死んだ日の朝に巻き戻りしました  ら、溺愛生活がリスタート?

ピコっぴ

文字の大きさ
40 / 64
3 新しい生活の始まり

3‑7 初実験

しおりを挟む
     🌊

 ここ数日は、これまで働いたことのなかった私には、具体的には何も出来ないので、取り敢えず出来ること、殿下の下で働くということがどんなことなのか、過去の事例やその時殿下はどうなされたのかなどの記録を、読み込む毎日。

 疑問に思うところ、よく解らないところは、たいてい、訊けば殿下の執事達が解説してくれる。

 学校では、殿下の研究室で、過去の記録や資料の整理をやりつつ、殿下と魔力質の親和性を失わないよう、毎日同調して魔力を魔法陣の中で回すことを繰り返している。

 それらの資料によると、殿下は、その強大な魔力を以て、多くの問題を解決して来ていた。

 その最たるものが、例の王城や城下町を飲み込みかけた山津波の制御である。

 その他も、たいていが、普通の魔法士数人ではどうにもならないであろう事を処理して来た、パワー任せのワンマン運営な所があった。

 これでは、殿下が倒れてしまえば、何も出来なくなるのではないのか。
 殿下の魔力と知識量と行動力だけが頼りの状態は、国自体がかなり危ういと思われた。

 殿下も人。寿命があるし、加齢と共に数十年もしたら衰えるかもしれない。
 その時、或いは殿下が儚くなられた後、この国の魔法士達はどうするのか。

 おそらくは、そのための共鳴魔法なのだろう。

 現在、殿下お一人で熟されている事を、数名から数十名で、協力して殿下の魔法と同等の効果を得る。

 ご自身の力を過信なさらない、先を見据えた研究をなさっている⋯⋯やはり素晴らしい方なのだ。
 その研究の一端を担う事になる、魔法発展の基盤強化の国家的な区画に携われるなんて、魔法士としてこれ程名誉なことがあるだろうか。


 殿下とは、手を触れあうだけで魔力を同調させられるようになって来ていた。

 今なら、癒し姫の回復能力も上回る効果値をたたき出せるのではないだろうか。
 但し、お相手がエリオス殿下に限るのだけれど。

 これが、誰でも出来るようになれば、魔力量が、基礎魔法力が足りないから発動しなかった上級魔術に挑戦できるようになるのだろう。


 たまに学内の購買部や食堂で同級生に会うけれど、誰もクレディオス様については訊ねてこない。

 学長から、おそらくは生徒達の保護者に、当然私の実家にも、事故の概要とクレディオス様についての処分内容などの連絡は行っているのだろう。


 今日は、初めて、魔力を同調させるだけでなく、何か小さな魔法を発動させてみようという事になった。

 失敗して暴走した時に、抑えやすい術を選ぶ。
 火は、飛び火すると手がつけられなくなるので却下。
 私も殿下も、光・水・風が得意属性である。

 光は熱を帯びるかもしれない。鉄砲水が飛び出すのと、突風が吹くのは、どちらがマシだろうか?

 暴走して竜巻状になると危険なので、水にしようという事になった。

 魔法陣の真ん中に木製の杯をふたつ置く。

 空気中の水分を集めて注ぐ事も出来るはずだけど、まずは、揺らすだけでもいいだろうと、片方に八分目くらい水を入れておく。

 二人で魔法陣の一部に手を触れ、集中し始める。

 直ぐに変化は現れる。杯の水は揺れ始め、波紋を広げていたけど、段々真ん中から盛りあがっていく。

 そのままにゅーっと伸びて、隣の杯に向かっていき、先端が隣の杯の底に触れると、一気に全て移動させた。

「やった。初めて、魔力操作感覚を共有して、魔法を発動させられた! 何回か繰り返しても失敗しないようなら、魔術に移行しよう」

 そう。呪文を唱えたりせず、感覚だけで水を動かすのは、魔力操作の延長戦。魔力の高い者なら、本能的に出来る人も少数だけれどいる。
 ここからは、思い描く効果を出せる呪文を構築し、効果値を求めるのが魔術である。
 殿下の目標は、誰でも力を合わせて、小さな魔術でも大きな効果を出すこと。

 その後も、ふたつの杯の間を、零れることなく水は往き来したので、今度は座標を組み込んで、術式を構築した魔術に挑戦だ。



 ❈❈❈❈❈❈❈

本当は、癒し姫よりも遥かに高い回復効果を、(今の所)エリオス限定で行えるけれど、比べたことがないので、エステルは、気づいてません

魔力譲渡自体が、魔力質の相性が問題で難しい事
癒し姫という専門家は、それなりに出来ているのだと、エステルは、過大評価的に思っている

実際は、そこそこの相性の相手なら体力回復するほど魔力を譲渡するのに一晩かかり、傷や骨折などの怪我を治療するのも、ゲームみたいに呪文でパッとはいかない
切り傷などをわりと直ぐにくっつけられるのは、かなり能力の高い回復士である



しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...