8 / 308
第一章 辺境の町
第8話 初戦闘!・前編
しおりを挟む◇ ◇ ◇
おはようございます。
嫌味なくらい爽やかな朝ですねっ。朝日がまぶしいぜちくしょ――!
今日は昨日よりましな生活をしたい。
うん、出来る気がする。あれよりダメになりようがないし。
……低い目標だな――。
まあでも何事もなく一晩、こんな人跡未踏の大自然の中で過ごせてよかったよ本当。
不気味な遠吠えとか聴こえてきて、あんまり寝れてないけどそれは仕方ないし。
昨日は一応、街道から『索敵』の範囲内にずっといたけど、誰も通らなかったと思う。
ちょっとは期待してたんだけどそう上手くいかないか。
車輪の跡とかはあったから使われてないことはないと思うけどね。
――ではさっそく移動開始しますか。
とりあえず太陽の位置からすると、街道は南北に走っているようなので、なんとなく勘で南に向かってみる。
樹の上から確認した時に、南の方が少し緑が薄くなってて深い森がない気がしたので、人里があるかもと思って。
今のところ何かを判断出来るだけの情報はないしね。『幸運』スキルを信じてこのまま行ってみます。
でも、街道を直接歩くのはまだやめておく。
エルフに限らず長寿種族を害する土地もあるらしいし、まだここがどこかも分からないからね。
ばったり会って即戦闘っ、とかなったら怖すぎるし、用心して街道から少し離れたところを歩いて行こう、うん。
一時間程こそこそ隠れながら進んでいると、『索敵』に反応があった。
――魔物だ。
どうやら向こうは気づいてないっぽい?
それにこの感じ、なんとなくだけど、さほど強くなさそうに感じ取れて……便利だ。
すごいぞ『索敵』様、頼りになります!
この距離なら避けることも出来るけど、どうせいつかは戦わないといけないんだし……やってみますか。ううっ……こ、怖い。
でも逃げちゃダメ。
昨日は『隠密』使って全力で避けてたけど、今日は頑張るって約束したからね、自分に。
う~ん、攻撃に使うなら水魔法よりレベルの高い火魔法のがいいか?
火魔法のLv2には一応、広範囲を一撃で狙える予定の『火炎噴射』があるし。昨日からこのスキルだけは少しずつ練習して、初回よりはちょっとだけ微妙に威力も増してるしね。
それに、この辺りならそれほど草も生えてないし、火が燃え移る心配もなさそうだから使っても大丈夫なはず……ノーコンじゃなければだけど。
………………。
ま、まあ今回はそれでいっとこう!
――100mなんてすぐだ。
相手はそれなりのスピードに乗って近づいて来ているし、あってないような距離になる。
素早く樹に登り、息を潜める。
上を取った方が有利だと誰かも言ってたしね。
カサカサカサっ!
予想より早く音がして、視界に入って来たのは大きなネズミっぽい魔物。
『鑑定』するとポイズンラットというらしい……のが六体。
固まって移動してくる。
まだこっちの位置は気付かれてない。
『火炎噴射』の飛距離は10m~20mほど、充分引き付けて……。
先手必勝、当たれ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
924
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる