164 / 308
第一章 辺境の町
第164話 風魔法
しおりを挟む「順調そうね。基本魔法の練習はそこまでにしておきましょうか。風魔法のレベル上げもやりたいんでしょう? 風属性魔法書はもう読み解けたかしら?」
「はいっ、何度も読んでます。ひとつはあと少しで出来そうなんですが、もう一つの技が難しくて……教えていただけますか?」
「いいわよ。それじゃあ今からやってみましょう」
「はいっ。お願いします!」
先日借りた風属性魔法書。理解はしているけど、いまだに未習得のそれを実演して見せて貰えることになった。
風魔法のレベル2で出来る技は、『風刀』と『無風』の二つ。
もう少しで出来そうなのが『風刀』なので、まずはそれから……。
『風刀』!
シュピっと軽い音を立てて敵に見立てた丸太に当たる。命中した的を見ると、深く切り刻まれた後が残っていた。
こうやって目の前で見せて貰うと、簡単に出来る気がして来るんだけどね……中々、難しいんだ。でも、成功のイメージはとっても湧きやすい。
「こんな感じですよ。じゃあ、さっきのを頭において練習してみて」
「はいっ」
風属性魔法書を持ってきているので、何度も読んでいるけどもう一度目を通してから、先程見た技を再現するようにイメージを膨らませる。
それから、魔力を練って発動させた……。
『風刀』!
シュポッっと、気の抜けるような音を立てて風の刃が飛んでいく。
う~ん。風は動いてるんだけどね。丸太に傷ひとつ付かないし、これだと攻撃に使えないなぁ……む、難しい。
その後、諦めずに根気よく何度もやっている内に、威力こそ弱いものの丸太を浅く引っ掻く事ができるようになった。やったぁ!
「うん、いいでしょう。まだまだ十分とはいえないけど、この技は合格点よ」
「ありがとうございますっ」
「ふふっ、頑張ったわね。じゃあ次は、もう一つの方も練習しましょう。これは空域を遮断し窒息させる魔法だから……よく見てて」
『無風』!
魔力の動きで、技が放たれたのが感知出来る。
風に揺れる葉っぱに手を一振りして風魔法を発動させると、そこだけシュンっと、周りの空気が止まったのが分かった……凄い。こんな簡単に出来ちゃうんだ……。
「どうかしら? こんな感じよ。『風刀』と違って分かりにくいと思うけれど、一度やってみましょうか」
「はいっ、お願いします!」
とは言うものの……う~ん、やっぱり難しい。イメージもしにくいなぁ。
それから何度も『無風』の練習をしたんだけど、成功しなくて、今日のところは時間切れになった。
やはりというか、属性魔法のレベル2という事もあり格段に覚えにくいよ……基本魔法のレベル上げと同じようにはいかないみたいです。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
925
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる