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第一章 ヒロイン編

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「やっぱりこの門だわ…………はぁ。とうとう始まるのね。」

制服の寸法のため訪れた時も思ったが、ここは私が知っている世界だ。
生まれてからずっと前世の記憶がある私はクラリスお兄様が容姿端麗で攻略対象者になりそうだ!!と思っていつもありがたく眺めていた。
こんなに近くにこれだけのイケメンがいたら見ていたくなるでしょう!!
学園の門を見るまでここの世界があの乙女ゲームの世界であるとは思ってなかったが、乙女ゲームで何度も何度も出てきて見ていたこのアーチ状の王立学園の門はさすがに確証に至った。

そっか。私のクラリスお兄様も友達だとよくうちに遊びに来ていた皇太子達もヒロインの攻略対象者なんだ。
1つ年上のクラリスお兄様達はもう学園に入っているけど、ヒロインは確か1つ下の学年だったから………おお、私と同じか。

やった!学園に入学したらイベントを生で見れるってことだ!
自分はヒロインじゃないからイベントを体験することは出来ないが、見学はできるってことだから嬉しい!!

ヒロインには悪いけどクラリスお兄様以外でお願いしたいですわ。

確証に変わったときの事を思い出しながら、門を通って受け付けに向かってるとクラリスお兄様がいた。
見つけた!!


「クラリスお兄様ぁぁぁーーーー!!」


ご令嬢とは思えない走りを醸し出して一直線にクラリスお兄様に抱きついて胸元にスリスリとする。

「朝も見ましたが、クラリスお兄様の制服姿が学園で見るとまた新鮮でたまりませんわ。」

「リティ、あまり走ると危ないよ。」

頭にポンと手を置いて優しく微笑んだくれるクラリスお兄様に私は満面の笑顔をした。

「俺達もいるんだけどな。」

  チラリと声のする方を見るとカルティド殿下にレイロ様、セルガロ様がいた。
ああ、いたのね。

「すみません、クラリスお兄様しか見えていませんでしたわ。カルティド殿下、レイロ様、セルガロ様ごきげんよう。」

クラリスお兄様から離れカーテシーで挨拶をする。

「ははっ。リティアナは正直だな。」

あまり、関わりたくないので話しかけないで下さい………と言いたいが不敬過ぎるので言えないだけですよ。
ほら、周りを見てください。
カルティド殿下が話しかけてくるから制服を着た在学生に制服を取りに来たご令嬢ご令息方にめちゃくちゃ注目を集めてます!!
 やめてください。本当に迷惑ですわ!!
と不敬過ぎる事を思っていると、急に身体に違和感を感じると目の前のカルティド殿下に抱きついていた。

私は自分が何をしているのか思考が停止し目を見開きながら目の前にあるカルティド殿下の胸元にスリスリとしていた。

一部始終を見ていた周りの方々も目を見開き固まっている。
周りから見れば、急に抱きつきカルティド殿下の胸元にスリスリとする変態である。

「リティアナは大胆だね。」

何故か嬉しそうに言って私をぎゅっと抱きしめた。
それを見た周りは騒然となったのは言うまでもない。
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