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第一章 辺境の町

第8話 初戦闘!・前編

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 ◇  ◇  ◇



 おはようございます。

 嫌味なくらい爽やかな朝ですねっ。朝日がまぶしいぜちくしょ――!

 今日は昨日よりましな生活をしたい。

 うん、出来る気がする。あれよりダメになりようがないし。

 ……低い目標だな――。

 まあでも何事もなく一晩、こんな人跡未踏の大自然の中で過ごせてよかったよ本当。

 不気味な遠吠えとか聴こえてきて、あんまり寝れてないけどそれは仕方ないし。

 昨日は一応、街道から『索敵』の範囲内にずっといたけど、誰も通らなかったと思う。

 ちょっとは期待してたんだけどそう上手くいかないか。

 車輪の跡とかはあったから使われてないことはないと思うけどね。



 ――ではさっそく移動開始しますか。

 とりあえず太陽の位置からすると、街道は南北に走っているようなので、なんとなく勘で南に向かってみる。

 樹の上から確認した時に、南の方が少し緑が薄くなってて深い森がない気がしたので、人里があるかもと思って。

 今のところ何かを判断出来るだけの情報はないしね。『幸運』スキルを信じてこのまま行ってみます。

 でも、街道を直接歩くのはまだやめておく。

 エルフに限らず長寿種族を害する土地もあるらしいし、まだここがどこかも分からないからね。

 ばったり会って即戦闘っ、とかなったら怖すぎるし、用心して街道から少し離れたところを歩いて行こう、うん。



 一時間程こそこそ隠れながら進んでいると、『索敵』に反応があった。

 
 ――魔物だ。


 どうやら向こうは気づいてないっぽい?

 それにこの感じ、なんとなくだけど、さほど強くなさそうに感じ取れて……便利だ。

 すごいぞ『索敵』様、頼りになります!

 この距離なら避けることも出来るけど、どうせいつかは戦わないといけないんだし……やってみますか。ううっ……こ、怖い。

 でも逃げちゃダメ。

 昨日は『隠密』使って全力で避けてたけど、今日は頑張るって約束したからね、自分に。

 う~ん、攻撃に使うなら水魔法よりレベルの高い火魔法のがいいか?

 火魔法のLv2には一応、広範囲を一撃で狙えるの『火炎噴射』があるし。昨日からこのスキルだけは少しずつ練習して、初回よりはちょっとだけ微妙に威力も増してるしね。

 それに、この辺りならそれほど草も生えてないし、火が燃え移る心配もなさそうだから使っても大丈夫なはず……ノーコンじゃなければだけど。

 ………………。

 ま、まあ今回はそれでいっとこう!






 ――100mなんてすぐだ。

 相手はそれなりのスピードに乗って近づいて来ているし、あってないような距離になる。
 
 素早く樹に登り、息を潜める。

 上を取った方が有利だと誰かも言ってたしね。


 カサカサカサっ!


 予想より早く音がして、視界に入って来たのは大きなネズミっぽい魔物。

『鑑定』するとポイズンラットというらしい……のが六体。

 固まって移動してくる。

 まだこっちの位置は気付かれてない。

 『火炎噴射』の飛距離は10m~20mほど、充分引き付けて……。

 先手必勝、当たれ!




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