お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

MAYY

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第一章 ヒロイン編

5.

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「ああ、リティアナから抱きついてくれるなんて幸せだな~。」

スリスリしている私を更に力強くぎゅっと抱きしめながら呟くカルティド殿下。
どうして!?私公衆の面前で何をしてるのでしょうか!?
…………現実逃避したいです。
    
「リティ!?」

驚きが混じった声で私を呼ぶクラリスお兄様の声にハッとしてカルティド殿下から離れた。

「もう終わりか。残念。」

不適な笑みを浮かべているカルティド殿下と私の行動に困惑気味なクラリスお兄様、目を見開いて固まっているレイロ様とセルガロ様や周りのご令嬢ご令息達…………………私はこんな大勢の前で殿下に変態行為をした公爵令嬢。

なんてことだ!!
自分のしたことに戸惑いパニックにながらも表面上は冷静にならなえればと必死に自分に言い聞かせる。

「カッ……カルティド殿下。どうかしておりまして………不敬なことをしてしまい誠に申し訳ございません。…………本当にすみませんでした。」

ヒロインも今日来るはずだ。私がした行為でそんなに影響はないだろうが、この事は噂になるだろう。
私の変態行為はここまでの人達に見られたのだ。入学したとき……いいや今日の時点で耳にするかもしれない。
これからくっつくかもしれない相手の噂なんて聞いていい気はしないはずだ。

私はヒロインと攻略対象のイベントを影から見られるだけでよかったのに………不快な思いをさせたい訳じゃない………。

あぁぁぁ…………私の楽しみな学園生活が無惨に散っていくのが目に見える。
きっと今日中には変態令嬢として広まってしまうだろう。
入学式には指を指して『あれが………あの変態令嬢か!』と好奇な目で見られることだろう。
…………さよなら、私の輝かしき学園生活。

「ただ、これだけは言わせてください。こんな変態行為をしてしまいましたが、決してカルティド殿下が好きなわけではありません。カルティド殿下の恋の邪魔をするつもりは一切ありません。今回のことで誤解が生じた場合はしっかりと私からも説明しますのでその時は教えてくださいませ。」

クラリスお兄様に誤解されたくなくて必死に伝えると、カルティド殿下がだんだん不機嫌になっていく。
やっぱり私なんかが抱きついてきて嫌だったのね。
そうでしょう!!こんな大勢の前だから無下にもできなかっただろう。本当に申し訳ないわ。

「言いたいことはそれだけか?」

完全に嫌われたな。
地を這うくらい低い声で言われ機嫌が悪いのがわかる。
別にいいけど、クラリスお兄様に影響がないといいが……それだけが気になる。

「はい。」

「では、リティアナは俺の恋の応援をしてくれると言うわけだ。」

「そうですね。」

「なら、協力をしてもらうことにしよう!」

まだヒロインと出会ってないはずだが、カルティド殿下の言い方はもう想い人がいる言い方だ。
すでに街で出会っているのかな……………?

「それではまずは、街にでてお買い物をするから今度の学園休みに行くぞ!」

「はい!?」

さっきの機嫌が嘘のようににっこりと笑顔で私を見るカルティド殿下。
何故だ!何故か機嫌がよくなっているカルティド殿下。
何処に機嫌がよくなる要素があったのか!?
わからない……疑問だらけが頭に浮かぶが、いつの間にか今度の休みに街に一緒に行くことになってしまった。


あの婚約者も置こうとしないカルティド殿下がご令嬢をデートに誘ったとご令嬢とご令息の間で騒然となっていることは、社交界にデビューしてなく学園にも入学してない私には知るよしもなった。
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