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第一章 辺境の町
第212話 調査結果・後編
しおりを挟む受付は、たくさんの冒険者で溢れていた。
ラグナードが買取カウンターに並んでくれたので、私とリノは壁際の人が少ない場所で待っていることにした。
まずは担当の職員に査定をしてもらう為に素材を預けるだけなので、割りとはやく列が動いて行く。
すぐにラグナードの番が来て、ギルド職員と何かを話した後、こっちを見て二階を指差した。
「これから結果を報告する。二階に上がろう」
「「了解」」
買取の査定を待つ間を利用して、今日の成果を詳しく聞き取るみたい。
指示された通り、三人揃って二階にある小会議室の一室に入る。そこにはすでにエドさんがいて、何かの資料を並べて忙しそうに作業をしていた。こうして冒険者が来るのを待っているらしい。
そこは昨日案内されたのと同じ部屋で、中央にあるテーブルの上に今現在の迷いの魔樹の分布図が置いてある。
よく見ると昨日私達が印した分が、ほとんどバツ印で消されていた。ギルドが素早い対応をしてくれた結果が目に見えて確認出来て、一先ずほっとした。
エドさんに促されて、今日調査して判明した迷いの魔樹の位置を『マップ作成』スキルで確かめながら、新たに書き込んでいく。
その間に、現在の対応状況の説明を受けた。まずは北の森からで、今日は四組の冒険者パーティーが一斉に、昨日私達が調査済みの場所へ討伐に向かってくれたそうだ。
結果、発見されていた迷いの魔樹は、九割ほどが討伐済みになったとか。ここまでは早期発見、早期対応が出来てるよね。よかった。
ラグナードが心配していたジニアの村でも、村人総出で造っていた壁が完成してからは、彼の知人である狼人族さんを中心に森の奥へと入って魔樹の捜索と排除に努めているらしい。
討伐数は少ないけど、魔物は元々、何故か人が多くいる方へと引き寄せられる性質をもっている。
なので、ボトルゴードの町から徒歩で半日ほど離れた人口の少ないこの村へは、それほどの数は向かわないだろうとのこと。今は対応が間に合っている状態だと聞いてホッとした。
活性化しているダンジョンの方も、領主様の派遣した兵士さん達で持ちこたえているらしく、決壊するのを防いでいるようだ。
内部は真っ暗で、道幅の狭い迷路になっている上に罠も多いから、一気に戦力を投入して短期決戦に持ち込むことも出来ないんだよね。地道に削っていくしかないから大変みたい。
一体一体は弱いとはいえ、いつも以上に魔物が生まれ出ていて、常に討伐し続けなければダンジョンから溢れ出てしまう危険性があるんだって。
冒険者ギルドの方も余裕がないから増援は見込めない中、何とか頑張って抑えてくれている状態だと教えてくれた。
どれか一つでも崩れたら危ういという綱渡り状態は怖いけど……今のところ、どれも抑え込むことに成功している。
「このまま何事もなければ、侵略を乗り越えられそうです。明日もまた、調査の方をお願いしますね」
「わかっている。出来る限りのことをしよう」
森の侵略を防いできた実績がある、この町のギルド職員さんの言葉には説得力を感じた。
エドさんの予想が当たっているといいなという希望を胸に、冒険者ギルドを出た。
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