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第一章 辺境の町
第230話 人海戦術
しおりを挟むそれぞれのパーティーのリーダーであるラグナードとアルさんが対策を話し合う。
主に、ポイズンラットやゴブリンを相手取っているが、奴等はこちらが強者か弱者かに関係なく、いくら倒されてもこちらを敵認識し、真直ぐに次々と突っ込んでくる。
弱いし魔物同士で連携をとってくる事もないので、あまり魔法は使わないように注意しながら、武器で確実に倒していってはいるものの、討伐部隊全体に襲いかかってくる数としてはジリジリと増えており、早くも消耗戦の様になってきている。
こちらもボトルゴードの町では一定レベル以上の冒険者を揃えてきてはいるけど、それでも魔力と体力には限りがある中、この人数を守りながら戦うので、決して楽観出来る状況ではない。
一応、ラグナードの土魔法を使って、先程、魔物を遺棄する用に作った穴をそのまま横に細長く広げ、即席の落とし穴として利用することに決まったけど。
最終的に飛び越えられない幅になったので、立ち往生して纏まった数になったところでまとめて魔法で殲滅する作戦だ。
伐採作業中の人達を触手から守る任務を放り出して、こちらから打って出るというわけにもいかないからね。
でも、伐採が進むにつれてその場所から離れていく事になるから、念のため、刈り取って大量に出た草や蔓、枝などを生活魔法で『乾燥』させてから穴の中に放り込み火をつけておいた。
火を嫌う魔物もいるので防御壁代わりになればいいなと思ってやってみたけど、どこまで効果があるかわからない。まあ、やらないよりはいいってことで。
事態を打開するため、ラグナードに言われて私達のパーティー以外の人にも支援魔法を掛ける事になった。
それも冒険者だけじゃなく、一緒に行動している木こりさんや猟師さん達もまとめてだ。
私の使える支援魔法はレベル1の『HP回復』と『MP回復』。
これを重ね掛けし、少しでも作業スピードを上げるのが狙いだ。今回の作戦では、いざという時まで出来るだけ魔法を禁止されていたので魔力が温存されていたからこそ出来るっていうのもある。
上手くいくといいけど、一度で一時間程度しか効果が持たないからね。何もしない時と比べ、若干回復速度が上がるくらいの効き目しかない。
それでも、膠着状態が続いているこんな時には、ほんの少しの改善がとても大事になってくる。
すぐ体感できるポーションのような即効性は無いけど、大人数の底上げが出来るのは大きい。今はそれで十分だということで、一緒に行動している間はこまめに掛け直すことにした。
――そうやって策を練り、消耗戦を有利に乗り切れるよう力を尽くしていたところに……。
ゴブリンとポイズンラットの混合集団が襲って来たっ。また来たの!? もうっ、こいつら本当しつこい!
急に増えたその魔物達に冒険者パーティーだけで対応できず、猟師さん達も撃退に加わり、集中攻撃に移る。
必然的に松明の数が減ってしまった、その時……。
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