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第23話 聖魔法の悪用

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「……中々、面白いものをみせてもらったよ。彼女、器用だね……色々と。是非、直接調べてみたいな」

「ジェフリー兄様……」

 アンドレアは膨大な魔力を持っているが、聖魔法に特化している分、他属性の分析や魔力の見極めなどは苦手としている。

 その点彼なら、弱冠十八歳で魔法省にスカウトされ勤務しているエリートで、希有な複数属性持ちの上、魔術知識が豊富で分析なども得意だ。
 
 今も美貌に加えてその才ゆえに、うら若き令嬢達から熱烈な視線を送られている次兄は、表情を変えず言葉少なに語った。

 アンドレアが感じとれなかった何かを掴んだようだが、この場で言うべきことではない、と言うことだろう。

「そうか。まあ、その判断は父上達がされるだろう。アンドレアもあまり思い悩まないようにね」

「はい、ユージーン兄様」




 二人の兄に付き添われ、小声で話しながら歩みを進めていると、進んで道を開けてくれる周囲の方々のおかげで、すぐにキャメロン公爵達がいる場所まで辿り着けた。

 王と王妃は既に退出されたようだ。その場にはまだ宰相閣下がいらっしゃったが、こちらに気づくとすぐに離れて来てくれた。

「来たか、三人とも」

「お待たせ致しました、父上。それで、どうなりましたか?」

「近衛を動かした。じきに捕縛の連絡が入るだろう」

「……そうですか」

「アンドレア、私の愛しい娘」

 そう言うと、愛娘を優しく抱き締めた。

「お父様、申し訳ございません。結局、殿下を始め皆様の目を覚まさせることは出来ませんでした」

 私の目には、ドリー男爵令嬢が最後の方など特に、割りと酷く醜態を晒されたように映ったのですが、十分ではなかったようです……。

「いや、よく頑張ってくれた。辛い役目をさせて済まなかったね」

「いいえ、お父様」

 毅然と対処していたが、アンドレアとてまだ十七歳の少女なのだ。王子妃になるためにと己を律して努力し続けて来た月日が一瞬で壊され、深く傷ついたことだろう。

 キャメロン公爵は、そんな愛娘を思って優しく労った。

「簡単にいかないだろうことは、もとより承知の上だ。自分に都合のいい世界とは、いつまでもいたいと思うほどに居心地がいいのだろうさ。……疲れただろう? 後は任せて、今日はもう兄さん達とお帰り」

「はい、お父様。ありがとうございます」

「二人共、頼んだぞ」

「ええ、父上。お任せください」




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