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第一章 辺境の町

第164話 風魔法

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「順調そうね。基本魔法の練習はそこまでにしておきましょうか。風魔法のレベル上げもやりたいんでしょう? 風属性魔法書はもう読み解けたかしら?」

「はいっ、何度も読んでます。ひとつはあと少しで出来そうなんですが、もう一つの技が難しくて……教えていただけますか?」

「いいわよ。それじゃあ今からやってみましょう」

「はいっ。お願いします!」

 先日借りた風属性魔法書。理解はしているけど、いまだに未習得のそれを実演して見せて貰えることになった。



 風魔法のレベル2で出来る技は、『風刀ウィンドカッター』と『無風ウィンドレス』の二つ。
 もう少しで出来そうなのが『風刀ウィンドカッター』なので、まずはそれから……。


風刀ウィンドカッター』!


 シュピっと軽い音を立てて敵に見立てた丸太に当たる。命中した的を見ると、深く切り刻まれた後が残っていた。

 こうやって目の前で見せて貰うと、簡単に出来る気がして来るんだけどね……中々、難しいんだ。でも、成功のイメージはとっても湧きやすい。

「こんな感じですよ。じゃあ、さっきのを頭において練習してみて」

「はいっ」

 風属性魔法書を持ってきているので、何度も読んでいるけどもう一度目を通してから、先程見た技を再現するようにイメージを膨らませる。

 それから、魔力を練って発動させた……。


風刀ウィンドカッター』!


 シュポッっと、気の抜けるような音を立てて風の刃が飛んでいく。

 う~ん。風は動いてるんだけどね。丸太に傷ひとつ付かないし、これだと攻撃に使えないなぁ……む、難しい。



 その後、諦めずに根気よく何度もやっている内に、威力こそ弱いものの丸太を浅く引っ掻く事ができるようになった。やったぁ!

「うん、いいでしょう。まだまだ十分とはいえないけど、この技は合格点よ」

「ありがとうございますっ」

「ふふっ、頑張ったわね。じゃあ次は、もう一つの方も練習しましょう。これは空域を遮断し窒息させる魔法だから……よく見てて」


無風ウィンドレス』!


 魔力の動きで、技が放たれたのが感知出来る。

 風に揺れる葉っぱに手を一振りして風魔法を発動させると、そこだけシュンっと、周りの空気が止まったのが分かった……凄い。こんな簡単に出来ちゃうんだ……。


「どうかしら? こんな感じよ。『風刀ウィンドカッター』と違って分かりにくいと思うけれど、一度やってみましょうか」

「はいっ、お願いします!」



 とは言うものの……う~ん、やっぱり難しい。イメージもしにくいなぁ。

 それから何度も『無風ウィンドレス』の練習をしたんだけど、成功しなくて、今日のところは時間切れになった。

 やはりというか、属性魔法のレベル2という事もあり格段に覚えにくいよ……基本魔法のレベル上げと同じようにはいかないみたいです。




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