は、一部の貴族婦人団体が過剰反応をなさって反対しているからとかではなくて、アァルトネンから出仕している魔法士や騎士のおじ様お兄さま方もご利用なさったことがあるみたいですし、伯爵家の三男は、そちらでパートナーだった女性と結婚なさいましたから」
「ああ。オリヴェルかな。確かに、彼の奥方は、元は癒し姫の一人だったな。癒し姫とは言っても、オリヴェルが初めてのパートナーで、オリヴェルと結婚したから、他の騎士や魔法士を担当したことはなかったようだけど⋯⋯ て、あの、エステル? 誤解があるようだけど、僕は、今まで魔力余剰で倒れたことはあっても、枯渇したことは殆どないからね? それもずっと子供の頃の話だ。癒し姫のお世話になったことはないよ」
「そうですか」
「信じてない?」
「いいえ? 殿下が、わたくしにつまらない嘘を仰る必要はないでしょうし、今までもそういった発言があった事はありませんもの、殿下の言葉を疑うなんて不敬な事、ありませんわ」
「ほんとに?」
癒し姫を利用なさっていたとしても、わたくしが何かを言う事でもないことですし、利用法も様々、回復するまで身を寄せているだけの人もいれば、口づけはしても手を繋いでくっついていれば吸収できる人、添い寝を頼む人、深く繋がって時を過ごす人、吸収や譲渡を魔導を利用して回復強化する人⋯⋯
オリヴェルにいさまからはどのような形式で魔力回復を図ったのかは訊いておりませんが、奥方になられた元癒し姫のニイナ様のお話では、手を繋いで額をくっつけて、魔力回復に努めたと仰っていた。にいさまと恋人になってからは口づけもなさっていたそうだけど。
さすがはニイナ様、慈愛の女神様の名を頂いた光魔法の名手。触れるだけでわずかなりとも魔力譲渡出来、光魔法で体力回復を行えるのだから。
私も少しは使えるけれど、主に自分に対してて、他人を癒したことは殆どない。
「殿下の魔力量から考えましたら、よほどのことでもない限り枯渇する事はないとわかりますもの。それこそ、山津波をお一人で支えられるようなことでもない限り」
「うん、あの時は、魔力譲渡してくれて、ありがとう。おかげで、最後まで支え続けられたんだ。あの時は、すぐには君だったと気づけなくてすまない」
「いいえ。わたくしに出来る支援をさせていただいただけです。国を護る殿下をお助けすることは、国を護ることに通じますもの、誰だって、自分に出来ることをするだけです。気づかないのは、それだけ状況に集中していたからでしょう。気にしていませんわ」
それでも、と、殿下は、何度か謝意を口にされた。
これからは研究仲間でもあり、上司と配下になるのだから、これ以上はこの話は終わりにしましょうと、無理やり話を終わらせた頃、アァルトネン公爵家の瀟洒な飾りポールの庭囲いが見えて来た。
家に帰るまでの馬車の中は、少し気まずかった。
何度も座り直し、今はずっと窓の外を眺める殿下。
何故かは知らないけど、殿下にとって、私が慰安所の事を知っていたのがショックだったらしい。
まあ、女性が利用することは、ないとは言いませんが殆どありませんでしょうし、一般には開かれていない機関ですから、利用なさる男性達の公然の秘密のようなものだったのかもしれません。
「あ、あの。別に、慰安所を騎士や魔法士達が利用することは、特にどうとかは思っていません。魔力譲渡は彼らには必要でしょうし。
知っている理由は、一部の貴族婦人団体が過剰反応をなさって反対しているからとかではなくて、アァルトネンから出仕している魔法士や騎士のおじ様お兄さま方もご利用なさったことがあるみたいですし、伯爵家の三男は、そちらでパートナーだった女性と結婚なさいましたから」
「ああ。オリヴェルかな。確かに、彼の奥方は、元は癒し姫の一人だったな。癒し姫とは言っても、オリヴェルが初めてのパートナーで、オリヴェルと結婚したから、他の騎士や魔法士を担当したことはなかったようだけど⋯⋯ て、あの、エステル? 誤解があるようだけど、僕は、今まで魔力余剰で倒れたことはあっても、枯渇したことは殆どないからね? それもずっと子供の頃の話だ。癒し姫のお世話になったことはないよ」
「そうですか」
「信じてない?」
「いいえ? 殿下が、わたくしにつまらない嘘を仰る必要はないでしょうし、今までもそういった発言があった事はありませんもの、殿下の言葉を疑うなんて不敬な事、ありませんわ」
「ほんとに?」
癒し姫を利用なさっていたとしても、わたくしが何かを言う事でもないことですし、利用法も様々、回復するまで身を寄せているだけの人もいれば、口づけはしても手を繋いでくっついていれば吸収できる人、添い寝を頼む人、深く繋がって時を過ごす人、吸収や譲渡を魔導を利用して回復強化する人⋯⋯
オリヴェルにいさまからはどのような形式で魔力回復を図ったのかは訊いておりませんが、奥方になられた元癒し姫のニイナ様のお話では、手を繋いで額をくっつけて、魔力回復に努めたと仰っていた。にいさまと恋人になってからは口づけもなさっていたそうだけど。
さすがはニイナ様、慈愛の女神様の名を頂いた光魔法の名手。触れるだけでわずかなりとも魔力譲渡出来、光魔法で体力回復を行えるのだから。
私も少しは使えるけれど、主に自分に対してて、他人を癒したことは殆どない。
「殿下の魔力量から考えましたら、よほどのことでもない限り枯渇する事はないとわかりますもの。それこそ、山津波をお一人で支えられるようなことでもない限り」
「うん、あの時は、魔力譲渡してくれて、ありがとう。おかげで、最後まで支え続けられたんだ。あの時は、すぐには君だったと気づけなくてすまない」
「いいえ。わたくしに出来る支援をさせていただいただけです。国を護る殿下をお助けすることは、国を護ることに通じますもの、誰だって、自分に出来ることをするだけです。気づかないのは、それだけ状況に集中していたからでしょう。気にしていませんわ」
それでも、と、殿下は、何度か謝意を口にされた。
これからは研究仲間でもあり、上司と配下になるのだから、これ以上はこの話は終わりにしましょうと、無理やり話を終わらせた頃、アァルトネン公爵家の瀟洒な飾りポールの庭囲いが見えて来た。
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