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第一章 辺境の町

第213話 白チーズ茸、再び

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 ◇ ◇ ◇



 翌日からも毎日、北の森に通い続けた。


 私達のパーティーの役割は、討伐隊より先行してトレントの捜索をすることなので、できるだけ『索敵』で魔物との遭遇を避け、少しでも広範囲を見廻れるようにしている。

 ただし、収束宣言が出るまではいつ終わるとも知れない連日の依頼となるため、中々思うように休みが取れない可能性がある。

 支援魔法や魔道具、ポーション等で魔力の回復はできるけど、十分な休息が得られないと気力や集中力など精神的な疲れは取り除けず蓄積していく。ミスしないか心配なんだよね……。

 ベテラン冒険者のラグナードはともかく、場数を踏んでいない私とリノだと、どうしてもペース配分が上手く出来ずに彼のお荷物になる未来がみえているし。
 なので、命取りになる前にと事前に冒険者ギルドと交渉し、一定の規定数を満たせばその日は終了としていいという契約内容にして貰った。
 ギルドとしても、討伐に回せる冒険者パーティーの数には限りがあるから対応出来る数があればいいと、私達の等級の事も考えてすんなりと了承してくれたんだ。よかった。

 ラグナードの『索敵』範囲が広いおかげで、開門直後から活動した場合、大体午前中には終われる計算になる。

 これで午後はゆっくり身体と精神を回復させる時間に当てることができる事になり、ちょっと安心した。






 もちろん、こうして手に入れた午後の自由時間はスキル習得の為の訓練の他に、自分達の為に採取や討伐をすることもある。

 休みを犠牲にしてまで手に入れたいものと言えば、もちろんあれですよっ。白チーズ茸ですよっ。さっそく採りにいきましたとも!

 樹の下の方に寄生していたものは、何かに齧られて駄目になっていたけれど、上の方にいくにつれてきれいな状態のものが幹を多い尽くさんばかりにニョキニョキと生えていて、これなら好きなだけ採取できそう!

 居酒屋のご主人から、目一杯大きくなったものよりほんの少し、小さめのものを選んだほうが味がいいんだよと聞いていたので探して見る。

 ――うんっ、上の方にちょうど良さそうなのがたくさんあるっ。これならいっぱい採れそう!

 白チーズ茸の軸はしっかりと幹にくっついており、少々の衝撃ではびくともしない。
 三人の中で一番体重が重いラグナードが乗っても平気なほど頑丈なので、木登りする際の足場に出来るくらいなんだ。
 採取してしまえば何故か少し軟化するんだけどそれまではとっても固いので、万能ナイフのノコギリ刃の方を使い、力を入れてギコギコと引いて切り取っていく。

 数日に渡り、時間を作っては寄生場所に行き、毎回三人分の背負子が一杯になるまで運んだ結果、約束していた三軒のお店に満足してもらえる量を採取できた。とっても喜んでくれたので頑張ってよかったっ。




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