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第一章 辺境の町
第163話 練習、また練習
しおりを挟むまずは、十種類の果物と薬草を使ってジャムを作る。HP・MP回復効果と、滋養強壮効果など、様々な効能付きのシルエラさん自慢のジャムは、見た目は苺ジャムっぽいです。
これだけでも十分美味しそうだし効き目もあるそうだけど、一工夫することで素材の相乗効果もあって一段上の味と効能になるんだとか。
コツは全ての工程で、出来るだけ魔法を使って作ること。エルフは日常的に飲食物に魔力を注いで調理するみたいだけど、それだけではっきりと違いがでるらしい。
図らずも私の保存食作りとよくにていて、ちょっとうれしい。
ジャムを作ったら、次は生活魔法の『水作成』で、水を出しておく。これにも魔力がふくまれているけど、更にそこへ、聖魔法で『浄化』を掛けると効果が上がる。その魔力満ちた水の中に一匙、ジャムを溶かし入れる。
今回は、そこに私が持ってきた香草塩もひとつまみ入れてくれたらしい。よくかき混ぜて、出来上がりだ。
作業としてはたったこれだけ……短時間で様々な効果付きの万能ドリンクになったよ。本当に簡単だし、冒険に行く時に毎回作って持っていくようにと勧められたので、是非そうしようと思う。
つまりこれって、この世界の熱中症対策みたいなものだよね? 栄養ドリンクの効果もあるし、予想より随分と強力な飲み物になってるけど……これはいいね!
シルエラさんから、大きな容器に入ったジャムを一瓶いただいたので、これから毎朝作ります!
いくらでも飲めそうなほど美味しい、異世界版の栄養強化ドリンクを飲み干すと、訓練に備えてシルエラさんが支援魔法の『HP回復』『MP回復』『魔力上昇』を重ね掛けしてくれた。
今日は魔力切れになる度に、こうして掛け直してくれるとのこと……ありがたい。
よしっ、じゃあ魔力切れの心配もしなくていいことだし、気合いを入れて続きをしますか!
引き続き裏庭で基本魔法の『魔力感知』『魔力操作』『魔力強化』『身体強化』の四つのスキルを重点的に鍛えていると、時々、シルエラさんが来てアドバイスと実演をしていってくれる。
途切れる事なく支援魔法でドーピングされているから、私の魔力も尽きることなく安定している。
いつも余裕をもって重ね掛けしに来てくれるので、基本魔法の練習を思う存分、続ける事ができた。
そのおかげで何と、この短時間に成果が出ました!
『魔力操作』と『魔力強化』の二つが共にレベル3にアップするという結果になって、もうびっくりなんですけど!? こんなやり方があったとは……エルフの魔力量ってすごいっ!
支援魔法の効果時間が切れる前に前倒しでどんどん重ね掛けしていくこのやり方、リノとの練習の時の参考になるし、やってみようと思う。
シルエラさんのおかげで、魔力が全回復しているから今日はチャンスだからねっ。
基本魔法は一番レベルが上がりやすいって教えて貰っていたけど、実際にこうしてサクサク上がるのはとっても楽しい。気持ちいいっ。自分一人でやっていると全然上がらないから余計に、ね。
異世界にポツンと一人、放り出された時はどうしようかと思ったけど、こうして最初の町で同族のシルエラさんと知り合えて魔法の師匠まで引き受けてくれたんだから、私って本当、幸運だったよね……。
応援ありがとうございます!
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