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3 新しい生活の始まり
3‑7 初実験
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ここ数日は、これまで働いたことのなかった私には、具体的には何も出来ないので、取り敢えず出来ること、殿下の下で働くということがどんなことなのか、過去の事例やその時殿下はどうなされたのかなどの記録を、読み込む毎日。
疑問に思うところ、よく解らないところは、たいてい、訊けば殿下の執事達が解説してくれる。
学校では、殿下の研究室で、過去の記録や資料の整理をやりつつ、殿下と魔力質の親和性を失わないよう、毎日同調して魔力を魔法陣の中で回すことを繰り返している。
それらの資料によると、殿下は、その強大な魔力を以て、多くの問題を解決して来ていた。
その最たるものが、例の王城や城下町を飲み込みかけた山津波の制御である。
その他も、たいていが、普通の魔法士数人ではどうにもならないであろう事を処理して来た、パワー任せのワンマン運営な所があった。
これでは、殿下が倒れてしまえば、何も出来なくなるのではないのか。
殿下の魔力と知識量と行動力だけが頼りの状態は、国自体がかなり危ういと思われた。
殿下も人。寿命があるし、加齢と共に数十年もしたら衰えるかもしれない。
その時、或いは殿下が儚くなられた後、この国の魔法士達はどうするのか。
おそらくは、そのための共鳴魔法なのだろう。
現在、殿下お一人で熟されている事を、数名から数十名で、協力して殿下の魔法と同等の効果を得る。
ご自身の力を過信なさらない、先を見据えた研究をなさっている⋯⋯やはり素晴らしい方なのだ。
その研究の一端を担う事になる、魔法発展の基盤強化の国家的な区画に携われるなんて、魔法士としてこれ程名誉なことがあるだろうか。
殿下とは、手を触れあうだけで魔力を同調させられるようになって来ていた。
今なら、癒し姫の回復能力も上回る効果値をたたき出せるのではないだろうか。
但し、お相手がエリオス殿下に限るのだけれど。
これが、誰でも出来るようになれば、魔力量が、基礎魔法力が足りないから発動しなかった上級魔術に挑戦できるようになるのだろう。
たまに学内の購買部や食堂で同級生に会うけれど、誰もクレディオス様については訊ねてこない。
学長から、おそらくは生徒達の保護者に、当然私の実家にも、事故の概要とクレディオス様についての処分内容などの連絡は行っているのだろう。
今日は、初めて、魔力を同調させるだけでなく、何か小さな魔法を発動させてみようという事になった。
失敗して暴走した時に、抑えやすい術を選ぶ。
火は、飛び火すると手がつけられなくなるので却下。
私も殿下も、光・水・風が得意属性である。
光は熱を帯びるかもしれない。鉄砲水が飛び出すのと、突風が吹くのは、どちらがマシだろうか?
暴走して竜巻状になると危険なので、水にしようという事になった。
魔法陣の真ん中に木製の杯をふたつ置く。
空気中の水分を集めて注ぐ事も出来るはずだけど、まずは、揺らすだけでもいいだろうと、片方に八分目くらい水を入れておく。
二人で魔法陣の一部に手を触れ、集中し始める。
直ぐに変化は現れる。杯の水は揺れ始め、波紋を広げていたけど、段々真ん中から盛りあがっていく。
そのままにゅーっと伸びて、隣の杯に向かっていき、先端が隣の杯の底に触れると、一気に全て移動させた。
「やった。初めて、魔力操作感覚を共有して、魔法を発動させられた! 何回か繰り返しても失敗しないようなら、魔術に移行しよう」
そう。呪文を唱えたりせず、感覚だけで水を動かすのは、魔力操作の延長戦。魔力の高い者なら、本能的に出来る人も少数だけれどいる。
ここからは、思い描く効果を出せる呪文を構築し、効果値を求めるのが魔術である。
殿下の目標は、誰でも力を合わせて、小さな魔術でも大きな効果を出すこと。
その後も、ふたつの杯の間を、零れることなく水は往き来したので、今度は座標を組み込んで、術式を構築した魔術に挑戦だ。
❈❈❈❈❈❈❈
本当は、癒し姫よりも遥かに高い回復効果を、(今の所)エリオス限定で行えるけれど、比べたことがないので、エステルは、気づいてません
魔力譲渡自体が、魔力質の相性が問題で難しい事
癒し姫という専門家は、それなりに出来ているのだと、エステルは、過大評価的に思っている
実際は、そこそこの相性の相手なら体力回復するほど魔力を譲渡するのに一晩かかり、傷や骨折などの怪我を治療するのも、ゲームみたいに呪文でパッとはいかない
切り傷などをわりと直ぐにくっつけられるのは、かなり能力の高い回復士である
ここ数日は、これまで働いたことのなかった私には、具体的には何も出来ないので、取り敢えず出来ること、殿下の下で働くということがどんなことなのか、過去の事例やその時殿下はどうなされたのかなどの記録を、読み込む毎日。
疑問に思うところ、よく解らないところは、たいてい、訊けば殿下の執事達が解説してくれる。
学校では、殿下の研究室で、過去の記録や資料の整理をやりつつ、殿下と魔力質の親和性を失わないよう、毎日同調して魔力を魔法陣の中で回すことを繰り返している。
それらの資料によると、殿下は、その強大な魔力を以て、多くの問題を解決して来ていた。
その最たるものが、例の王城や城下町を飲み込みかけた山津波の制御である。
その他も、たいていが、普通の魔法士数人ではどうにもならないであろう事を処理して来た、パワー任せのワンマン運営な所があった。
これでは、殿下が倒れてしまえば、何も出来なくなるのではないのか。
殿下の魔力と知識量と行動力だけが頼りの状態は、国自体がかなり危ういと思われた。
殿下も人。寿命があるし、加齢と共に数十年もしたら衰えるかもしれない。
その時、或いは殿下が儚くなられた後、この国の魔法士達はどうするのか。
おそらくは、そのための共鳴魔法なのだろう。
現在、殿下お一人で熟されている事を、数名から数十名で、協力して殿下の魔法と同等の効果を得る。
ご自身の力を過信なさらない、先を見据えた研究をなさっている⋯⋯やはり素晴らしい方なのだ。
その研究の一端を担う事になる、魔法発展の基盤強化の国家的な区画に携われるなんて、魔法士としてこれ程名誉なことがあるだろうか。
殿下とは、手を触れあうだけで魔力を同調させられるようになって来ていた。
今なら、癒し姫の回復能力も上回る効果値をたたき出せるのではないだろうか。
但し、お相手がエリオス殿下に限るのだけれど。
これが、誰でも出来るようになれば、魔力量が、基礎魔法力が足りないから発動しなかった上級魔術に挑戦できるようになるのだろう。
たまに学内の購買部や食堂で同級生に会うけれど、誰もクレディオス様については訊ねてこない。
学長から、おそらくは生徒達の保護者に、当然私の実家にも、事故の概要とクレディオス様についての処分内容などの連絡は行っているのだろう。
今日は、初めて、魔力を同調させるだけでなく、何か小さな魔法を発動させてみようという事になった。
失敗して暴走した時に、抑えやすい術を選ぶ。
火は、飛び火すると手がつけられなくなるので却下。
私も殿下も、光・水・風が得意属性である。
光は熱を帯びるかもしれない。鉄砲水が飛び出すのと、突風が吹くのは、どちらがマシだろうか?
暴走して竜巻状になると危険なので、水にしようという事になった。
魔法陣の真ん中に木製の杯をふたつ置く。
空気中の水分を集めて注ぐ事も出来るはずだけど、まずは、揺らすだけでもいいだろうと、片方に八分目くらい水を入れておく。
二人で魔法陣の一部に手を触れ、集中し始める。
直ぐに変化は現れる。杯の水は揺れ始め、波紋を広げていたけど、段々真ん中から盛りあがっていく。
そのままにゅーっと伸びて、隣の杯に向かっていき、先端が隣の杯の底に触れると、一気に全て移動させた。
「やった。初めて、魔力操作感覚を共有して、魔法を発動させられた! 何回か繰り返しても失敗しないようなら、魔術に移行しよう」
そう。呪文を唱えたりせず、感覚だけで水を動かすのは、魔力操作の延長戦。魔力の高い者なら、本能的に出来る人も少数だけれどいる。
ここからは、思い描く効果を出せる呪文を構築し、効果値を求めるのが魔術である。
殿下の目標は、誰でも力を合わせて、小さな魔術でも大きな効果を出すこと。
その後も、ふたつの杯の間を、零れることなく水は往き来したので、今度は座標を組み込んで、術式を構築した魔術に挑戦だ。
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本当は、癒し姫よりも遥かに高い回復効果を、(今の所)エリオス限定で行えるけれど、比べたことがないので、エステルは、気づいてません
魔力譲渡自体が、魔力質の相性が問題で難しい事
癒し姫という専門家は、それなりに出来ているのだと、エステルは、過大評価的に思っている
実際は、そこそこの相性の相手なら体力回復するほど魔力を譲渡するのに一晩かかり、傷や骨折などの怪我を治療するのも、ゲームみたいに呪文でパッとはいかない
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