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第一章 辺境の町

第189話 やっぱり拠点を移そう! 後編

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 とかなんとか考えているうちに、そわそわと落ち着かなげに揺れていたラグナードの耳としっぽが、段々しゅんと垂れそうになってきてしまう!


 ――あああぁぁぁっ、落ち込ませてしまった!

 い、いやいやいやっ、違うんですよ!?

 迷惑とかそんなのでは全然なくって、ご厚意はとても嬉しいんですって!

 ただ、人って楽な方に流される生き物だから、優しくされるのに慣れ切ってしまうと際限なく甘えて依存してしまいそうでですね、少し怖くなって躊躇してしまっただけですから!


 ――でも、もふもふの狼さんを悲しませるのはよくない。


 ここはもう素直に頼っておこうっ。

「そうだね……じゃあ、お言葉に甘えてお願いしてもいい?」

 そう言った途端、耳がピンと立って嬉しげに尻尾が揺れだした。

「ああっ、勿論。決まりだなっ」

「はい、よろしくお願いします!」

 ほっ、良かった!



 買い物には、魔法の練習で魔力を使い切り、へばってしまったリノを宿に置いて二人で出かけることにした。

「……すみません」

「気にしないで。すごく頑張った結果なんだから。どう、これで少しは動けそう?」

 聖魔法の『治療』と『浄化』、支援魔法の『HP回復』と『MP回復』を重ね掛けして、体力、魔力の回復をはかる。

「はい、ローザが魔法を使ってくれましたし、魔力補給の保存食も食べてますから。もう少ししたら大丈夫だと思います」
 
 リノはにっこり笑ってそう言ってくれたけれど、朝から魔法で回復する機会が多かったから、徐々に効き目が落ちてきているはずなんだよ。

 その上、仕事の後にも『隠蔽』スキル獲得に向けて練習するのに、いっぱい掛けたから。

 支援魔法って、MP・HP回復を無限に出来る仕様だったら最強なのにね?

 やっぱりそこら辺は、努力しないと結果が出ないっていう世界だから仕方がないことではある。楽して強くなれる方法なんて、ないんだろうなぁ。



 でも本人申告通り、顔色もそれほど悪くなさそうだし、ゆっくりとなら復活してくれそう。
 嫌な言い方だけど、彼女は魔力不足の状態に長年慣れているから、本当に切羽詰まっているときの見極めは上手いのだ。

 今も、HP・MP回復効果のある下級ポーションの摂取を薦めたのだが、これくらいなら大丈夫だと断られてしまった。

「そう、分かった。じゃあ、動けるようになったら下の食堂で夕食をとってね。食べれるなら私の分も食べていいから」

「いいんですか?」

「うん、私はさっきのでお腹いっぱいだし」

 焼肉パーティーで思う存分お肉を中心に食べまくったもんなぁ。あれは本当に美味しかったけど、まだまだお腹が苦しい……。なので、買い物に行くのはいい腹ごなしになりそうなんです。

「ありがとうございます。そうします」

「うん。じゃあ、行ってくるね」

「はい、行ってらっしゃい」


 ――というわけで、 超ご機嫌さんになって尻尾をパタパタさせているラグナードと共に、急遽、魔導具屋さんへと行くことになったのでした。





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